経済面コラム
京都の未来企業・団体
メッセージ2026

今の生き方が
未来を
伊藤唯眞
浄土宗総本山 知恩院 第88世・浄土門主
現在(いま)の生き方が未来を創る、といわれています。いまをどう生きるかで未来が決まるのです。
日本人の平均寿命は、戦後50歳を超え、今では80歳を超えています。しかし人命には長短があり、自然の四季のように整然としていません。
人の生は諸行無常であり、吉田兼好が言うように、人間は「若きにもよらず、強きにもよらず、思いがけぬは死期なり」であります。今こうして、命があるのは、「ありがたき不思議」(「徒然草」137段)なことなのです。
私たちも、いたずらに過ごすことなく、心の平安を保ち、懴悔(さんげ)の自覚、感謝と奉仕の精神を身につけようではありませんか。
さすれば明日が変わる可能性があります。その先が物質的な繁栄に直結するというものでは決してありませんが、物質よりも尊い心の充実に幸せが見いだせます。
目に見える「物」中心の世界にあってこそ目に見えない「心」の世界を見落としてはなりません。この観点からすれば、物欲中心の現代社会にあって、心・魂に関する信仰生活の重大性が認められるのであります。

ラストワンマイルの
視座に立つ!
戸島耕二
株式会社増田医科器械 取締役会長
ラストワンマイルとは、物流や情報通信などの分野において、顧客の元に届くまでの「最終区間」へのアプローチを意味する言葉です。この視点は、サービスの隙間を効率化によって補うという概念として受け取られることが多いですが、人口減少やAI(人工知能)のさらなる進化によって「医療のカタチが確実に変わる時代」を生きる私たちにとって、不可欠な価値観です。また、企業のブランディングや社員のマインドにも生かされる視座として特に注目しています。これまで当社が担ってきた安心安全の物流機能の「その先」へ、社員自身がフォーカスし、サービスや製品一つ一つに、顧客の顔や命のぬくもりを感じ取れるかどうか。その現実的かつ人間的なアプローチこそ、社員という「個」に求められる価値観であり、「人間共和の会社」を目指す増田理念の具現化であると確信します。
2028年に創業100周年を迎える私たちは、医療サービスを必要とする全ての顧客が幸福を享受できるよう「命をつなぐ」最後のとりでとしての役割を担い、100年企業の社会的使命を果たし続けるべく、この時を未来創造の飛躍台にしてまいります。

日々の
暮らしの裏側
木下昌秀
株式会社木下カンセー 代表取締役社長
朝5時、父に起こされ、目をこすりながら、収集車に同乗した。街が目覚める前に、大きな車が静かに走る。誰かに注目される仕事ではない。しかし、日々の暮らしの裏側にあるのが、廃棄物処理という仕事である。
電気や水道と同じく、廃棄物の収集や処理も、1日止まれば街の機能は大きく揺らぐ。災害時には同業者で手を携え、地域を支え合う体制づくりも進んでいる。競争相手である前に、地域を守る仲間でもある。一方で、私たちの業界では、次の担い手を育て、働く人を迎えることが大きな宿題となっている。ごみを集め、処理する仕組みを未来へつなぐためには、先輩から後輩へ仕事を引き継ぐだけでなく、人工知能を活用した選別技術や、街の課題を解決するごみ箱など、先端の知恵を生かす取り組みも欠かせない。京都には、景観や観光資源、文化財など、守り受け継ぐべきものが数多くある。地域と共に歩みながら、次の世代へ収集や処理の仕組みをしっかり引き継ぐことも、私たちの大切な役割だと思っている。
朝、収集車が走り、街が目を覚ます。当たり前の風景の裏側にある努めを、これからも静かに果たしていきたい。

人のつながりと
AIで持続的な成長
野間 晃
富士フイルムビジネスイノベーションジャパン株式会社 京都支社 支社長
私たち富士フイルムビジネスイノベーションジャパンは、急速に進化するテクノロジーや企業環境の変化に対応し、コミュニケーションを通じてお客さまのDX(デジタルトランスフォーメーション)推進を支援することが使命です。
特に2026年度は「AI(人工知能)活用」と「セキュリティー」を重点テーマとし、安全で適切なITインフラの提供や業務プロセスの再設計・再構築を通じて、お客さまの生産性向上と業務品質向上に貢献していきたいと考えています。京都には伝統産業から先端技術までさまざまな企業があり、人と人の信頼関係・つながりを大切に発展してきた歴史と文化があります。一方で、厳しさを増す企業環境を生き抜くには、人材の確保や限られたリソースの中でのDX推進といった課題を乗り越えなければなりません。また、必要な情報を選び取る難しさ、個々の認識のズレなど現代のコミュニケーションにおける問題点もあります。
私たちはAI活用を、お客さまそれぞれの課題を補う経営資源の一つとして捉え、個々の課題に寄り添いながら共に成長し、地域の活性化に貢献していきます。

