日々の積み重ねが
やがて大きく花開く

北尾和彦
京都薬品工業株式会社 代表取締役会長

明けましておめでとうございます。皆さまには良き新年を迎えられたこととお喜び申し上げます。
今年の干支は癸卯ですが、癸卯には、「これまでの努力が花開き、実り始めること」といった意味があり、長年努力してきた新薬開発が癸卯のようになればと思っています。
新薬の開発には、10年以上の長い年月がかかる上、成功確率は2万2407分の1と極めて低く、しかも膨大な研究開発費が必要です。
海外に禅の思想を広められた鈴木大拙先生は96歳の天寿を全うされましたが、ある時先生に「長寿の秘訣は何ですか」と尋ねた方がおられました。先生は鎌倉の松ヶ岡文庫にお住まいで、家に帰るのに毎日階段を135段上っておられました。先生は「上を見て135段と思ったら疲れてしまう。それを一歩一歩上っていく、つまり自分の目の前の仕事を一生懸命、感謝の気持ちを持ってやっていく。毎日ありがとう、それが長寿の秘訣だ」とおっしゃいました。新薬開発においても、大きな成果につなげるためには日々の仕事を一生懸命こつこつ積み重ねることが大切だという教訓を与えてくれます。
今年も、新薬開発にふさわしい京都の町で、「和親協力 誠実報恩」の社是の下、病で苦しんでおられる患者さんに早く新薬を届けられるよう一歩一歩努力いたします。