賛同企業代表者 文化人 対談シリーズ
経済面コラム 未来を思い描く

経済面コラム
【未来に求められる人材とは】

drawing the future of tomorrow

佐々木喜一

「withコロナ」の時代に向けて

佐々木喜一
成基コミュニティグループ 代表 兼 CEO

約3カ月間、学校は休校を余儀なくされました。その間、「オンライン授業」の導入が盛んに議論されましたが、オンラインで学習した子どもは公立・私学合わせて約5%にとどまったという調査結果があります。
今年度の政府予算には「生徒1人1台パソコン」を実現するとして、2300億円の財源が確保されています。ICT教育推進のための準備があるにも関わらず、公教育によって用意されたのはオンライン授業が「できない理由」だったのではないでしょうか。しかし、全国5万教室と言われている学習塾は、その約半数が、双方向オンライン授業の仕組みを急ピッチで整え、実施しました。なぜ、「公」の施策は進まず、私教育の取り組みは進むのでしょうか。答えは明白で、経営者や従業員が子どもたちの学びを止めないため、そして保護者の信託に応えるため、必死だからです。子どもたちが最も伸びる時期に学びの機会を奪ってはならないのです。
これからの不確実な将来において、主体的・能動的に学び、課題解決能力を育むのが真の「教育」です。われわれはこれを肝に銘じ、これからの時代に対応した事業を行ってまいります。どうぞご期待ください。

廣江敏朗

新たな社会課題に思考展開で挑む

廣江敏朗
株式会社SCREENホールディングス 取締役社長(CEO)

SCREENは1943年に研究開発型企業として京都で誕生しました。現状に甘んじず、常に思考を巡らせ新しい事業や製品を創造し、果敢に挑む「思考展開」を創業の精神とし、独自の技術を多様化させながら製造装置ビジネスを展開してきました。その事業範囲は印刷からエレクトロニクスへと広がり、人工知能(AI)やモノのインターネット(IoT)などを活用したデジタルトランスフォーメーション(DX)時代においても、当社の技術は世界の最先端で存在感を発揮し続けています。また、1989年に新しく制定された企業理念「未来共有」「人間形成」「技術追究」は、昨今話題になっているESG(環境・社会・企業統治)経営に通じるものと考えています。
新型コロナウイルスの影響により、世界経済は大変厳しい状況を迎えています。私たちはこの難局を新たな社会課題を解決する機会と捉え、技術革新で挑む「グローバル ソリューションクリエーター」として、持続可能な未来の実現に向けて全力で取り組んでいきます。ステークホルダーの皆さまからの信頼と期待に応えるため、京都にルーツを持つ企業の強みである、伝統を重んじながらも変化に強いビジネスを展開してまいります。

阿久津勝己

CSVマインドが企業成長へ

阿久津勝己
キリンビール株式会社 京滋支社 支社長

キリングループは、「世界のCSV(共有価値の創造)先進企業になる」ことをビジョンに掲げ、お客さま・社会とともに将来にわたり存続・発展するため、SDGs(持続可能な開発目標)を推し進め、特に「健康」「地域社会・コミュニティ」「環境」そして「アルコールメーカーとしての責任」を重点課題と設定し解決に取り組んでいます。
キリンビールは、グループ中核企業として、全従業員からCSVマインドがにじみ出るような組織風土醸成に取り組んでいます。「世のため人のために」そして「お客さまそして地域を一番考える会社になる」を常に意識し、CSVを全社員が自分ごととして日々の仕事に落とし込み、一人一人真剣に考え、前向きに実践することを目指しています。
「withコロナ時代」において、世の中の不確実性が続く状況であっても、そのピンチ(変化)をチャンス(機会)と捉えて、社員一人一人がCSVマインドをベースに、自己変革にチャレンジし続けていきます。こうした状況下だからこそ、キリングループ商品を通じてお客さまの「日常の幸せに貢献し、笑顔を広げる」思いを強く持ち、日々企業活動を実践していきます。

