新型コロナウイルスと
人生観

柿本新也
柿本商事株式会社 代表取締役会長

2019年12月末に中国湖北省武漢市で確認された新型コロナウイルスは、瞬く間にパンデミック（世界的大流行）となって全世界に感染が広まった。
日本では、20年4月には第1波が押し寄せ、現在第8波まで来ている。約3年続くコロナウイルス対策（政治・経済・医療問題）に対し、国民はある意味限界を感じている。しかし、私が最近考えることは、今回のコロナウイルスによって、30代、40代の人たちの人生観・価値観が大きく変化しているということだ。これは新型コロナウイルスによる功績でもある。
今までは毎日会社に出勤して、朝からミーティングや営業活動、訪問客の対応に追われていた状況ががらっと変わった。それはITの進化に伴う変化であろうし、そのことは東京一極集中に対する変化でもある。
最近特にドキュメンタリー番組で過疎地域へ移住する家族や若者の姿が報じられるなど、自然と一体化した生活環境を求める人たちが増えているように感じる。経済面での苦労はあっても、地域住民とのコミュニケーションをしっかり持って地域に溶け込み、一つの共同体として生活している。これは特に農業に言えることだが、田や畑で自分たちが作物を育てることの意義は大きいし、子どもたちも自由に地域に溶け込み楽しんでいる。何も今回のコロナウイルスの影響だけではないと思うが、人生観・価値観が変化した一因ではなかろうか。