認知症応援大使ら講演
オレンジトーク開催

 
認知症応援大使による
トークセッション
 
 
パネルディスカッションの様子

 認知症の人やその家族、専門家、地域の人たちとともに認知症への理解を深め、認知症になっても安心して暮らすことのできる社会について考えるイベント「認知症とともに生きる 『オレンジトーク』」(京都新聞主催)が2022年12月24日、京都府立京都学・歴彩館(京都市左京区)で開かれた。
 第1部のトークセッションでは、京都府が22年に任命し、認知症の人本人の立場で啓発活動や発信を行う「京都府認知症応援大使」を代表して下坂厚さん(49)、鈴木貴美江さん(83)が出演。自身の経験をもとに、認知症と診断されてから前向きに生活を送れるようになったきっかけや、地域の活動を通じた支援者との交流、今後やってみたいことなどを語り合った。

  

 下坂さんは「(診断後、以前の仕事を辞めたが)支援者の勧めで介護の仕事と出会い、できることが見つかったことが前を向くきっかけ」と語った。貴美江さんは医師の勧めをきっかけに福祉施設のカフェの手伝いをはじめ、自転車やボウリングにも挑戦している。家族の立場で登壇した貴美江さんの長女、祐三子さん(57)は「本人ができることはやってもらう。役割や居場所があれば、前を向けるのでは」と語った。
 第2部では、医師やケアマネジャーなど専門家らを交えたパネル討論を実施。京都の医療、介護、福祉の団体が一体となって取り組む「新・京都式オレンジプラン」の説明や各種相談窓口の紹介、来場者から寄せられた認知症に対する疑問に答えるコーナーなどが設けられ、市民ら250人が認知症への理解を深めた。

京都府認知症応援大使
7人が就任

 
委嘱状交付の様子
 
 
委嘱式に参加した6人の
京都府認知症応援大使

 認知症への関心や正しい理解を深めるため、府内で普及啓発活動を行う「京都府認知症応援大使」がこのほど決定し、京都府による委嘱式が12月7日、府庁で行われた。府内在住の認知症当事者、男性6人、女性1人が就任した。

◆全国各地で取り組む
本人発信の啓発活動

 「京都府認知症応援大使」は、京都府が認知症当事者を対象に募集。府および市町村などが行う普及啓発活動で、認知症になっても希望を持ち、前を向いて暮らす姿を積極的に発信し活動していく。府内では初の試みとなる。
 普及啓発・本人発信支援は、2019年6月に厚生労働省が取りまとめた認知症施策推進大綱で、認知症施策の柱の一つとして掲げられている。大使の任命は厚労省が、各地域で暮らす認知症当事者と共に普及啓発を進める体制を整備し、発信の機会を拡大するため全国に呼び掛けた。現在では京都府のほかに、13都県で同様の取り組みが実施されており、約40人の大使が活動している。

  


◆思いや経験を本人の言葉で
 委嘱式で、西脇隆俊知事は「地域のなるべく多くの方に、自分事として考えてもらいたい。京都府認知症応援大使の方には、ご自分の言葉で思いを発信してほしい」と話した。
 委嘱を受けた下坂厚さんは「誰でもなり得るのに、いまだに正しく理解されず、悪いイメージを持つ方が多い。今後、自分の言葉で発信し、皆さんと力を合わせて普及啓発に努めていきたい」と語った。幸陶一さんは「私は認知症について悲観的に考えていない。認知症になっても周りの人に支えてもらいながら、やりたい事をやって楽しい人生を送っている」と笑顔で話した。
 任期の2年間は、イベントや講演、広報誌などへの寄稿、出演、研修会への参加が想定されている。府民の理解を深めるとともに、既に認知症と向き合っている他の当事者が、社会参加することを目指す。

認知症とともに生きる 「オレンジトーク」
*** 受付終了 ***

 認知症の人やその家族、専門家、地域の人たちとともに認知症への理解を深め、認知症になっても安心して暮らすことのできる社会について考えます。
お席に若干の空席がございますので当日申し込みを受け付けます。ぜひ会場にお越しください。(参加無料、定員480人)

【概要】
日 時:12月24日(土) 13時半~15時(開場13時)
会 場:京都府立京都学・歴彩館(京都市左京区下鴨半木町1−29)
◉京都市営地下鉄烏丸線「北山駅」1番出口から南へ徒歩4分
◉京都市バス4系統・北8系統「北山駅前」下車、南へ徒歩4分
※公共交通機関でご来場いただきますようお願いいたします。