素材を通じて
豊かな未来に貢献
福田宏樹
福田金属箔粉工業株式会社 代表取締役社長
弊社は、西暦1700年に創業以来、金属の箔(はく)と粉に特化して事業を行ってきました。かつては美術・工芸用途が中心でしたが、時代の変化・多様なニーズに応じ、現在は自動車、電子機器、建築などの幅広い産業分野に金属の箔と粉を提供しています。
近年、通信の高速化やデジタル化の加速とともに、事業活動による環境負荷の低減や社会課題の解決に向けた取り組みに対する関心、重要性はますます高まっており、社会の利便性と持続性の両立がわれわれの大きな課題となっています。
そのような中で弊社は、高付加価値・高機能な素材の研究開発、生産体制の強化に力を注ぐとともに、社是に掲げる「よりよい社会の建設」の実践として、環境配慮型の金属樹脂複合パネルの販売や、銅箔製品におけるリサイクル銅含有率100%の外部認証取得など、次世代へ続くものづくりを目指し積極的に取り組んでいます。これからも「箔と粉で世の中の役に立つ」という揺るぎない信念の下、積み重ねてきた技術と素材の可能性を信じ、豊かな未来の創造に貢献できるよう挑戦を続けてまいります。

100年先へ、
お茶をつなぐ
福井正興
株式会社福寿園 代表取締役社長
「お茶でお客さまを幸せにする」ことを使命として、私たち福寿園は歩みを進めています。その原点は茶畑にあります。近年、気候変動や生産者の高齢化など、お茶づくりを取り巻く環境は大きく変化しています。だからこそ私たちは、茶農家さんを単なる仕入れ先ではなく、共に未来を築く大切なパートナーと考えています。
営業や販売、製造、研究など職種を問わず、社員が茶畑に足を運び、生産現場を知り、生産者と対話し、共に品質を高めていく。その積み重ねこそが、お客さまに本当に価値ある1杯のお茶をお届けする原動力になると信じています。
京都は、千年にわたり伝統を守るだけでなく、時代に合わせて新たな価値を生み出し、未来へ受け継いできたまちです。私たち福寿園も、お茶の文化と産地を100年先の世代へ責任を持って引き継ぐとともに、人と自然が共生する持続可能な茶づくりを進め、新たな価値を創造し続けます。自然への感謝、生産者への敬意、そしてお客さまへの真心を大切にしながら、福寿園は京都・山城から世界へ、お茶のある豊かな未来を届け続けてまいります。

京都の玄関口、
その先へ
橋本修男
京都駅ビル開発 代表取締役社長
来年、京都駅ビルは開業30周年を迎えますが、京都駅前再生に向けた議論は今、駅ビル開業以来の盛り上がりを感じます。人口減少社会を見据え、ポテンシャルの高い駅前の再開発を急ぎたいとの考えがある一方、京都の玄関口が、他の都市と同様の風景になることへの懸念もあるのではないでしょうか。
「京都らしい駅前」の大切な要素の一つは、京都が長年育んできた本物の伝統文化や芸術などの文化的価値にあると思います。京都駅ビルも「人とまちと文化をつなぐプラットフォーム」を掲げ、イベントを通じて文化交流を進めてきました。一方で、京都の持続的な発展には産業や商業機能も欠かせず、文化と経済を両立させる視点が必要です。今後30年先を見据えると、駅改良などで駅前のにぎわいは高まると思われますが、交通体系や人々の行動様式の変化から、人や都市の動線が大きく変わる可能性もあります。未来の利用者ニーズを先取りしながら、交通結節点としての役割に加え、文化と経済が調和し、交流と創造性を育む京都ならではの価値を高められるよう、私どもも京都駅前のさらなる発展に貢献してまいりたいと思います。

歴史に育まれた文化
未来へ伝える
瀬川大秀
総本山仁和寺 第51世門跡
888(仁和4)年に宇多天皇を開山法皇として創建された仁和寺は、古都京都の文化財として世界文化遺産に登録されています。江戸時代に建立された二王門より一歩足を踏み入れると、広大な境内には国宝の金堂をはじめ、重要文化財の五重塔や観音堂など、数々の建造物が並んでいます。これまで、建物の焼失など度重なる試練を乗り越えながら、約1130年にわたり大切な文化財を守り続けてきました。
代々皇族の皇子や皇孫が門跡を務めてきた仁和寺は、仁和寺御殿といわれる御所風建築物が特長で、現在では国宝12件、重要文化財47件、そのほか約2万件の文化財を保有しています。皇族や貴族との深いつながりを背景に、朝廷や文化人と密接な関係を結び、真言密教の厳かさと御室御所のみやびやかさが融合した独自の文化を育んできました。平安期には仁和寺文化とも称され、古典文学の中でも文芸、絵画、建築などを発信する場として御室御所が描かれています。文化財の保護や芸術文化の継承に継続的に取り組むことで、受け継がれてきた文化と祈りの精神を未来へ伝えてまいります。