続木 創

コロナウイルス禍に思う

続木 創
株式会社進々堂 代表取締役社長

ご多分にもれず私ども進々堂もコロナウイルス禍に大いに翻弄(ほんろう)されています。ありがたいのは雇用調整助成金や融資の政府特例措置。そして何より会社の実情を理解し協力してくれる従業員たち一人一人に感謝しています。営業を続けているお店にお客さまがかけてくださる「こんな時に美味(おい)しいパンをありがとう」という声にも大いに励まされ、同時にパン屋の使命を再認識させていただきました。
当たり前と思っていた「移動の自由」や「集まる自由」が、私たちの生活と経済にとっていかにかけがえのないものだったかを思い知らされました。また、地球規模の困難に世界が協働して立ち向かうことの難しさ、グローバル供給網や観光立国に潜んでいた落とし穴、わが国行政のデジタル化の遅れなども見えてしまった現実だったのではないでしょうか。
今回の教訓や反省をバネに、コロナ後の世界が、日本が、そして京都が力強く立ち直ることを信じたいと思います。私ども進々堂も8月には待望の新工場を稼働させ、これからもどんな時にも、お客さまの命と心の糧となる美味しいパンを造り続けたい、そんな思いで毎日を過ごしています。

畑 正高

思い描く・未来へ

畑 正高
株式会社松栄堂 代表取締役社長

「三密」が悪とされてしまいました。密集・密閉・密接が感染症拡大につながるからです。経済活動に大きな支障をきたし、今後の歩みは多難なこと間違いなしです。
世捨て人、隠者、仙人・・・。能動的に人との接触を断ち切った生きざまも歴史の中には散見できます。でもやはり人間は、人と交わることで自らが人として生きていることを実感できます。放浪の旅に出た人も、やはり人との縁をいただき旅ができたのです。
人が寄り合うことに意味を見いだした歴史があります。東山文化の特質の一つは、寄り合うことで享受できる時空を、かけがえのないものとして見つめることでした。茶の湯・立花(りっか)・連歌・聞香(もんこう)といった芸道は、戦乱を避けて寄り合った人々が、座を敷き詰めた空間に立場を超えて集い、昇華していった足跡です。「一期一会」「一座建立(いちざこんりゅう)」「吾唯知足(われただたるをしる)」などの哲学を伝え、「市中山居(しちゅうのさんきょ)」という境地を教えてくれます。
人の世にあって山の中に暮らすかのような精神力を求めた人たちをおもんぱかり、デジタル技術なども駆使しながら、新しい寄り合いの境地を生むべき時が来ているのだと感じています。

古田基行

人の成長=企業の成長

古田基行
サントリー酒類株式会社 京都支社 支社長

新型コロナウイルスの感染により、亡くなられた方々のご冥福と、闘病生活を余儀なくされておられる方々のご回復を心よりお祈り申し上げます。また感染者の診断や治療にあたられている医療関係の皆さまに心から敬意を表します。
当グループの理念体系に「Growing for Good」というものがあります。当社の商品やサービスを通じてお客さまの生活文化を潤い豊かなものにし、商品の源泉である自然の恵みに感謝し、自然環境をより良いものにしていく。それを実現していくために日々、企業として成長するという志です。いかなる時代にあっても企業が成長を追い求めることは当然ですが、社会との共生を前提とした成長でなければなりません。
この成長を支えるのがグループに集うわれわれ一人一人の人間力です。さまざまな価値観を受け入れながら、失敗や反対を恐れず、常識を疑い視点を変え、常により良く、お客さまや社会にとって必要なものを生み出そうとする前向きな姿勢。当グループのDNAである「やってみなはれ」精神です。この情熱と挑戦意欲に満ちながら、誠実で人間力豊かな「Good Person」こそがサントリーグループにとって必要不可欠な人材と考えています。

