賛同企業代表者 文化人 対談シリーズ
経済面コラム 未来を思い描く

未来を思い描く
~次世代からのメッセージ~

新たな暮らしの実践へ

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-近未来の京都の姿とは―

※小型無人機ドローンから撮影した京都市内の街並みをAI(人工知能)により加工、生成。
協力/データグリッド(京都市左京区)

AIによる画像生成の模様はこちら

川﨑桃太

平和ですね、新しい時代に期待したいことは。山口県の旧制中学時代、家族でブラジルに移住しました。サンパウロでキリスト教を勉強し、1956(昭和31)年に帰国すると、同級生の多くは戦死していました。日本に残っていれば私もどうなっていたか。ブラジルでカトリックの信仰を得て、織田信長らに身近に接した宣教師フロイスの著書「日本史」を研究してきました。2年前に食道がんを患いましたが、今も肉を食べ、「長寿の道」と名付けた琵琶湖疏水べりを散歩。喫茶店でコーヒーを楽しんでいます。体調がよい日曜には、今も地下鉄でカトリック河原町教会に出向き、世界平和を祈るんです。104歳まで生かしてもらったのは、常に前向きだったからでしょうね。

川﨑桃太

京都外国語大名誉教授

菅野 拓

災害のたびに仕切りもない体育館に詰め込まれ、疲れた顔の被災者の姿が報じられます。避難所の法的根拠は、1947年施行の災害救助法。社会全体が貧しい状況にあった戦後すぐの立法で、現代の災害にはそぐわない。国連などが支援する途上国の災害での避難所や食事より、日本の方が劣っているのが現状です。
私は京都大で公園設計を学んだことから、ブルーシートが家代わりのホームレス支援に関心を持ち、NPOを運営するなどして研究と実践を続けてきました。被災者は家を失った人。ホームレス支援と同様の方法が必要です。支援制度は個人にはわかりにくく、生活再建には個人に寄り添う「伴走型支援」が必要です。これらの課題は選挙の争点にもなりにくいのですが、災害が頻発する今こそ、法を含む社会システムを早急に変える必要があると考えます。

菅野 拓

人と防災未来センターリサーチフェロー (撮影=三木千絵)

佐野友亮

スノーボードのカナダ遠征で、「子どもの時から山で滑ってきた選手にはかなわない」と痛感。自分も、幼いころからなじんできた世界を仕事にしようと思いました。京都の山越で木々に囲まれ、職人さんたちを見て育ち、代々庭づくりの家を継ごうと考えたのです。祖父(桜守の佐野藤右衛門さん)、おやじから離れ、横浜で修業して実家に戻り、京都の仕事のレベルの高さを実感しました。たとえば祖父が茶室建築家・中村昌生さんらと手がけた京都迎賓館。手入れで伺う度に手間を惜しまず、見えない部分も丁寧な仕事を施し、その積み重ねが長く残る庭を作ったと感じます。まさしく庭屋一如ですね。
龍安寺の石庭が好きです。完成され、これを越える庭は出てこないのではないか。ただ、作りたいものより施主さんの要望にどうこたえるか、です。庭づくりにアートの感覚を取り入れ、和の建築と日本庭園という世界観をふくらませていけば、造園業を志す若者が増えるかもしれません。今は、祖父や父のころからの伝統が変わる時代の境目だと感じるのです。

佐野友亮

植藤造園 (撮影=三木千絵)

鷲尾龍華

石山寺は瀬田川西岸にあり、真言宗の大本山です。平安時代には京都の清水寺、奈良の長谷寺と並んで三観音と称されました。ドナルド・キーンさんが何度か訪れ、「紫式部が『源氏物語』の構想を練った寺、といわれたのもうなずけますね」と評されました。3月にニューヨークのメトロポリタン美術館で「源氏」展が始まり、ゆかりの寺として本堂を再現しています。開幕の法要を執り行い、日本文化の海外発信の重要性を感じました。日頃は石山寺子ども園で子育て支援事業に加わり、種智院大で災害被災者の話に耳を傾ける僧の養成講座のお手伝いも。これからは、さまざまなタイプの人たちが活躍できる社会が望ましいのではないでしょうか。お寺をそんな居場所にもしていきたいのです。