世界に誇れる
日本へ
八尾浩之
日本ホールディングス株式会社 代表取締役
弊社は京都を中心に、資産運用型マンション「ベラジオ」シリーズを86棟開発・分譲し、その後の賃貸・建物管理まで手掛ける総合不動産企業です。「ベラジオ 雅び」シリーズでは、京都にゆかりのあるアーティストとの協働を通じ、日本の伝統文化や芸術の保存・振興・継承に取り組んでいます。本年10月には、第3回となる京都美術工芸大との産学連携プロジェクトマンションが完成予定です。これまでの取り組みを踏まえ、今回も伝統文化の保存・継承や次世代人材の育成につながるものと考えています。また、環境配慮型の開発にも注力しており、現在開発中の物件ではZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)認証の取得を進めています。
「ベラジオ 雅び」シリーズは、「世界に誇れる日本へ」という世界観を持ち、古くから育んできた日本の文化や技術、芸術を後世へ伝えることで、世界から魅力ある日本と評され続けることを希求しています。これからも京都の企業として、日本らしい街並みや伝統文化の継承・発展に取り組み、所有者さま、住まう人、街に暮らす人、ブランドに関わる皆さまにとって誇りに思っていただけるものへ育ててまいります。

「挑戦」「協働」
「誠実」
濱田悠也
野村證券株式会社 京都支店長
野村グループは、「金融資本市場の力で、世界と共に挑戦し、豊かな社会を実現する」をパーパス(存在意義)に掲げ、「挑戦」「協働」「誠実」の三つを大切な価値観としています。「挑戦」とは、変化を尊重し、成長への情熱と勇気を持って挑戦を続けること。「協働」とは、新たな価値を生み出すために、多様性を尊重し、組織や立場を超えて協働すること。そして「誠実」とは高い倫理観のもと、正しい行動をとる誠実さと信念を持つことです。
現代は、VUCA(変動性・不確実性・複雑性・曖昧性)やBANI(弱さ・不安・非線形・不可解)の時代と呼ばれます。正解のない状況で仮説を立て、より良い答えを見いだし、強い意志を持って変化に迅速に対応していくことが求められています。こうした行動の土台が、「挑戦」「協働」「誠実」だと私は考えます。AI(人工知能)が進化する時代だからこそ、人間の意志や判断に基づく行動の価値は、ますます重要になるでしょう。野村證券京都支店は、これらの価値観を胸に刻み、地域の皆さまの多様な思いに寄り添いながら、最も信頼される「パートナー」であり続けられるよう努めてまいります。

もっと、地域、
社会のために。
松本健志
日本生命保険相互会社 京都支社 支社長
当社は、1889年に創業後、全国で初めての支社として京都府内において生命保険事業を開始いたしましたが、それ以降、長きにわたり地域の皆さまにご愛顧賜っておりますことを深く感謝申し上げます。
私たち日本生命グループは、「誰もが、ずっと、安心して暮らせる社会」の実現に向けて、「生命保険を中心に、アセットマネジメント・ヘルスケア・介護・保育等の様々な安心を提供する“安心の多面体”としての企業グループ」になるための取り組みを進めております。地域社会への貢献を通じて提供する価値を今まで以上に拡大していくとともに、多様な「安心の面」の広がりを目指してまいります。そのために、基本方針「まっすぐ、お客様へ。もっと、地域、社会のために。」を掲げ、一人一人が自分ごととして地域社会の課題に向き合い、地域に暮らす皆さまとともに発展できる社会づくりに貢献してまいります。その実現のため、今日と未来をつないでいくための活動「ニッセイサステナプロジェクト“にっせーのせ!”」を展開しており、がん啓発活動や交通安全啓発活動をはじめとしたさまざまな取り組みをこれからも進めてまいります。

人と技術の
未来をひらく
西村 陽
日新電機株式会社 代表取締役社長
日新電機グループは、1917年の創立以来、技術の力で社会と産業の基盤を支え続けてきました。私たちは京都に根差す企業として、「誠実・信頼・永いお付き合い」を行動の原点とし、環境と調和し活力ある社会の実現に貢献することを使命としています。この考えの下、多様な価値観を尊重し、社員一人一人が社会への貢献を実感できる会社を目指しています。
2026年度からスタートした中長期計画「2030ビジョン」では、「第二の創業」を掲げ、住友電工グループとのシナジー(相乗効果)を最大限に創出しながら事業の進化に挑みます。グリーン&デジタルな社会を支えるため、再生可能エネルギーや電力系統安定化、環境配慮型の製品・システムなどへの取り組みをさらに強化するとともに、エネルギー新領域・融合領域(直流給配電・熱・水素)にも挑戦し、エネルギーを統合的に扱う「トータルエネルギーソリューションカンパニー」へと転換していきます。
当社グループはこれからも、「人と技術の未来をひらく」というスローガンの下、持続可能な社会・産業基盤の構築に貢献してまいります。