内 容:
1、京都府認知症応援大使記念トークセッション
「認知症について知ろう~本人・家族の視点から~」
下坂 厚さん、鈴木貴美江さん・祐三子さん ほか
コーディネーター:松本恵生さん(京都市岩倉地域包括支援センター センター長)

2、パネルディスカッション
「備え、ともに生きるために~知っておきたい!認知症のギモン~」
西村 幸秀さん(医師、京都府医師会 認知症対策担当理事)
井上 基さん(ケアマネジャー、京都府介護支援専門員会 会長)
下坂 厚さん、松本 恵生さん(予定)

先の自分に、不安をもたない

 『認知症の人と家族の会』が今年発行した冊子の巻頭に寄せた伊藤俊彦さん(宇治市)の文章です。俊彦さんは2012年にアルツハイマー型認知症と診断されました。ページをめくると、「難しい時期」を乗り越えられたのは、「同じ病気の本人・家族の方々と出会ったこと」と振り返る妻・元子さんの文章。現在、俊彦さんは元子さんとともに、診断間もない本人や家族の相談に乗る「ピアサポート」活動を行っています。私たちの「前を歩む人」として。

 私は、アルツハイマー型認知症と診断されてから十年が経過しましたが、今もそれ程の不自由を感じることはなく、穏やかな日常生活を送ることができています。
 それは、この病気と上手く付き合うために、先の自分に不安をもたないことが、この病気の進行抑制につながるのではないかと思っているからです。そして、私がこの思いに辿り着いたのは、認知症の診断を受けた病院の「テニス教室」で出会うことができた、同じ病気を持つ「仲間」(先人たち)が教えてくれたからです。前を歩む彼らは、私に様々な姿で、多くのことを遺してくれました。
それと、妻には自分が思う事や、感じていることなどを、その都度、話をして来ています。その理由は、 この病の進行状態に変化が生じた時に、妻には早期に気づいて貰えるのではとの思いもあってのことです。
 そして、診断されてからの早い段階から、認知症であることを周囲に伝えていることで、見守って貰っているという安心感を得ていることもあるかと思っています。
お陰様で、病状にもあまり変化はないように感じられて、穏やかに夫婦で過ごすことができていることを、私は大変有難く思っています。
 この穏やかな生活が、 一日でも長く続くことを私は願っています。

伊藤俊彦

 

認知症とともに希望がもてる社会へ
京で講演会開催

 「認知症の人から見える世界」を考え、認知症への理解を深める世界アルツハイマーデー記念講演会2022「認知症とともに希望がもてる社会へ」(認知症の人と家族の会、同京都支部主催)が9月25日、京都市内で開かれ、会場とオンラインでおよそ300人が参加した。

 

◆「認知症の人から見える世界」考えて
 講演「認知症の人から見える世界」では、若年性認知症の当事者で、福祉施設で働きながら認知症に関する講演やピアサポート活動を続け、写真家としても活躍する下坂厚さんと、「認知症未来共創ハブ」リーダーで、認知症の人へのインタビューを重ねる慶応義塾大大学院教授の堀田聰子さんが対談。下坂さんがアルツハイマー型認知症と診断され、現在に至るまでの心境を、日々撮り続けてきた写真とともに解説。認知症の人特有の困り事や認知症の人から見える世界について話し合った。

◆新しいことに挑戦、生活の再構築を

 シンポジウム「『認知症を知ろう』〜知って備える〜」では、認知症や加齢による認知機能の低下に備えることに焦点を当て、認知症の人や介護家族、支援者らが話し合った。
 大学病院で老年内科医として勤務し、12年前に認知症と診断された奈倉道隆さんは、診断後も教鞭をとり、介護福祉士の資格も取得した。奈倉さんは「たとえ認知症があっても、本人次第で新しいことに挑戦し自らを再開発できる」とし、自身で作成した講演メモを手に「忘れない努力より、忘れても困らない努力を」と訴えた。奈倉さんの診断を担当した神経内科医の中村重信さんは、当時のやり取りを振り返り、認知症は発症年齢・症状・程度・本人の生活状況などに多様性があるため「個人個人に合わせた対応を」と指摘した。
 地域で暮らす高齢者の相談窓口である地域包括支援センターの役割・活動を紹介した東九条地域包括支援センター長の出口むつみさんは「認知症に関わらず、困り事は地域でも解決できる。普段から地域とのつながりを持って」と語った。
 コメンテーターとして参加した下坂さんは「診断後も前向きに生きるため、生活の再構築は重要。本人の意向にもっと耳を傾けて」と感想を述べた。