鷲尾龍華

石山寺 法輪院住職 (撮影=船越正宏)

野村 渚

私の母は、冷泉貴実子の妹にあたります。冷泉家は藤原俊成・定家から数えて約800年続く家系で、歴代の法事を催すため、とてもまつりごとの多い家です。古い記憶に、二尊院で行った定家卿の750年祭があります。50年毎にお祀りをするのですが、当時10歳にも満たなかった私にとっては、750年はおろか、50年でさえ途方も無く長い時間に感じられました。にも係わらず、祖母達は50年前の思い出話に花を咲かせている。その姿を見て、何十年、何百年と言う時間でも、こうして話し、行事を続けていくことで、伝承は成されるのだなと感じました。私も大人になり、文化財の保存に携わるようになって、改めて古典や美術、伝統行事等を伝える事の難しさと向き合うようになりました。守り伝えられ、また洗練されてきた先人達の営み、時間を思うと、文化の大切さをより強く感じます。今、私に回って来た文化のバトンを次代へどうやって伝えようか、日々模索しています。

野村 渚

平等院学芸員 (撮影=辰巳直史)

澤邊芳明

AI(人工知能)に代表されるテクノロジーの進化によって可処分時間が増える中で、無意味に消費する時間を減らせる未来が必要。暇が増えても退屈にならないかどうか。スポーツや学びなどを取り入れた新しいエンターテイメントが未来をつくる。

澤邊芳明

ワントゥーテン 代表取締役社長
東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会アドバイザー

金氏徹平

現在の既存のあらゆる空間、時間、概念を区切っている境界線には違和感があります。この不定形で不安定な世界で生きていくには境界線は必要。ただ、大事なのはそれらを固定せず、複雑で流動的で、時には不本意に崩れることもあれば、自ら壊すこともでき、丁寧にやれば誰にでも作れる、目には見えないこともあり、見方によってはもはや気にすることも馬鹿らしくなるほど無数に存在する。そういう世界がいい感じなんじゃないかと思います。

金氏徹平

現代美術家/彫刻家(撮影=西光祐輔)

上田  誠

インターネットやSNS、スマホによって、世界は縮まったように見えてぐんと広くなりました。電車でも街中でも家庭でも。みんなここには居ず、スマホの中のどこかにいる。寂しい。喫茶店とかでわいわいしゃべりあえる未来がくるといい。

上田 誠

劇作家/演出家

谷口善右衛門

「一口だけでもしっかり味わうように」 といわれて育ち、私も今、子どもたちへ同じことを伝えています。日本には豊かな食文化が広がり、素晴らしい味が存在しています。日常の喜び 『おいしい』 の大切さを忘れないでいただきたいです。

谷口善右衛門

流芳園八代目園主

北林 功

1000年先の社会のために、今を生きる一人一人が美意識と責任感を持って自分を律し、日々行動を積み重ねていくこと。京都が1000年以上の歴史を持つ都市として今こそ世界に発信すべき価値観の一つであると考えます。

北林 功

COS KYOTO株式会社代表取締役
Design Week Kyoto実行委員会代表理事

樂  篤人

数字を追い求めすぎて、置き去りになっていく物事の本質。求めるべきは、内なる不変なものだ。「看脚下」 という禅語がある。「足下をみよ」 僕らは、今一度、己が何の上に立っているかを考えないといけない。未来は僕らの足元にある。

樂 篤人

茶碗師
千家十職 樂家次代

中村彩実

時代劇は美しい。知り、学び、稽古するほど、奥が深い。迫力ある殺陣、美しい所作、昔ながらの言葉遣い、自然に演じる先輩方を目の当たりにし、この世界に心をわしづかみにされました。殺陣は命のやりとりのお芝居。平和な時代にあって、美しくもはかないこの〝殺陣〟 がいつまでも日本の伝統美であり続けられるような未来に。