すれ違う「善意」
鈴木順也
NISSHA株式会社 代表取締役社長
満員状態のロンドン地下鉄で、人間の心理が複雑に絡み合う「一触即発の瞬間」を目撃した。日常的に起こり得る光景だ。事の発端は、席を求めて強引に割り込んできた老婦人への配慮を、中年女性がスマホに熱中する若者に軽く促したことだ。女性の純粋な「善意」は、彼にとって「俺に指をさすな」という激しい怒りに火を付けた。若者は怒鳴りながらも席を立ち、老婦人はすかさずその席を奪う。女性は普通なら言い返したはずだが、我慢し一駅分も謝り続けた。その立派なたたずまいを、私は気の毒に感じた。周囲は話が余計にこじれるのを危惧し、介入できずにいた。
誰もが心に小さなとげを抱える不寛容な時代、何の落ち度もない「善意」が、少しのすれ違いで衝突につながる。毒づく若者に辛抱強く謝り続けた女性のことが忘れられない。自分のことで始まった口論を気にも留めずちゃっかり席に収まった老婦人のずぶとさも。善意を差し伸べた者、指図と受け取り憤った者、ただの好機と捉えた者。その感じ方の違いが、一つの出来事を泥仕合に変えてしまう。現代のコミュニケーションが抱えるすれ違いの構造を象徴しているようだった。

持続的成長への
変革と挑戦
武田一平
ニチコン株式会社 代表取締役会長
ニチコンは、地球環境に優しいエネルギーを使って安心安全な暮らしを提供することをコンセプトに、ブランドコピー「くらしに、エネパ!」を掲げています。エネルギーパフォーマンスを「エネパ」と表現し、暮らしの中の「エネパ」を高めることで新しい価値を提案し、社会に貢献することを目指しています。当社は「価値ある製品を創造し、明るい未来社会づくりに貢献する」という経営理念の下、電気を効率よくマネジメントする技術を生かし、家庭用蓄電システムや、家庭と電動車の間で充・放電するV2H(Vehicle to Home)システム、太陽光発電・蓄電池・EV(電気自動車)を連携させる「トライブリッド蓄電システム」など、環境社会への貢献や災害対策に向けた独自の製品・ソリューションを拡充しています。また、AI(人工知能)インフラを含む情報通信分野や車載分野などの重点成長市場を的確に捉え、スピード感を持って対応を進めています。
創立76周年を迎えた今、「モノづくりからコトづくり」「製造業から創造業への変革」を実践し、社会課題と真摯(しんし)に向き合い、長く社会から必要とされる新たな価値創造企業を目指します。

共創と挑戦でひらく
京都の未来
財 剛啓
西日本旅客鉄道株式会社 常務理事 近畿統括本部 京滋支社長
人口減少や物価上昇、技術の進展など社会環境が大きく変化する中で、JR西日本グループは、中期経営計画2030において「次なる成長に向けた共創と挑戦」を掲げました。さまざまなパートナーの皆さまと共に、事業の根幹である「安全・安心」を高め続けることを前提として、「人と人をつなぐ」移動、「人の心が動く」体験、「人、まち、社会を支える」基盤を価値として提供し、挑戦の舞台を京都から西日本全体へ、さらには世界へと広げ、未来型のまちづくり・社会づくり・地球づくりに貢献し続けていきたいと考えています。
7月26日には大阪―向日町駅間の鉄道が開業から150年を迎えましたが、2027年2月には京都駅が開業150年、そして同年9月には京都駅ビルが開業30年を迎えます。
鉄道は、人・まち・社会をつなぐ役割を担っています。次の50年、100年に向けて、京都の皆さまとの共創と挑戦を通じ、「モビリティ」、「生活サービス」、「インフラソリューション」の三つの重点事業分野において、先人が守ってきた伝統を大切にするとともに、新たな発想や技術を取り入れながら、挑戦し、成長していきます。

クォーター・リードで
切り開く未来
三浦宗男
TOWA株式会社 取締役社長執行役員
TOWAは1979年に京都で創業して以来、超精密金型技術を礎に、 半導体の製造を支える装置メーカーとして歩んできました。当社は「クォーター・リード」の考え方のもと、お客さまの期待を一歩先回りする技術開発に取り組んできました。長年培った超精密金型技術や独自の成形技術を強みに、半導体後工程分野で高い競争力を築いています。また、装置の提供にとどまらず、お客さまの課題解決や生産性・品質向上にも貢献しています。近年、生成AI(人工知能)の普及に伴い、半導体にはさらなる高性能化・高信頼性が求められています。その実現を支える後工程技術の重要性はますます高まっており、当社にとっても大きな成長機会となっています。
当社では、創業以来培ってきた技術や企業文化を次世代へ受け継ぐため、「TOWAアカデミー」を設立しました。さらに、けいはんな学研都市で研究開発・「人財」育成拠点の整備を進めるとともに、次世代を担う人財育成の取り組みを推進しています。これからも京都で培ってきた技術と企業文化を次世代へ受け継ぎながら、半導体産業の発展を支え、豊かな社会の実現に貢献してまいります。

京都に貢献することを
目指して
武内 健
東京海上日動火災保険株式会社 執行役員京都本部長
昨今、気候変動による自然災害の多発や、技術革新の加速による産業構造の変化、また事業リスクの増加などにより、社会課題は急速に変化しています。そうした中で、当社は「お客様や社会の“いつも”を支え、“いざ”をお守りする」というパーパス(存在意義)の下、損害保険にとどまらず、従来の保険の枠を超えた「ソリューションパートナー」として、お客さま・社会の課題に合わせた事前および事後のソリューション(解決策)の提供を通じ、京都の皆さまに「安心と安全」をお届けしていきたいと考えております。
社会課題解決としては、「中小企業支援」「サイバーリスク」「ヘルスケア」「レジリエンス(災害への耐久力)」「グリーントランスフォーメーション(GX)」の五つを重点領域と位置付け、取り組みを推進しています。また、世界的に地球温暖化や気候変動への対応の重要性が増している中、お客さまのカーボンニュートラル(温室効果ガス排出量実質ゼロ)の実現、脱炭素社会への移行に向けたご支援も強化しています。これからも「京都の未来を共創する」「京都の皆さまをしっかりとお守りする」、この思いを大切にしながら努力してまいります。