9月は世界アルツハイマー月間
認知症啓発イベント各地で


 9月は「世界アルツハイマー月間」。中でも、21日は世界アルツハイマーデーに制定されており、認知症への理解を呼びかける啓発活動や関連行事が行われる。認知症は他人事ではない。地域で活動する人との出会いや交流の場にぜひ参加してみては。府内で行われる関連行事をまとめた。


9月の主な関連行事
◉講演会「認知症にそなえる~この街で、笑顔で生きる」
【日時】9月6日 14〜16時
【講師】認知症疾患医療センター 医師 才村泰生氏
【会場】向日市福祉会館 3階 大会議室
☎︎075・932・1990

◉「図書館を起点とした認知症とともに生きる地域づくり ひとあし先に認知症になった私からあなたへ」
【日時】9月16日 14〜15時15分
【講師】下坂厚氏(若年性認知症当事者)、下坂佳子氏
【会場】いわくら病院本館大会議室
☎︎075・702・8510

◉認知症フォーラム「認知症の人の思いを聴くことからはじめよう」
【日時】9月21日 13時30分〜16時
【第1部】ともに活動する認知症サポーターの活動紹介
【第2部】ともにできることを考える
【対象】京都市内在住・在勤の方
【定員】先着200人 オンライン
☎︎075・354・8741
https://kyoto-np.jp/_EEJxcxg

◉「Live! ライトアップ2022」
【日時】9月21日 19〜20時
京都を中心に全国各地のオレンジライトアップスポットを、Zoomで中継、その様子をYouTubeライブ配信
☎︎050・5358・6580
https://www.alzheimer.or.jp/?p=48902

◉世界アルツハイマーデー記念講演会2022/京都府地域包括ケア府民講座「認知症とともに希望がもてる社会へ」
【日時】9月25日 13〜16時30分
【講演】「認知症の人から見える世界~堀田聰子氏と下坂厚氏による対談~」ほか
【会場】京都JAビル&オンライン
☎︎050・5358・6580
https://www.alzheimer.or.jp/?p=49532 

9月は府内各地のランドマーク・名所が認知症のシンボルカラー“オレンジ”にライトアップ!
【京都市内】京都府庁旧本館(9月15〜21日)、京都タワー、京都市京セラ美術館、京都市庁舎(いずれも9月21日)
【八幡市】さくらであい館展望塔(9月20〜26日)
【京田辺市】市役所庁舎内、出先機関、SOSネットワーク協力機関(いずれも9月1〜30日)
【久御山町】くみやま夢タワー137(9月17〜23日)
【亀岡市】平和台公園平和塔、亀岡駅北口噴水(いずれも9月15〜21日)
【南丹市】国際交流会館(9月21、22日)
【福知山市】福知山城(9月20〜22日)
【舞鶴市】舞鶴赤れんがパーク5号棟、田辺城城門、五老スカイタワー(いずれも9月1日〜30日)、中丹東保健所(9月20日〜22日)
【宮津市】天橋立ライトアップ『光のアトリエ』(9月21〜23日)

「記憶とつなぐある写真家の物語」下坂厚さんの写真巡回展を開催
※いずれも入場無料・申込不要
◉京都市役所西庁舎展示スペース
【日時】開催中〜9月1日

◉舞鶴赤れんがパーク4号棟
【日時】9月3日 10〜16時
◆下坂厚さんトークショー
【日時】9月3日14~15時 
定員:60人 
申込:8月25日 9時から電話にて受付(先着順)
☎︎0773・66・1018

◉宇治市役所1階市民交流ロビー
【日時】9月5〜9日8時30分〜17時15分(初日は13時から、最終日は正午まで)

◉亀岡市役所市民ホール
【日時】9月8日 10〜16時

◉府山城広域振興局木津総合庁舎府民ホール
【日時】9月12〜16日9〜16時

◉精華町役場図書館前スペース
【日時】9月12〜16日8時半〜17時15分

◉大津市立図書館 本館 3階
【日時】9月15・22日10〜16時
◆下坂厚さんによるギャラリートーク
【日時】9月22日14~15時
定員:30人
申込:9月5日10時から電話にて受付(先着順)
☎︎077・528・2741

◉弥栄ゆう薬局
【日時】9月29日〜10月5日 月木:8時45分〜19時、火・水・金:8時45分〜18時、日:9時〜13時

  

安心して暮らし続けるために
認知症に関する情報を集約・発信

 高齢者の5人に一人が認知症になるといわれる時代、認知症と向き合うために必要な情報とはどんなものだろうか。「もしも」に備えた情報や地域の認知症関連の取り組みなどを関係機関が連携し、府民に向け発信するポータルサイト「きょうと認知症あんしんナビ」を紹介する。

