取り組みと目的
「日本人の忘れもの」キャンペーンについて
明治維新後、日本は欧米など西洋文化を追い求め、近代化への道をひた走りました。第2次大戦の敗戦を機に米国を中心とした欧米文化の吸収力は、単なるあこがれや模倣ではない自国文化として昇華し、その原動力は経済大国といわれるまでになりました。
一方で経済、文化などのグローバリズムがすすむ中で、昨今の混沌とした空虚感に満ちた世相を顧みると、我々日本人が悠久の歴史のなかで培ってきた“心”までも捨て去ってしまったのではないかとさえ思われます。
我々が置き去りにしてきた“心”とは、たとえば“大自然”にいのちが宿るとする“山川草木悉皆成仏”の考え方であり、質素な生活を心がける“始末のこころ”、四季を通して自然と共生し生活する“生き方”、 道徳観や倫理観など人格形成に影響を及ぼす“しつけ教育”や、“読み書きそろばんなどの基礎教育”、合理化を追求することで失われた“もてなしの心や遊び心”です。
このような日本人が持っていた“心”は近代化の道でその多くが置き去りにされ、便利さや損得など個人や団体、ひいては国家のエゴを正当化する社会の流れになり、現代の希薄な人間関係を招いたのではないでしょうか。
京都は1200余年の歴史に裏打ちされた生活の知恵をもとに、文化を創造してきた街であり、文化、経済、宗教、教育など様々な分野の“日本人の心”が今なお残る街です。
そこで、今この時、文化の首都といわれる京都から、個々人が精神の充足を得、自らの進むべき道標を見出すために、「日本人の忘れもの」を取り戻すキャンペーンが必要と考えました。
主催:京都新聞社、「日本人の忘れもの」キャンペーン推進委員会
(京都商工会議所、社団法人京都府観光連盟、社団法人京都市観光協会、京都仏教会)
企画協力:株式会社日商社