誠実な価格と
情報提供を信頼の礎に
松井 雄
株式会社公益社 代表取締役社長
無縁による孤立が社会課題となる現代、 葬儀は亡き人をしのび、人とのつながりを再確認し、人生を慈しむ大切な場であります。1938年の創業以来、私たち公益社は時代と共に移り変わる葬送に寄り添い、お一人お一人の感謝と祈りの心を見届けてまいりました。
本年は「清く正しい、心に寄り添う葬儀社」という姿勢を一層深め、地域の皆さまとの間に確かな信頼を積み重ねる一年といたします。情報が氾濫し透明性が問われる時代だからこそ、私たちは「誠実な情報提供」と「丁寧な説明責任」を揺るぎない柱に据えました。その決意の証しが「思わぬ追加費用はございません。誠実な価格で貫く、ブライトホールの家族葬」という約束です。
そして、ホスピタリティーあふれるサービス、明朗な価格体系、葬儀後まで支えるワンストップ体制の深化。この3点を軸に、ご遺族が安心してお別れに専念できる環境を整えてまいります。地域社会の信頼こそが私たちの存在意義です。私たちは人として、企業として、誠実な価格提示と情報提供をはじめとする正しい姿勢を信頼の礎とし、皆さまの心に寄り添う頼れる存在となるよう、全社を挙げて邁進(まいしん)いたします。

創立100周年。
その先の未来へ
岡垣浩志
株式会社たけびし 代表取締役社長
当社は1926年の創立以来、京都に根差した技術商社として、三菱電機製品をはじめとする多くのパートナー製品や自社オリジナル製品の提供を通じて、社会や産業の発展に貢献してまいりました。創立100周年を迎える本年は、中期経営計画「T-Link 1369」の最終年度でもあります。当社はこれまで、売上高1300億円、経常利益60億円、ROE(株主資本利益率)9%の達成に向け、着実に成果を積み重ねてきました。成長市場であるインドを中心とした海外ビジネスの拡大や地域統括会社の設立による海外体制の強化、高齢化社会に貢献する医療ビジネスの拡大、省人化ニーズに応えるスマートファクトリー提案、自社ソフトウェアを中核としたソリューション創出など、グループ一丸となり成長戦略を推進しています。さらに、AI(人工知能)・半導体需要を取り込む多層的なソリューションを展開し、産業の高度化に貢献してまいります。
今後も、京都の地に宿る「進取創造」の精神により、技術力と提案力で新たな価値を創造し続ける「京都発 最強のトータルソリューション商社」を目指し、次の100年へと歩みを進めてまいります。

大切にすべき
日本の価値
榊田隆之
京都信用金庫 理事長
京都を訪れる外国人観光客は1268万人となり、 昨年度より16%増加で過去最高を更新しました。街の風景も一変し、国籍を問わず世界各国の人々が京都を訪れていることがうかがえます。外国人観光客は何を求めて京都に訪れるのでしょうか。彼らからは豊かな食文化、歴史・伝統に裏付けされた観光名所、アニメに代表されるコンテンツ産業に加えて、治安の良さ、人々の礼儀正しさ、清潔な街並みが京都の魅力であるという声を耳にします。
中東情勢の悪化によって一層明確になったように、日本には豊富な資源はありません。しかし、長い年月をかけて育まれてきた「人間関係のしなやかさ」という大きな財産があります。世界が分断や対立を深める今だからこそ、物質的な豊かさではなく 「相手を尊重する心」「協調性」「周りへの気配り」といった、人と人との信頼が息づく社会が日本らしさであり、日本が世界に誇る価値ではないでしょうか。
企業経営においても対話や自主性を重んじ、利他の心を持って気配りを忘れない「コミュニケーション豊かな会社」を目指していきたいと考えています。

「もっと先へ、
ずっとともに」
瀧井傅一
タキイ種苗株式会社 代表取締役会長
当社は1835年の創業以来、わが国と世界の食と農業に貢献するため、高品質な種苗の開発と安定供給に取り組み、昨年度おかげさまで創業190周年を迎えることができました。さまざまな時代の荒波にもまれながら今日まで歩みを進めてこられましたのも、生産者をはじめ多くの方々の長年の支援のたまものであり、心から感謝申し上げます。また、その期待に応えるべく決意を新たにしています。日本の農業は担い手不足に加え、猛暑や局地的な大雨、干ばつといった激しい気候変動による栽培環境の悪化、資源価格の高騰をはじめとする生産コストの上昇など、厳しい課題に直面しています。新品種の開発は10年単位の年月を要することもある地道な挑戦の積み重ねであり、急速に局面を打開することは難しいですが、一歩ずつ取り組みを重ね前進することで、持続可能な農業と豊かな実りにつながると私たちは信じています。
「もっと先へ、ずっとともに」
タキイはこれからもたゆまぬ努力とチャレンジで、皆さまとともに農業の発展と豊かな暮らしの実現を目指して歩み続けてまいります。

