日本人の忘れもの 京都、こころここに

おきざりにしてしまったものがある。いま、日本が、世界が気づきはじめた。『こころ ここに』京都が育んだ文化という「ものさし」が時代に左右されない豊かさを示す。

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京都発「日本人の忘れもの」キャンペーンプロジェクト

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リレーメッセージアーカイブ

2011年 12月掲載

フルート奏者・指揮者・白石 孝子さん

■日本の誇り

 近年、実に多くの日本人が各分野共、世界の頂点で活躍をしている。

 特に音楽芸術の分野においては、世界各国でソリストとして、また指揮者として多くの人たちが大活躍を続けている。ヨーロッパの優秀なオーケストラには必ずといってよいほど日本人のメンバーが在籍している。

 先日、私はフランス・ニース市で開催された「マクサンス ラリュー国際フルートコンクール」を現地で聞いた。

 参加者はフランスはもとよりアメリカ・チェコ・スペイン・ベルギー・韓国・日本等19カ国より90名。課題曲も難しく、5段階にわたる厳正なる審査の結果、1位に選ばれたのは日本人の17歳の少女、新村理々愛さんであった。2位も同じく日本人の上野星矢さん(22)で、3位はロシア、4位はカナダの共に女性であった。

 全ての芸術は鑑賞者なしには成り立たない。このような素晴らしい演奏家たちが末永く活動できるのは常に多くの鑑賞者あってのこと。

 われわれは日本の芸術家たちを誇りに思いその活動をこぞって応援したいものである‼

寺田バレエ・アートスクール校長・高尾 美智子さん

■ウクライナとの交流~人づくりの芸術教育

 「子どもたちが素晴らしい人と出会い、本物のアートと出会う。これこそ人生の土台、国づくりだ」と思い1975年、当時のソ連邦とバレエ芸術で交流を始めました。「百聞は一見にしかず」の言葉通り、両国の子どもたちは文化・芸術を学び心豊かなアーティストとして世界に羽ばたいています。

 寺田バレエの卒業生たちも日本人であることの誇りとハングリー精神を持ち、感謝と謙虚を忘れずに学び通している姿に、私自身誇りを持ち、生きがいになっています。

 モスクワ五輪ボイコット、ソ連邦からのウクライナ独立、チェルノブイリ原発事故など危機の中でも、今日まで交流が続いているのは芸術家同士の友情そのものです。命がけで行動しても先の見えない時代に、異国の方々より教えられる日本人が失いつつあるものを忘れないためには、やはり芸術教育こそ最良の治療薬と自負しています。

 世界の人々の憧れの街、京都・吉田の地でアーティストが集まり、責任を持って世界に発信すべき時が来たのではと痛感しております。

国際墨アート作家・河原林 春陽さん

■宇宙舞感性

 私は、国際交流を始めて20年目になります。アメリカ・シアトルの大学美術グループへの墨アートのデモンストレーションがスタートとなりました。その後訪問した世界の素晴らしい多様性を持つ人々とのお出会いは、私の宝物となっています。

 私は幸運にも、神秘性や癒しの力があると言われる「墨の香り」と共に「書」を通じて世界の多くの人達と感動を共にする事が出来ました。

 そして改めて、感性に国境はないとの思いを強くいたしました。

 今、地球はいろんな意味で大変な時を迎えています。青く輝く星・地球の象徴である命の水に守られながら、日本の文化である「墨と書」を通じて、人として相手のことを思いやるやさしさ、忍耐や誠実さ、そして生かされている事への感謝の心を改めて考えたいと思います。

 古より培われた素晴らしい文化と歴史の地、京都から「墨の香り」の持つ精神性・魂サイドの創造表現を、これからも楽しみながら発信したいと願っています。

ポーセレン・アーティスト・國生 義子さん

■人をつなぐ力

 京都は、人をつなぐ天才である。人と人とをつなぎ、生かし、育み、そして幾重もの可能性を生み出していく。京都が伝統を誇りつつ新しいものをつくり出してきたのは、人の力を生かしてきたからであろう。1200年を超す伝統と文化は、この力なくしては存在しえない。

 博多から京都に居を移すに際して言われたのは、「京のぶぶづけ」や「一見さんお断り」など若干の揶揄(やゆ)を込めた京都人評であった。長い歴史と文化を持つ土地柄だけに、人間関係の煩雑さを覚悟して移り住んだ。しかし、それは杞憂(きゆう)に過ぎなかった。

 京都人の矜持(きょうじ)に学びながら、今、私はポーセレン・アートというヨーロッパの陶磁器の技法を使った上絵付けを指導している。伝統工芸がひしめくこの地で、趣味でしかなかった西洋絵付けを、多くの出会いを通じて、ライフワークとなし得たのは、人のつながりを大切にする京都人の懐の深さである。

 ことしは、東日本大震災などの自然災害の脅威にさらされた年であった。このような危機に発揮された人と人の繋(つな)がり-「絆」の大切さ、重さが再認識されなければならない。