松井 雄

人に寄り添うのは、 人しかいない

松井 雄
株式会社公益社 代表取締役社長

新型コロナウイルスが原因の方をはじめ本年お亡くなりになったすべての皆さまに謹んでお悔やみを申し上げます。そして、日夜奮闘されている医療従事者の方々に心からの感謝をお伝えします。
今回のウイルス蔓延(まんえん)は、ご葬儀にも影響を与えています。感染防止のために参列できない。大切な人の顔を見ぬまま、お別れをしなければいけない。そんな悲しい状況の中にいます。同時に、各分野で激変が始まっています。葬儀業界も例外ではありません。終活や家族葬、人生100年時代…それらの新しい価値観以上の大きな変化が地域の慣習にまで及んでいく。変化との並走が試されています。私たちも、ご葬儀のネット配信・参列のためのシステムを準備いたしました。その鍵は、デジタルと私たちの財産である「人」との融合です。
公益社には、さまざまな人間がいます。お客さまのご葬儀で自分の親を重ね、思わず涙する者がいる。プロは泣くべきではない、と自らを律する者もいる。 「一人ひとり」の社員が「一人」の人間として、ご葬儀に、お客さまに向き合ってきました。人に寄り添うのは、人しかいない。その心を決して忘れてはいけない、と強く思う毎日です。

大倉治彦

明るい未来を自分たちで体現する

大倉治彦
月桂冠株式会社 代表取締役社長

私どもは380年以上の歴史がある非常に古い会社です。しかし、決して昔ながらの仕事をそのまま続けているわけではなく、常に新しい試みにチャレンジしてきました。伝統とは革新の積み重ねであり、それを体現してきた会社だと言えます。社員には、常に仕事を改善し、挑戦する気持ちを持ち続けるよう鼓舞しています。職場で先輩から教わり、マニュアルを読んで業務を遂行するだけでは仕事を覚えたことにはならず、覚えた仕事を自分で改善し、より良いやり方に変えることができて初めて一人前だと私どもでは捉えています。
令和の時代には大きな変化が起こる可能性があり、そのための新しいビジネスモデルを考え、会社も生まれ変わらなければなりません。どんな形に生まれ変わるかを一人一人が考える必要があり、会社は社員の考える力を支える。変化への対応で一番重要なことは、結局、人材の育成ということになります。これからの社会や会社に、何が必要かを真剣に考えることができる、そういう人材を育て、明るい未来を自分たち自身で体現していく、このような志を持って仕事を進めていきたいと思っています。

森島朋三

コロナ禍、問われる大学の存在意義

森島朋三
学校法人立命館 理事長

世界で猛威を振るう新型コロナウイルス。私たち大学人がいかに行動できるかということへの責任を感じずにはいられない。14世紀にパンデミックを巻き起こしたペスト、そして第1次世界大戦下に起きたスペイン風邪、近年では重症急性呼吸器症候群(SARS)など、人類は恐怖を伴って記憶と史実を蓄積しているはずである。また、近時の経済状態は1930年代の世界大恐慌以来とも予測されている。
それにしても、人類は大切なことを「忘れ過ぎ」ではないか。歴史史料は必ずどこかに残されている。にもかかわらず、である。であれば、歴史をたどる重要性を多としつつも、先を見通す「想像力」そして「戦略性」を一層高めることが重要ではないか。新型コロナウイルスは「生存戦略」をもって生き延びようとしている。われわれ人類の「生存戦略」とどちらが優(まさ)るか、重大な瀬戸際である。人類は今、第4次産業革命の入口にあり、人工知能や生命科学分野などさまざまな研究分野で人類未踏の峰を築きつつある。問題は、誰がそれを総合し司令塔となって人類を救うのか、である。大学の存在意義が問われている。さあ、いますぐ行動しよう。