創業の思いを、
地域と未来につなぐ
岡 憲史
株式会社髙島屋京都店 執行役員 京都店長
本年12月21日、髙島屋京都店は創業の地である烏丸松原から現在の四条河原町へ移転して、80年を迎えます。この節目にあたり、百貨店の役割を改めて見つめ直しています。百貨店は単なる買い物の場ではなく、人と人、人と文化をつなぐ地域の拠点としての役割が重要だと考えています。これからも地域に根差し、多くの人が集い、出会う場を提供するとともに、催事や売場を通じて京都の文化や魅力を発信し、未来に続く街のにぎわいづくりに貢献してまいります。
そうした取り組みの一環として、この夏を盛り上げるさまざまな企画をご用意しております。ハワイのグルメやライフスタイルを楽しめる「Fresh!Fun!HAWAI‘I」や、日本画の多様な表現や技法をご覧いただける「第81回春の院展」、さらに夏休み企画として店内でさまざまな職業体験ができる「おこさまおしごとたいけん」など、幅広い世代の皆さまにお楽しみいただける内容となっています。
髙島屋京都店は今後も地域のお客さまとのつながりを大切にし、2031年の創業200年に向けて、地域の皆さまと共に歩みながら新たな可能性を探り、必要とされ続ける存在を目指してまいります。

京都と共に
未来を築く
牧田弘治
大和ハウス工業株式会社 京都支店 支店長
京都は千年以上にわたり、伝統と革新を調和させ発展してきた都市です。町並みや歴史的景観、受け継がれてきた文化には人を引きつける力があります。
大和ハウス工業は「共に創る。共に生きる。」の理念の下、地域社会との共生を大切に事業展開してまいりました。京都支店においても地域の特性を尊重しながら持続可能で魅力あるまちづくりを推進しています。環境配慮型住宅や事業施設の提供に加え、企業誘致による雇用創出や人の流れの活性化、新たな産業基盤の形成にも取り組んでいます。地域企業や自治体と連携し、にぎわいと安心が共存する都市環境の実現を図り、災害に強く豊かな暮らしを支える価値創出を進めています。さらに観光と産業の調和を意識した開発や地域コミュニティーの活性化にも力を注ぎ、多様な人材が活躍できる基盤づくりを推進しています。歴史や文化と調和した空間づくりを大切にしながら、次世代へと受け継がれる都市の実現に貢献してまいりたいと思います。
京都の未来に責任を持ち地域と共に持続可能な発展と新たな価値創造に取り組み、人が集い続けるまちを実現してまいります。

「先義後利」が守る、
街との絆。
松本剛朗
株式会社大丸松坂屋百貨店 執行役員 大丸京都店長
大丸は1717年、京都の街で呉服商として創業しました。創業者から受け継ぐ社是「先義後利」には、「目先の利益よりも、まずは人としての誠実さや道義を最優先する。正しい商いを行えば、利益はその後から自然とついてくるものだ」という思いが込められ、今も脈々と従業員の心に息づいています。
現代においても私たちは、地域における持続可能な社会の実現に向けて、「Think GREEN(地球環境再生と事業活動の両立)」「Think LOCAL(地域の魅力発信)」「Think SMILE(ステークホルダーの人権尊重と笑顔の構築)」という三つの言葉を大切に実践しています。
京都で深く重んじられる「伝統を守るとは、本質を見失わず、時代に合わせてしなやかに変わり続けること」という教え。
私たちも、この街の持続可能な未来に向けて、新たな魅力あるコンテンツの発掘や提案をやめることなくさらなるアップデートを行い「京都で受け継がれ、新たな価値をまとった伝統文化や技術と触れ合う場を提供する」という百貨店ならではの役割を、これからも担ってまいります。

未来につなぐ
「人間の生命の輝き」
林 真司
サントリー株式会社 京都支社 支社長
サントリーグループは、「人と自然と響きあい、豊かな生活文化を創造し、『人間の生命(いのち)の輝き』をめざす」をパーパス(目的)に掲げています。また、「やってみなはれ」と「利益三分主義」を大切な価値観として受け継いでいます。「やってみなはれ」は、日本に洋酒文化を広めたいという強い思いを原点とする果敢な挑戦の精神です。「利益三分主義」は、事業で得た利益を自社への再投資、お客さまへのサービス、社会に還元し、真に豊かな社会の実現を目指すという、創業以来の考え方です。当社は、「サントリー〈天然水のビール工場〉京都」や「山崎蒸溜所」をはじめ、地域の豊かな自然の恵みに支えられ製品をお届けしています。そのかけがえのない自然を守るため、「天然水の森 きょうと西山」を含め全国各地で水源涵養(かんよう)や生態系の保全・再生に取り組んでいます。
こうした取り組みは、まさにサステナビリティー(持続可能性)そのものです。長い歴史と文化を持つ山紫水明の地・京都には、貴重な財産を未来へ受け継ぐための知恵が息づいています。そうした学びに真摯(しんし)に向き合いながら、これからも「人間の生命の輝き」を追求してまいります。

