【インタビュー】見守り活動で地域と連携 京都生活協同組合

宅配事業企画部 夕食サポート
大西高雄リーダー
夕食サポート おかずコースの一例

 暮らしに寄り添い、宅配、店舗、共済、福祉などの事業を展開する京都生活協同組合(以下、京都生協)は、過疎・高齢化が進む地域の実情を踏まえ、府内23の自治体と「地域の見守り協定」を結んでいる。毎日の夕食を個別宅配する「夕食サポート」事業を担当する宅配事業企画部・大西高雄さんに宅配現場での見守り活動について話を聞いた。

◆毎日の「夕食サポート」を通じた見守り
「夕食サポート」事業は2012年に開始。栄養バランスを考えた日替わりの食事を毎日個別宅配するもので、現在、府内で1日4600食以上をお届けしています。幅広い世代の利用がある中、特に高齢の方、お一人暮らし世帯の需要が高く、今後も増加が見込まれます。

 夕食はコロナ対策もあり「置き配」のかたちでお届けし、配送員が前日の利用状況を確認しています。「弁当がそのままで様子がおかしい」など、配送員から報告される件数は1日に数件、1カ月で80件ほどあります。
 私は常駐する職員と、利用者に異常があった場合の対応も担っています。ご本人などへ連絡し、安否がわからない場合は、自治体ごとの協定に基づき、社会福祉協議会や行政に対応を依頼します。大事に至らないケースがほとんどですが、配送員と状況を確認し合い、慎重に対応に当たっています。

◆地域との連携
 できる限りのことを
 あるお一人暮らしの方の事案で、前日のお弁当がそのままで、本人への連絡もつかず、他府県に住む息子さんに連絡を取ると「宅配を利用している事自体、知らなかった」と。翌日、ご本人は亡くなっておられたそうです。後日、息子さんから「宅配がなければ、もっと発見が遅れていた」と感謝の言葉をいただきました。やりきれない思いですが、取り組みの意義も痛感する出来事でした。
 京都生協は見守り活動において、安否確認に関する法的義務や責任を負うわけではありません。しかし、地域のコミュニティーと連携し、できる限りの役割を担い、暮らしの安心に貢献したいと、取り組みを進めています。

【インタビュー】当事者や家族の手助けになる存在でありたい 三笑堂

吾郷耕平さん
ショールーム笑顔(京都市南区)

 認知症の人へのサポートは長期にわたることが多く、求められる支援もさまざまだ。本人がこれまで通りの生活をできるだけ長く続けられるよう、また、支援者の心身面の負担を軽くできるよう、多様な製品やサービスの存在が欠かせない。京都を拠点に創業93年、医療介護用品商社の三笑堂・ライフケア事業部の吾郷耕平さんに、認知症に活用できる福祉用具が実際に活用されている事例を聞いた。

◆家族からの相談を機に製品の導入・運用を支援
 Aさんは認知症と診断されているものの、身体はお元気で自転車に乗ることを趣味とされていました。最近、「家に帰る道が分からない」という症状が何度も見られ、家族総出で捜索されることも。このままでは、真夏や真冬には命を脅かすのではないか、と心配されたご家族より相談を頂きました。
 そこで「お散歩コール」というGPSと徘徊感知機器(介護保険レンタル対象)を用いた商品をお試しいただくことになりました。

 導入後、ご家族と連絡を取り合い運用したところ、「2週間で7度」家に帰れない状況が発生。幸い、7度とも「お散歩コール」を活用したことで早期発見につながり、家族総出での捜索までには至りませんでした。中には、雨宿りしていて動けない状況や10㌖離れたところで発見されたケースもありました。
 導入当初は、ご家族でも予想できない行動が多々あったそうです。GPSの履歴を小まめに確認し、少しずつ行動パターンが把握できてきたことで、早期発見につながり、ご家族の不安解消にもつながったと非常に喜んでいただけました。


◆「商品」の存在や「相談できる窓口」の役割を発信
 このケースのように、相談があった場合に提案できる商品があるものの、世間一般にはあまり知られていないのが現状です。また、納品後の継続した連携がいかに重要かも実感できました。
 今以上に「商品」の存在や「相談できる窓口」として当社のような企業もあるという情報を発信し、認知症の当事者やそのご家族のお手伝いができる存在でありたいと思っています。
 同社の本社に隣接するショールーム笑顔(京都市南区)は、「シルバー世代をより快適にお過ごしいただくための、アイテムの探し場」を目指し約1000点の介護用品を展示。一人一人の日常生活や介護の場を容易に想像できるよう、展示が工夫され、商品を実際に手に取り、試すことができる。

【対談】認知症に関わる薬剤師の役割とは ゆう薬局グループ

 ゆう薬局グループは京都府内に95店舗を展開。近隣の地域包括支援センター(以下:地域包括)と連携した認知症サポーター養成講座を開くなど認知症に関わる取り組みを続ける。薬剤師の船戸一晴さん、片岡礼奈さんに薬剤師の役割について語ってもらった。

◆薬剤師は認知症の知識や対応力不可欠
片岡 「認知症」という呼称が浸透し、認知症はだれもがなり得る病気、みんなで助け合って、という流れがようやくできつつありますね。以前より隠す方が減り、悩みや不安を打ち明けられるケースも増えました。
船戸 初期診断に至ってない方や介護度が上がる前の方に症状が現れ、地域包括やご家族から相談を受けて、薬剤師が初期集中支援チームやかかりつけ医につなぐ事例もあります。
片岡 外来に来られる女性の家族からの連絡で訪問すると、押し入れに宝(薬)の山…。医師に相談し、ヘルパーや配食センター員など関わる職種が連携して毎日訪問し服薬フォローをしました。その方の健康を守り、その街で望むように暮らしていただくのが在宅支援。そのバックアップも薬剤師の使命です。船戸 私たちの業務は認知症の知識や対応力が不可欠です。スタッフは社内研修、在宅医療や認知症ケアを受け入れる店舗でのOJTなどで経験を積みます。在宅、外来、地域対応を通じお客さまを見守る環境を大切にしています。


◆地域包括単位で異業種の連携を
片岡 私が担当する中京区では、認知症連携の会といって行政、医療、介護、地域包括、社会福祉協議会、家族の会、オレンジカフェなど、認知症を取り巻く職種が一緒になって活動しています。昨年、元小学校区の自治会長の協力で、集会場でサテライト研修を行い、盛況でした。

船戸 ゆう薬局は行政区ごとの担当がトライ&エラーを繰り返し、その事例共有も活発です。

片岡 地域の活動を本部が知るのは事後なんてことも(笑)。とにかく地域へ出なさいという社風です。
船戸 昔から地域の声を聴けと言われてきました。薬剤師は相談されると喜ぶ職種、どんどん使ってほしい。地域包括と実施しているサポーター養成講座を医療、介護、福祉以外の職種向けにもっと広げたいですね。地域包括単位で互いに「何かあったらこの人に相談」という関係性を構築したいです。
片岡 薬剤師は国家資格ですが相談は無料です(笑)。いろいろ声を掛けてもらえるとうれしいですね。