北尾和彦

強い意志で新薬創製に挑戦

北尾和彦
京都薬品工業株式会社 代表取締役社長

世界では新型肺炎で多くの人命が失われ、経済が大打撃を受けています。京都の伝統行事の都をどり、葵祭も中止になりましたが、このような中でも自然はいつものように桜や新緑の美しさで心を和ませてくれます。
今、日本をはじめ世界の製薬企業では、新型肺炎に有効な治療薬やワクチンの開発を急ぎ、一日も早い承認を目指しています。当社では、いまだ治療薬のない病気の新薬研究に注力していますが、山紫水明で伝統文化や歴史がありアカデミアが多い京都はそれにふさわしい都市だと思われます。
4月に入社した11人の新入社員には「人間は一人では成長できないので、会社という場の中で自分自身を成長させ、仕事を通して社会に報恩しなさい。 “私は京都薬品の社員である”から“私が京都薬品である”に心を転換し、無限の可能性を信じ、会社を自分の夢を実現する場と考えて、自主自立の精神で仕事に邁進(まいしん)しなさい」と話しました。
当社の社是は「和親協力・誠実報恩」です。今こそ、治療薬を待ち望んでおられる患者さんに希望を与えられるよう、強い意志と素早い行動で新薬創製に挑戦していきたいと報恩の決意を新たにしています。

松田  武

グローバル市民の養成に向けて

松田 武
京都外国語大学・京都外国語短期大学 学長

グローバル化に伴う多民族社会への備えが必ずしも十分とは言えない日本は、グローバル人材の育成が急務になっています。国家や民族などあらゆる障壁を乗り越え、普遍的な価値を見いだし、世界の諸問題を解決する人材養成のための「グローバル・シティズンシップ教育」が大学には求められます。まさに「言語を通して世界の平和を」という本学の建学の精神が具現化されるべき時であると考えます。
時代の要請に応えるべく教育の主柱である「コミュニティーエンゲージメント」は、国内外の多様な地域社会での活動を通じ、人間のグローバルな結び付きやそのあり方を学ぶ実践的教育です。学生はコミュニティーのメンバーと協働しながら、社会参加のスキルや自律性を身に付け、グローバル市民である意味を理解していきます。外国語を駆使し異民族と共生することは「思考を深める道」を見いだすことにつながるでしょう。
2018年4月に開設した国際貢献学部が先陣を切り、将来的には大学全体でこの実践的教育プログラムに取り組んでいきます。学園創立以来積み重ねてきた歴史の真価が問われる現在、私たちは困難な課題を進んで引き受け、新たな試みに果敢に挑戦します。

橘重十九

人事を尽くして天命を待つ

橘重十九
北野天満宮 宮司

中国武漢に端を発した新型コロナウイルス感染症は、瞬く間に全世界に広まって人類を震撼(しんかん)させており、地球の狭さを実感するばかりです。「学問の神」菅原道真公を祀(まつ)る北野天満宮でも祥月命日の2月25日の梅花祭は滞りなく斎行できましたが、その後の祭事は大勢の参拝者の参集を避け、御本殿での神事に徹し、この厄災の終息を願って祈りをささげています。
「人事を尽くして天命を待つ」という格言があります。万策を尽くした上で、後は天の計らいに任せるというのが一般的解釈ですが、私はそこに祈りがなければならないと思っています。千年以上の昔、京の都でもさまざまな疫病が流行し、鎮静を神に祈りました。近代に入ってもスペイン風邪や香港風邪など、自然と共存して生きてきた人類の歴史は、一面ではウイルスとの戦いだったともいえます。
近代文明が発達し、世界のグローバル化が進んだ今、全世界の政治家・研究者・医師らが英知を絞ってこの未知なるウイルスを撃退すべく必死で取り組まれています。この危機から乗り越えられることを確信して天(天神さま)に祈る毎日です。