京都との
「つながり・絆」を大切に
加藤 誠
第一生命保険株式会社 京都総合支社長
当社グループは1902年に日本で最初の相互会社として創業、その後2010年の株式会社化・上場、16年の持株会社体制への移行を経て、今年4月に社名を株式会社第一ライフグループへと変更しました。そのグループ中核である当社は社会性・公共性の高い生命保険事業を通じ、「社会からの信頼確保」という経営基本方針に基づき、「良き企業市民」として会社・従業員一体で社会貢献活動に取り組んでいます。
1912年に京都地方部開設以来、今年で114年目を迎えるわれわれ京都総合支社も例外ではなく、京都ハンナリーズの選手を講師に迎え毎年実施する「小学生バスケットボール教室」に加え、京都市教育委員会にバスケットボールを寄贈。また、大阪・関西万博にブースを設置し「ライフサイクルゲーム」をご紹介、非常にたくさんの来場者にご参加いただきました。
今後も健康・医療・資産形成など幅広い情報提供に努めるとともに、地域課題解決に積極的に参画することで地域の皆さまとの「つながり・絆」を築き、社会貢献活動に取り組んでまいります。

人と技術をつなぎ、
未来をひらく
後藤正人
株式会社SCREENホールディングス 取締役社長(CEO)
SCREENグループは、1868年に京都で創業した石田旭山印刷所をルーツとし、1943年に写真製版用ガラススクリーンの研究開発部門が独立して生まれました。独自技術を追究し、新たな領域へと応用展開することで、製品や事業の創造と発展に挑み続ける「思考展開」の精神の下、祖業である印刷事業を発展させるとともに、半導体、プリント基板やディスプレーなどのエレクトロニクス(電子工業)分野へと事業を拡大してきました。グローバルトップシェア製品を数多く有する企業へと成長した現在では、先端半導体パッケージや水素、ライフサイエンスなど新たな領域にも挑戦しています。
SCREENの存在意義「人と技術をつなぎ、未来をひらく」には、当社に関わるあらゆる「人」と「技術」を、世代を超え、自在につなげることで、社会課題解決に向けたソリューションを生み出し、持続可能な未来への扉を開く。そして社会の発展へ挑み、未来への道を切り開くという思いを込めています。
これからも生み出したソリューションで世界中のお客さまに新しい価値を提供することで、持続可能で豊かな未来の実現を目指していきます。

つなぐ先へ
横田さくら
NTT西日本株式会社 京都支店長
AI(人工知能)をはじめとするデジタル技術の進化により、私たちの暮らしは大きく変わりつつあります。一方で、社会では人口減少や担い手不足など、多くの課題に直面しています。そんな時代だからこそ、私たちNTT西日本が大切にしているのは「つなぐ」という使命です。
皆さまに安心を届けるための「通信をつなぐ」。24時間365日、安定した通信サービスを守り続けることは、私たちの変わらぬ責任です。人と技術で「思いをつなぐ」。ICT(情報通信技術)やAIの力を活用し、皆さまと共に、One京都で新たな価値の創出に取り組んでいます。このまちの「元気をつなぐ」。地域に息づく人々の思いや挑戦とともに、AIや次世代モビリティーなどの技術を活用しながら、「新しい未来へとつなぐ」まちづくりに挑戦しています。私たちは、脈々と受け継がれてきた歴史と文化、豊かな自然、そして人々の営みの中で磨かれてきた京都の知恵に深い敬意を抱き、その歩みに学びながら、パートナーの皆さまとの共創・協奏を通じて幸せな進化の実現に取り組みます。「つなぐ先」にある、新たな価値とより豊かな未来へ。これからも皆さまと歩みを共にしてまいります。

全国で加速する
BPO事業
木下宗昭
佐川印刷株式会社 取締役名誉会長
弊社は昨年11月に創業55周年を迎えました。これまで総合印刷企業として、印刷物を通じて、さまざまな情報発信をお手伝いしてきましたが、その進化系として、主力の印刷事業の周辺領域への多角化を進めています。環境配慮型の軟包材事業や紙への知見を生かしたパッケージ事業に加えて、55周年を機に注力しているのが、印刷と関連した間接業務を一手に請け負うBPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)事業です。昨年、新設した埼玉コンタクトソリューションセンターを中心に、全国の拠点でBPO事業を展開。コールセンターの開設を含む各種事務局運営事業から、DMの印刷、製本、発送までを一気通貫で請け負うことで、総合印刷会社としての強みを生かしています。京都本社でも併設している工場の設備を再整備し、BPO事業への取り組みを本格化させており、お客さまのニーズを解決するべく、事業拡大を行ってまいります。
これまで積み上げてきたノウハウを生かし、情報加工の領域で、より高度かつ柔軟な対応を行うことで、「佐川印刷にまとめて任せておけば安心」といったご信頼をいただけると確信しております。

