京都 祇園 香鳥屋

KYOTO GION KATORIYA

実用品でありながら工芸品の風格を備え
長く愛用できる装いのかなめ

四代目 代表取締役社長 橋本昌治

ものづくりの姿勢とお客様への気遣い

 祇園には有名企業の社長がこぞって訪れる。かつて社長たちはお茶屋遊びの際、奥様への土産に香鳥屋の草履や袋物を求めたそうだ。数々の逸品は目の肥えた人に愛され、京都を訪れる女優も香鳥屋で買い物を楽しむという。

 時代とともに主力は草履から袋物、バッグへと変遷してきたが、変わらず貫かれているのはものづくりの姿勢とお客様への気遣いである。「良い品を永く使っていただきたいというのがモットーです。そのため最高級の素材を厳選し、丁寧に手作りしています。メンテナンスも承っているので、一生ものとして次世代へ引き継いでいただけます」と、橋本昌治氏は言う。

 店舗に並ぶ爬虫類やクロコダイルなどの製品は、素材自体が希少なため仕入れが難しい。また一枚一枚模様や風合いが異なるため、個々の特徴が活きるデザインを考え、それぞれに適した裁断や縫製・成形を行う。口金や付属金具など細かいパーツまでオリジナルにこだわり、見えない部分にも手を抜かない。これらは分業制で、100人以上の職人が自らの得意を発揮して手作りするのだ。手仕事の最たるものは、昭和天皇皇后陛下の御還暦品として献納されたビーズバッグである。地模様にビーズを刺していくのは非常に細かい作業で、失敗するとやり直しがきかない。熟練職人が小さいバッグを刺すのでも1ヵ月はかかるという。以上の理由から香鳥屋の製品はどうしても高価になるが、二つと同じものがないので「画一的なブランド品は要らない、私だけのバッグが欲しい」という上質なお客様に喜ばれるそうだ。

輝く女性の応援団に

 香鳥屋はそれぞれの代でNEWにチャレンジしているが、橋本氏は「当社が持つどこにも真似のできない技術、ビーズバッグや手捺染などの良さを海外に広めていきたい」と言う。また国内でもネットショップを手掛けるなどで、より広い層に受け入れられる仕掛けをしてきた。

 ディズニーシリーズもチャレンジの一つである。本シリーズはSDGsに取り組み、キャラクターのシルエットをくり抜いた財布を作り、くり抜いた部分を手提げにあしらう。余った革でしおりを作るなど、材料を無駄なく効果的に使っている。さらにミッキーマウスの基本色である黒・赤・黄は、京都の伝統工芸である手捺染で表現しているのだ。

 香鳥屋のラインナップは、和洋のテイストがうまくマッチして和装洋装どちらにも使える。またエレガンスに寄りすぎない、リュックやショルダーなどカジュアルな雰囲気のものも揃えている。そこへチャレンジ精神あふれる逸品も加わり、近年は若い世代にもファンが広がっているそうだ。

 確かな品を幅広い構成にて「輝く女性の応援団になりたい」と、橋本氏。昨今の時世は何かと沈みがちであるが、身の回りのものを新調すると元気になれる。多くの女性に、永く愛用できる本物を持つ喜びを感じ、元気に活躍してもらうのが香鳥屋の望みである。

香鳥屋

〒605-0074 京都市東山区四条通祇園町南側580
Tel.075-561-0521

◉明治19(1886)年、初代の橋本信が京都祇園に履物と和装小物を製造販売する「香取屋」を創業。巧みな技を伝承して数多くの履物職人を育て上げてきたが、時代とともに袋物の扱いが増え、やがて高級バッグへとシフトしてきた。のちに屋号を「香鳥屋」と改め、二代目・橋本欣之介が社長に就任した翌年の昭和元(1926)年に現在地へ移転。当時は最先端の鉄筋コンクリート造にステンドグラスを配した4階建の洋館社屋は話題になり、市登録歴史的意匠建造物に指定されている。

京都 福寿園 本社外観の写真

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