 きょうと認知症あんしんナビは、京都府や京都市、医療・介護・福祉団体でつくる京都地域包括ケア推進機構が認知症に関する医療・介護・福祉の情報を一体的に集約・発信することを目的に2014年にオープンした。 

 サイトでは、認知症についての基礎知識や資料の閲覧、コールセンター、地域包括支援センターなどの相談窓口や地域の認知症カフェの検索、医療機関(専門外来、認知症疾患医療センター、認知症サポート医など)、介護サービスの検索など、認知症の人と家族向けの情報がテーマごとにまとめられている。また、認知症ケアの事例集や研修ツール、研修会情報など、関係者(行政担当者や専門職、事業所など)の利用も想定している。サイトを所管する京都地域包括ケア推進機構事務局の中村早苗さんによると、閲覧数でみると医療機関検索と認知症カフェ検索の利用が特に多いという。
 「お知らせ」やブログでイベントや地域の活動も取り上げ、府内の市町村や保健所など公的機関のほか、認知症カフェにも積極的に発信を呼び掛けている。中村さんは「もっと多くの府民や関係者に知っていただき、利用してもらいたい。府民向けのイベントも掲載しているので、実際に参加して認知症への理解を深めてもらえれば」と話す。

~若年性認知症の人の暮らしを「まるごと」支える~
専門職対象の研修をオンラインで開催 
*** 受付終了 ***

 京都市では専門職を対象に、若年性認知症の基本的な知識を学んだ上で、若年性認知症の支援について考える「令和4年度若年性認知症支援基礎研修~若年性認知症の人の暮らしを「まるごと」支える~」を6月2日にオンラインで開催する。
 研修では、若年性認知症の支援に特化した専門職である「若年性認知症支援コーディネーター」から、若年性認知症の人が利用できる「労働」に関する制度・サービスを中心に講義が行われる。また、若年性認知症の人への支援や若年性認知症支援コーディネーターとの連携について、若年性認知症支援コーディネーターと支援を受けた若年性認知症本人との対談も実施する。

○日 時:令和2022年6月2日(木)13時30分~16時(13時10分~受付開始)
○場 所:オンライン(ZOOM)開催
○対象者:若年性認知症の人の支援に携わる方

○内容:
・講話「若年性認知症を取りまく状況」
 講師:京都府医師会認知症担当理事 認知症サポート医 西村幸秀先生
・対談「知っているようで知らない制度と、若年性認知症支援コーディネーターのこと」
 講師:京都府こころのケアセンター 若年性認知症支援コーディネーター 木村葉子氏
 若年性認知症本人 田代徳子氏
・グループディスカッション「若年性認知症の人の暮らしを「まるごと」支えるために」
○参加費:無料
○定員:80人
○申込方法:「お申込みフォーム」に必要事項をご記入し応募。
https://sc.city.kyoto.lg.jp/multiform/multiform.php?form_id=5437
申込締切日:2022年5月27日(金)

〝認知症にやさしい〟モノやサービスを
企業の役割に注目

 認知症になっても安心して暮らし続けられる社会を実現するため、企業が果たす役割に注目が集まる。府内外の企業が参加する「認知症にやさしい異業種連携協議会」の報告会がこのほど開かれ、会場とオンラインで230人が参加した。


◆府内外71社が参加連携を深める

 協議会(事務局・京都府)は2019年に設立。職種の垣根を超え、府内外から71社(22年3月現在)が参加する。“認知症にやさしい”モノやサービスを検討することがねらいだ。昨年から取り組む「ビジネスアイデアワークショップ」では、認知症と診断された人や行政、医療・福祉関係者らと企業が3グループに分かれ、「認知症にやさしいマッチング掲示板」「認知症の人の就労支援」「QOL(生活の質)・セキュリティ向上に資するサービス・機器導入支援」の3テーマで活動した。


◆当事者・支援者の声を聞きだれかが無理をしないサービスを
 「マッチング掲示板」は、当事者、支援者、企業をオンラインでつなぎ、専門家らの助言の下、当事者のニーズに企業が答えるという構想だ。しかし、実験で思うような成果が得られなかった。そこで、対話の機会をつくるイベントを実施したところ、参加者に笑顔があふれ、交流が生まれた。担当者は「交流の“場”づくりこそ、当事者のニーズ」と結論付けた。
 「就労支援」では関係者への調査から、就労支援は当事者側では世代間で、支援する側も企業・福祉事業者間で、求められるものの違いが浮き彫りとなった。支援方法では「企業による業務委託」に着目。充実させるには企業と、当事者を知る支援者をつなぐ相談窓口が不可欠と語った。
 ICT(情報通信技術)などで生活の質やセキュリティー向上を目指す「サービス・機器導入支援」は参加者が遠方に住む両親への機器導入の経験から着想した。地域包括支援センターへの調査でICT活用が進まない実態と連携先として、当事者・支援者に近い自治会への期待が高いこともわかった。潜在的な需要を見込み、今後、実証実験を重ねる方針だ。
 協議会座長を務める府立医科大・成本迅教授は「医療・福祉関係者だけでは思いつかない事が多い。持続的なサービスはだれもが無理せず続けられることが大事」と取り組みの意義を話した。

