京料理が
登録無形文化財へ

佐竹力總
株式会社美濃吉 代表取締役会長（10代目当主）

今、海外では日本食ブーム。海外にある日本料理レストランは15.9万店（2021年9月、外務省調べ）となり、この8年間で実に2.8倍に増加しました。13年に「和食；日本人の伝統的な食文化」がユネスコ無形文化遺産に登録されて以来、「和食＝ＷＡＳＨＯＫＵ」「一汁三菜（米飯、みそ汁、お新香、主菜、副菜）」が浸透してきた中で、22年10月、文部科学相の諮問機関である文化審議会は、「京料理」を国の登録無形文化財に登録するよう文部科学相に答申しました。
今回、京料理は「料理」そのものに加え、深い趣をたたえる「室礼﹂、おもてなしの心による「接遇」の三位一体によって文化的価値があると位置づけられました。また、京料理は京都の気候風土や伝統行事と密接に関わっているため、京都の生活文化史を知る上でも意義があるとされたのです。
京料理店（料亭）は日本文化の凝縮空間、食と伝統のテーマーパークと言えます。登録が実現すれば、京料理の継承活動などに国からの財政支援が受けられるとのことで、これからの京料理業界の継承・発展に大きな希望が持てます。コロナ禍により、多くの料亭が閉店しつつありますが、それにも歯止めがかかると期待されます。
「美濃吉」一同、今年も日本の食文化、京料理の継承者としての責任と気概を胸に、すべてのお客さまに感謝しつつ精進してまいります。