奥村浩二

地域社会と共に「東急グループ」

奥村浩二
株式会社京都東急ホテル 専務取締役総支配人

東急グループは交通、不動産、生活サービス、ホテル・リゾートの4領域で、多様な事業を日本全国・海外で展開しています。各事業が相乗効果を発揮しながら、地域社会と共に発展し、持続可能な生活環境の創造を目指しています。
国内外27地区で組織される「東急会」では、グループ各社社員の地域社会への貢献を目的とした活動を約半世紀にわたり行っています。清掃活動や文化・スポーツイベントなど、さまざまな活動を通じて、社員と地域の皆さまとのコミュニケーションを深めています。
京都での活動の一例としては、狂言方大蔵流能楽師茂山忠三郎氏、フレンチの巨匠三國清三氏、映画監督中島貞夫氏らによる文化講演会や、京都サンガFCさまと共に親子サッカー教室などのスポーツイベントを毎年開催しています。今年度は残念ながら新型コロナウィルス感染症拡大防止のために活動は自粛させていただいておりますが、罹患された皆さまや影響を受けられている皆さまに、心よりお見舞いを申し上げますとともに、早期終息によりイベントを再開し、地域の皆さまにまた参加いただけることを願っております。

榊田隆之

寄り添う金融・つなげる金融

榊田隆之
京都信用金庫 理事長

当金庫は1971(昭和46)年に「コミュニティ・バンク」の理念を世に提唱して以来、地域社会の発展や豊かなコミュニティーの形成を皆さんと共に考え、実践してきました。
新型コロナウイルスにより世界中が混乱し、地域の皆さまにとってもその影響が甚大であると思います。このような時にこそ「雨の日に一本でも多くの傘を貸す金融機関」でありたいとする私たちの役割はますます重要であると考えます。
すべてのお客さまに資金繰りのご相談や返済方法の見直しをお伺いしてスピーディーに対応すること。住宅ローンなどをご利用の個人のお客さまからのご相談に臨機応変に対応すること。投資信託などのリスク資産を保有するお客さまにはご連絡をすること。いずれもこの時期、最も大切にすべき「Banker(バンカー)」としての基本姿勢であり、地域の皆さまから強く求められていると思います。
地域が一日も早く安定を取り戻すために、当金庫は「寄り添う金融」、「つなげる金融」の実践に専念してまいります。

土井伸宏

理念の変わらぬ実践

土井伸宏
株式会社京都銀行 頭取

私どもは創立間もない戦後復興期の資金逼迫(ひっぱく)の際、産業勃興を金融面で後押しすることで、多くの京都企業の成長に伴走しました。その後、お客さまと共に培ってきた高い健全性は、バブル崩壊後の金融変革期にいち早く広域展開を可能とし、174カ店の広域ネットワークを基盤とした高付加価値コンサルティング営業を展開する現在に至っております。私どもの歴史は一貫して「地域社会の繁栄に奉仕する」という理念に基づく経営の実践でございました。
新型コロナウイルスの拡大がわずか2カ月ほどの間に環境を激変させています。収束の時期を見通すことは難しく、たとえ収束したとしても経済の停滞がしばらく続くことも想定しておく必要があります。
このようなとき、あらためて私どもの理念に基づく経営の真価が問われます。4月からスタートした第7次中期経営計画「Phase Change 2020」は、今までの計画と異なり、4千人の全役職員が議論に参加し、一人一人の地域社会に対する熱い思いを反映させて創り上げたものです。私どもはその変わらぬ地域への思いと不断の努力により理念を体現し、お客さまの期待に応える銀行であり続けます。

志村雅之

「伝統を超える革新性」

志村雅之
京都鰹節株式会社 代表取締役会長兼社長

このスローガンは伝統だけにあぐらをかかずに絶えず危機感を抱いて新機軸に挑戦する姿勢と精神をうたっています。過去や伝統だけにとらわれていた守りの企業、商店は市場から消えています。京都発の企業、家業はあらゆる分野で「進取の気性」を持ち技術革新や新製品開発などに挑み発展してきました。
昨今はデジタル思考の時代ですが、同時にアナログ思考とのバランスが大切になってきたと思います。人の心、ニーズの変化をいち早くアナログ思考で分析し手段としてデジタル機能を取り込むことが次の時代を切り開いていく要素だと確信しています。この融合が高齢化社会に優しさ、安らぎ、生きがいをもたらすことにつながると思います。京都発の企業の伝統と革新の対比はアナログとデジタルのバランスにも通じ、かなりレベルの高いアナログ思考を身に付けることでデジタルとの融合が企業の発展に寄与するものだと考えています。内外の多難な時期にこの2つの思考を組み合わせ、指針をはっきり打ち出すことが企業人に求められることと思います。
弊社はこの精神と融合を大切にし、社会の発展と企業の永続に邁進(まいしん)していく所存です。