中村彩実

東映剣会 女優

田村篤史

さまざまな場所で生きることができる時代になり、風土あるいは文化的な多様性を積極的に捉え直す人が増えています。短期的な利益や市場化に惑わされない真の意味でのグローバル化と、地域に根差したコミュニティー経済がゆるやかに持続する社会を目指して。

田村篤史

ツナグム代表取締役
京都移住計画代表

富永京子

生き方やルーツが多様化する中で、私たちの要望や権利を主張し、政治に反映することがより大事になっていると思います。人々が共生できる社会を作るため、誰もがためらわず政治に参加できる社会であればと望みます。

富永京子

立命館大准教授

高橋祥子

ゲノムを中心とした生命科学とテクノロジーの進歩は今後さらに勢いを増していきますが、その未来において、人類の叡智と課題解決力の躍進が、無限の希望となると考えています。

高橋祥子

ジークエスト代表取締役
ユーグレナ執行役員

石田祐康

現在アニメーションの世界はデジタル化を進めながらその表現の領域を押し広げています。先立って推し進める自分ではありますが、最後の昭和生まれの心の内に確かにあるアナクロな部分とが拮抗しています。それでよいと思っています。

石田祐康

アニメーション監督

矢島里佳

美しく稼ぐ。経済成長のみを追い求める方法には限界が来ていること、あなたももう気が付いているはず。長らく置いてきてしまった伝統文化に、今こそ目を向けて共に動きませんか。日本だからこそできる、文化と経済が両立した 「足るを知る」経済を目指して。

矢島里佳

和える(aeru)代表

藤木庄五郎

環境に悪影響のない商品やサービスだけで構成された世界には、「環境保全」 という言葉はいらない。普段何気なく生活をしているだけで地球の環境が守られている、そんな社会をつくれないだろうか。

藤木庄五郎

バイオーム代表取締役

金剛龍謹

能楽は人間の普遍的な情念や日本の四季の移ろいの美しさを題材とすることで、650年前から続く日本人の心を伝えています。能楽が未来の人々にとっても心のよりどころとなり続けるよう力を尽くしたいと思います。

金剛龍謹

能楽金剛流若宗家

山本佳奈

「長寿大国、日本」。平均余命の延びに伴う老年人口の増加。認知症、独居、孤独死など、医療にまつわる問題は深刻さを増しています。どうか長生きしたいと思える国で、将来、生き生きと笑顔で暮らすことのできるおばあちゃんでいられるように。いま、その一助を担いたいと思っています。

山本佳奈

医療ガバナンス研究所内科医/研究員

岡田侑貴

今後10年間でAI (人工知能) が世の中に広く浸透していく時代が到来します。「AIと共に創造する社会を実現する」 をビジョンに掲げ、現在、研究開発と社会実装を進めています。AIが人類にとっての敵ではなく、真に社会、そして人の役に立つ技術とするために。

岡田侑貴

データグリッド代表取締役

添田隆司

スポーツが世界中を笑顔にし、人々を繋げる。対面の意思疎通が希薄化する中で、私たちが思い描くのはそんな未来像です。筋書きのないドラマを体験し、目撃し、共有する。リアルの繋がりの傍らに、いつもスポーツがある未来へ。

添田隆司

プロサッカークラブ おこしやす京都AC代表

高田紫帆

留学中、旅先で車窓から見えた野原には、純粋な自然美がありました。全てに物差しをあてて組み込もうとせずに、少し人間の手を離れるものがあっていいじゃないかと、そういう余裕が文化の中にいつまでも残っていてほしいなと思います。

高田紫帆

2017ミス日本グランプリ

松田鈴英

同世代には有望な選手が多く 「黄金世代」 とも呼ばれるなかで切磋琢磨し、優勝争いをしてツアーを盛り上げていきたい。目標は、優勝と賞金ランキング10位内。い ずれは世界の舞台で、海外の有名選手と競い合える日が来ることを信じて。

松田鈴英

プロゴルファー