文化が創造する

大垣守弘
大垣書店グループ 代表取締役

文化を発信し広める「舞台」とも言われる京都。有形無形を問わず、文化を形づくるさまざまな材料がそろうこの京都に、本年3月文化庁が移転されます。伝統文化が蓄積し、貴重な文化財も豊富な、素晴らしい土壌を持つ京都という「舞台」がさらに整い、飛躍する契機になることを期待してやみません。
京都へどのような変化をもたらすのか期待が膨らむ一方、長引くコロナ禍の影響や、混沌としていく世界情勢、日本国内における急激なインフレと物価高、そして格差社会が現実となっている状況の中、未来を担う世代が夢を持てる社会とはどんな姿なのでしょうか。
文化の原点は「文」であり、活字文化はどのようなことがあってもなくなることはなく、必要とされ続けると考えます。日本文化の根幹となる平仮名が生まれたのも京都で、平仮名が発明されたことで表現が奥深くなったとも言われています。多様な生き方が選択できるようになり、次々と新しい文化も生まれる現代。子どもたちが情報や知恵、知識を活字から得ることで、興味を持ち、自己肯定感を高め、夢を叶える。そして伝統を受け継ぎ、それを糧に創造していくことが好循環を生みます。新しい変化を起こすような社会となるよう、活字文化の重要性を伝えることで、京都の未来を担う子どもたちの夢の実現を手助けすることがわれわれの大きな使命だと思っています。