柿本新也

「Be」

柿本新也
柿本商事株式会社 代表取締役社長

私は、人間の一生を通して最も重要なことはその人の存在だと考えている。そしてそれはエコノミーとアイデンティティーがバランスよく調和していることだと思っている。しかし若い時はアイデンティティーにエコノミーがついてこないし、年を重ねてようやく経済にゆとりができた頃には、気力も体力も落ちている。
私としては60歳を過ぎてもまだまだ今の人生に納得できないので、2年前に友人・知人約20人に声をかけて「気まぐれ同人誌」を発刊することにした。最初は「何を書いたらいいの」と聞いてくる諸氏に「アイデンティティーだよ」と言うと「分かった、それなら書くわ」と返してくる。最初は書けるのかなぁと言っていた人が、創刊号を見ると、「次いつできるんや」と聞いてきて、連載物になっている。今回第4号を出版するから、年2回の刊行ということになる。
文章を書くことは、この世の中で一番難しいと亡き京都大教授が私に言ったことは、今でも脳裏に焼き付いている。上がってきたゲラを2回も3回も校正して、やっと校了になるところを見ると、投稿者全員のアイデンテイティーになっているのは間違いない。

中村直樹

仲間と感謝

中村直樹
株式会社オンリー 代表取締役社長

当社ではお客さまや取引先さま、社員など会社に関係する全ての方を「仲間」だと考えています。この仲間であり続けるには相手に「正直」でなければなりません。
当社はスーツを中心とする紳士婦人服の製造販売を業(なりわい)としていますが、その中で大切にしていることは、価値ある良い商品を真心込めてお客さまにお届けするという、私たちが考える「正直な商売」を行うことです。そして、これを支えてもらっているのが社員など会社に集う「人」であり、この人が他の人と良好な関係を保つことで正直な商売が成り立ち、お客さまとも仲間の関係を築くことができるのだと思っています。
そのためには、何事に対しても感謝の気持ちを表現することが大切との思いから、当社では行動理念の中に「感謝」と「笑顔」を掲げています。感謝する気持ちがあれば、自然と笑顔が出てきます。
私たちは全てのお客さまの最良な仲間であり続けられるよう、常に感謝の気持ちを忘れず今後も努力を続けていきます。

木越 康

「愚者」への目覚め

木越 康
大谷大学 学長

「もし愚者が自ら愚であると考えれば、すなわち賢者である」。「ダンマ・パダ」という経典に記録される、ゴータマ・ブッダの言葉である。世界中の人々に多大な影響を与えるブッダ。いったい何を悟り、伝えようとしたのか。真理を悟った人、縁起の道理を説いた人、さまざまに表現されるが、結局ブッダは「人間はこのままではいけない」ということに目覚め、説こうとしたのだともいえる。
望むものを手に入れようとする欲望と疎ましいものを排除したい衝動が、これまで世界の発展をけん引してきた。しかしそれによって私たちはどのような進化を遂げ、何を発展させてきたのだろう。各人・各国に個別の欲望は、世界に格差と争いをもたらし、決して平穏を与えることはなかった。そのような愚かな人間に、ブッダは「このままではいけない」と説くのである。
一つの地域の苦悩と混乱があっという間に世界中へと拡散する現代、痛みを共有して、世界は一つにならなければならない。己の幸福のみを追求することの愚かさに目覚める賢者となって、共に支え合う道を模索しなければならない。それが私たち人類にとっての、真の発展なのだろう。