受診の際は、近況を記したメモの持参を

初診の際に持参された1枚のA4用紙がある。
“夫は、もしかすると認知症かもしれない”
そう感じるまでの気になった様子が記されている。
「先生の前だと、言いたいことが伝えられないかもしれない」
「あの時これを伝えておけばよかった、と後悔したくない」
そして何よりも
「本人を前に、自分の口から日々の様子を説明するのはつらい」
だから、注意して細かくメモを取ったという。

介護から学んだ大切なこと
安藤和津さん 京で講演

 認知症の人と家族の暮らしの支援について考える「世界アルツハイマーデー記念講演会(認知症の人と家族の会、同京都支部主催)」が京都市内で開かれた。エッセイスト・コメンテーターの安藤和津さんが認知症の母との約12年におよぶ壮絶な介護体験を語った。会場とオンラインでおよそ350人が参加した。


◆初期の症状、見逃さないで

 「認知症初期の黄色信号」―安藤さんは母の異変をこう振り返った。母の生活が突然乱れ、妄言・妄想、ヒステリーが続いた。何が起こっているか分からず、母への違和感と戸惑いは、症状が進むにつれ、憎悪、不信の情に変わってしまったと声を詰まらせた。
 当時「認知症」という言葉はまだ一般的ではなかった。主治医に相談しても取り合ってもらえず、母もまた検査を拒んだ。数年が過ぎ、検査入院で脳腫瘍が危険な状態と分かると、在宅介護を選択した。この腫瘍が原因で認知症を発症していたと知るのは、後に心療内科を受診してから。「よく今日までご一緒にお暮らしになられましたね」。医師の言葉に救われる思いだった。


◆抱え込まず、苦しみ、辛さを共有できる人を
 安藤さんは介護後半から母をみとった後も「介護うつ」「介護後うつ」に苦しんだ。「今はネットで同じ境遇の人とつながれる時代」「抱え込まず、苦しみ、辛さを共有できる人が必要」と話す。さらに、自らが「介護うつ」と自覚したときは「ほっとした」そうで、すぐ病院を受診、「診断を受けることも大事」と話した。
 回復の兆しは孫の誕生だった。「人生の入口、出口はオムツのお世話にならなきゃいけないのが、人間なんだな」。孫に亡き母を重ね、「見送った喪失感が満たされていった」という。偶然見たお笑い番組で大笑いした瞬間「黒い塊」が口から飛び出て、周囲の彩りがよみがえるのを感じた。
 2025年、高齢者の5人に1人は認知症の可能性があるとされている。安藤さんは「認知症は神様からのプレゼント。生活力(=人間力)を高め、『一日一笑』をモットーに楽しい日々を過ごして」と結んだ。

【オンライン】「認知症とともに生きる」安藤和津氏講演会1月29日開催
*** 受付終了 ***

認知症の人と家族の会と同会京都府支部は、2022年1月29日(土)13時から、世界アルツハイマーデー記念講演会2021/京都地域包括ケア府民講座「認知症とともに生きる」~認知症と向きあうあなたへ~(共催:京都府)をオンラインで開催します。エッセイスト・コメンテーターとして活躍する安藤和津氏が、認知症の母親と過ごした自身の経験などを語る講演のほか、シンポジウムなども行われます。申し込み(オンライン配信のみ)は、チケットサイト「Peatix」(https://wad2021-kyoto.peatix.com/)から。
参加費:1,000円(税込)(事前申込必要)。
※新型コロナウイルス感染症の感染状況によっては、開催が変更となる場合があります。

下坂 厚 氏 写真展 & トークショー「記憶とつなぐ」
*** 受付終了 ***

認知症の人と家族の会は、2022年1月30日(日)10時から、認知症ご本人の下坂厚氏がInstagramで発信している、認知症の人から見た日常の風景の写真展とトークショーをゼスト御池 御幸町広場(京都市中京区)にて開催します。
 下坂氏は、2019年、46歳で若年性アルツハイマー病と診断。介護職として働きながら当事者として講演などを行っています。来場者には記念品プレゼント有(なくなり次第終了)。