大垣守弘

時代を変化させられる人材

大垣守弘
株式会社大垣書店 代表取締役社長

弊社は、おかげさまで、ことし創業78周年を迎え、中長期経営計画のスローガンとして「百年書店」を掲げています。これは単にこれからの20年余りを永らえるということではありません。「地域に必要とされる書店でありつづけよう」という社是を常に実践するために、変わりゆく社会に対して絶えず変化し続ける決意と考えています。一方で、もはやそれで追い付いていけるのか、というくらいに、これから先に予測される時代の変化のスピードの速さには不安さえ覚えます。
そんな中にあって、弊社は社会の流れの変化に対応できる人材はもとより、変化そのものを生み出すような人材を求めたい。未来を予測し、さらにその先へ踏み込める人材といえば聞こえはいいですが、反面そこにはリスクが見え隠れします。しかし、失敗というリスクを回避して、先へ踏み込むことができるでしょうか。 先人たちが、失敗を繰り返しながらも時代の先端を切り開いた例は、多くの書物をひもといても明らかです。書物を通じて先人たちの知恵を学び、「時代の変化のうねりをつくることが喜びだ」と言い切れるような人材に期待しています。

松尾一哉

「当たり前」を変える人

松尾一哉
大阪ガス株式会社 理事 京滋地区総支配人

企業には「不易と流行」、すなわち、「変えてはならないもの」と「変えていくべきもの」があります。創業以来113年、当社にとって不易なるものは、「サービス第一」という社是であり、「暮らしとビジネスの“さらなる進化”のお役に立つ企業グループであり続ける」という理念にほかなりません。
一方で、当社にとっての流行なるものは環境変化への対応であり、明治期にガス灯事業を始めて以来今日まで、照明用から燃料用、発電用へのガスの用途開発、工業用・業務用から家庭用までのガス機器・設備開発の連続でした。そして、現在の電気・ガス小売り全面自由化は、エネルギー業界にとってかつてない大きな変化であり、従来の前提や常識が変わる中で、当社は自由化後の「当たり前」を変えるべくチャレンジしています。新しい「当たり前」を創り出しても、すぐにまた古い「当たり前」になっていきますので、「できた」と思った瞬間から、新たな課題への挑戦が始まります。
そのため、当社が求める人物像は、不易なる理念を貫きつつ、従来の「当たり前」を変えることに挑戦し続ける人、このように言うことができます。

栗和田榮一

多様性のある企業風土

栗和田榮一
SGホールディングス株式会社 代表取締役会長

当グループは1957年の創業以来、お客さまのために何ができるかを常に考える「飛脚の精神(こころ)」を原点とし、60余年にわたって物流事業を展開してまいりました。近年ではグローバル化の進展やIT技術の進歩などを背景に社会環境は大きく変化し、ステークホルダーの皆さまからの私たちへの期待も、多様化、高度化していることを実感しております。
多様化するニーズにお応えし続けるために当社グループが取り組んでいるのが、ダイバーシティの推進です。多様な価値観を認め合うことで、個々の能力や感性を生かし、新しい価値を生むことにより、お客様に満足をお届けできると考えているからです。
少子高齢化のますますの進展や働き方改革の推進により、これからは今まで以上に物流サービスの多様化が求められる時代になると理解しております。決まった日時にお届けするだけではなく、トータルロジスティクス機能の強化を軸としたソリューションという付加価値をお客さまにご提供させていただける、そんな企業を目指してまいります。

安元裕之

自ら考え行動する人材

安元裕之
アサヒビール株式会社 理事 京滋統括支社長

アサヒグループは、2019年1月に新グループ理念 「Asahi Group Philosophy」を制定しました。グループのミッションとして「期待を超えるおいしさ、楽しい生活文化の創造」を掲げ、世界のグループ社員と理念を共有し、持続的な企業価値向上を目指しています。
この理念のもとに、アサヒビールでは「お客様の最高の満足のために お酒ならではの価値と魅力を創造し続ける」を長期ビジョンに制定し、その実現に向けて全社員がお客さまの立場に立ち、高い目標に向かって挑戦し続けています。 これを達成するために当社では、①自ら課題を見つけ、挑戦し、やりきる力を持ち合わせている。②組織やチームに積極的に働きかけ、影響力を与え、貢献できる。③コミュニケーションに長けていて、信頼を置かれ、周囲に刺激を与え、けん引することができる。この3点を特に重視しています。酒類事業が厳しい環境に直面する中、変化に素早く対応し、多様なニーズに応え、お客さまの満足を追求していくために、自ら考え行動する人材、個人の成長を組織の成長につなげることができる人材を育成することが重要だと考えています。

福井正憲

世界一の「アナログの都」を築く人材

福井正憲
株式会社福寿園 代表取締役会長

人間は相反するものを求めるものです。今や物質的な科学技術だけでなく精神的な文化芸術の分野までデジタル化が進んでいます。このデジタル社会の数字的、「階段的」思考の時代にこそ、アナログの連続的、「ウェーブ的」思考が必要です。
デジタルな数字で解決する仕事はAI(人工知能)やロボットで事足り、人間の仕事には、綿々と受け継がれてきた歴史の連続性に基づくアナログ思考が求められます。さらに、AIやロボットが思い付かない想定外の事態には、思考の飛躍や、逆転が必要です。そのために「百聞は百見に如かず」で常に見聞を広め、「自分の目で見、自分の足で歩き、自分の心で感じる」ことが大切です。デジタル社会は論理的な個性の組み合わせで成り立つものです。それに対し、人間は、自分だけの“物差し”をしっかり持つことが求められます。特に、1200年の都で、その中心に天皇を頂き王朝文化の華を咲かせてきた京都は、世界一の「アナログの都」となるべきだと思います。できるだけ多様なものに触れ、何でもいいから「これをやったら世界一」と胸を張れるものを一つ見つけてほしいと思います。

上原晋作

「先義」を実践し、お客さまを笑顔に

上原晋作
上原成商事株式会社 代表取締役社長

当社は「先義後利」を旨とし、お客さまに対して誠意をもって接すること、正直であること、お互い笑顔になることの三つが「先義」であると解釈しております。それを実現するために、常に現場主義に徹し、お客さまとFace to Faceでのお付き合いを心がけてまいりました。今後ともリアルな接点を大切にし、先義の実践にこだわり続け、肌で感じたお客さまのニーズの変化をチャンスと捉えて日々変革に挑戦してまいります。その積み重ねがあってこそ、当社はお客さまを笑顔にする会社であり続けることができるのだと信じております。 世間を見回してみますと、ネット社会の到来は、情報の量と速度を別次元の水準にまで引き上げ、随分と私たちの知識欲を充足させてくれるようになりました。一方で情報の質という観点から見た場合に、言葉が何か記号化してしまい、言外の思いをくみ取る力が欠けてきたように感じないでしょうか。現代の情報ツールを活用しながらも美しい言葉で感情を伝え合い繊細な感受性をしっかりと育んでいくこともまた、当社が先義を果たす上で、重要な課題であると思っております。

田中恆清

祈りの心の継承

田中恆清
石清水八幡宮 宮司

石清水八幡宮は平安時代の創建以来、平安京を守護する王城鎮護の社として人々からあつく崇敬されてきました。まさに千年の永きにわたり、当宮は国家の安寧と平和を祈り続けてきたのです。
神社で行われる祈りとは、古来共同体での神々への祭祀(さいし)を意味してきました。いにしえより日本人は、鎮守の杜に集まり神々への祈りを捧げ、自然の恵みに感謝して皆で助け合いながら日々の生活を慎ましやかに営んできた民族であります。日本人の祈りの心の根底には、自分以外の家族や他者をいたわり思いやる心が流れているはずです。現在でも、初宮参りや七五三参りなど、子どもの健やかな成長を祈るため、多くの人々が神社を訪れます。
共同体への帰属意識が弱まり、他者とのつながりが希薄となっている現代社会においてこそ、日本人が受け継いできた「祈りの心」を未来へ継承していっていただきたいと切に願っております。自分さえ良ければよいという考え方ではなく、思いやりや優しさなど、人と人とを結ぶ心を、次世代の人々には大切にしていただきたいと思います。そのことを伝えていくことがこれからの神社の重要な役割であると信じております。