自然がもたらす
切り口に浸ろう
藤本淨彦
金戒光明寺 法主
応仁の乱(1467〜77年)で焼失し1860(万延元)年に再建、後小松天皇の勅額(ちょくがく)「浄土真宗最初門」(法然が浄土宗の布教を最初に行った地)を威風堂々と掲げ、来るものを拒まず誰でも招き入れる金戒光明寺山門楼上の仏間。南方は京の街並みと京都タワーから大阪城までも遠望され、西方は鴨川から西山の山並みが視野に入り、ちまたの騒音が遠く耳に入る。この山門で、今年も陽春の彼岸中日の夕刻、恒例の日想観(にっそうかん)念仏を行いました。老若同行30人ほどで「なむあみだぶつ」の称名(しょうみょう)一声一声が重なり凝縮される中に、あかね色の天空から輝く光を残影として西山連峰に引き込まれていく太陽の行方と静寂を厳かな禅定(沈着)の心深くに味わい、西方極楽浄土へと生まれゆく(往生する)思いに浸されます。
浄土経典は極楽浄土を思い見る(観想)方法としてまず「太陽の没するのを観ずること」を説き、浄土宗祖法然上人は四天王寺で日想観を行った記録もあります。金戒光明寺では期間を定めて山門公開をしていますが、私たちの目・耳・舌・鼻・肌の五官に無制約に入り込む刺激と情報に対する貪欲から離れて、こんな体験もできることをお勧めします。

ヒトの暮らしを支える
コンクリート
荒川 崇
ケイコン株式会社 代表取締役社長
当社は、京都を中心に一般土木工事業とコンクリートを素材とするプレキャストコンクリート製品を、全国の道路や建築といったインフラストラクチャーの建設に提供している、創業90年の会社です。
建設業界では、2040年までに生産年齢人口が20%減少すると予測されており、そのため建設現場では、少なくとも省人化を30%実現することが求められています。こうした課題に対応するため、当社ではプレキャストコンクリート製品や建設用3Dプリンターといった先進の建設技術の普及に努めているほか、CO₂(二酸化炭素)排出量の多い従来型コンクリートの脱炭素化にも取り組んでおります。これらの技術は、省人化や環境保護に対しても有効な技術として期待されており、現在は産学官の連携を通じて、建設現場への積極的な導入が進められているところです。
創業100年を目指すにあたり、私たちは先人への感謝の気持ちを大切にしつつ、「心」と「経済」の豊かさを探求し、ご縁のある方々の幸せの実現、そして先進の建設技術を通じて、これからも人々の暮らしを支える豊かな社会づくりに努めてまいります。

自分の色で
光る
北尾和彦
京都薬品工業株式会社 代表取締役会長
今年もわが社には10人の新入社員が入社しました。新入社員にいつもお話しするのは社是の「和親協力・誠実報恩」についてです。阿弥陀経に「池中蓮華 大如車輪 青色青光 黄色黄光 赤色赤光 白色白光 微妙香潔」とあります。これは「池の泥に咲く蓮華は車輪のように大きく、青色は青い光を、黄色は黄色い光を、赤色は赤い光を、白色は白い光を放ち、香りがよく清らかである」ということです。泥田は煩悩にまみれた自分の姿ですが、仏の教えを信じれば、そこに咲くハスの花のように自分の色で光り、誰と比較されることもなく、自分の人生を生きることができるのです。
この教えは仕事をする上でも大切ではないかと思っています。特に新薬研究では、おのおのが自分の色で光って初めて独創的な研究ができます。しかしどれだけ素晴らしい研究でも、それがバラバラでは成果が上がりません。一人一人が自立し、同じ方向にベクトルを合わせ調和することで初めて新薬が誕生するのです。
新薬研究は難しい仕事ですが、待ち望んでおられる患者さんのために全身全霊で「薬づくり」を通じ、社会に報恩すべく日々努力しています。

GSTCへの加盟
奥村浩二
株式会社京都東急ホテル 専務取締役
東急ホテルズ社は、2026年2月17日に日本のホテルチェーンとして初めて全店舗で、持続可能な観光の国際基準を定めるGSTC(グローバル・サステナブル・ツーリズム協議会)へ加盟いたしました。
今回の加盟は、現状に満足することなく、国際的な視点のもとで自社の取り組みを継続的に見直し、発展させていく覚悟の表明であると考えております。
弊社は、「地域とともに歩むホテル運営」を理念に掲げ、環境負荷の低減に加え、人権や労働環境への配慮、ガバナンス(組織統治)の透明性向上など、より包括的なサステナビリティー推進に取り組んでおります。グリーンコイン制度や連泊時のリネン交換削減などを通じ、資源使用量や廃棄物削減にも継続的に取り組んでおります。さらに、従業員一人一人の意識向上を図りながら、地域社会やお客さまとともに持続可能な未来づくりを進めております。今後はGSTC基準を参考に、人材育成や各ホテルでの取り組みの可視化・高度化を進めるとともに、自治体やパートナー企業との連携を強化し、観光産業全体の持続可能性向上に貢献してまいります。

百年の歩み
未来への約束
魚嶋伸彦
京都第二赤十字病院 院長
1926年の開設以来、京都第二赤十字病院は地域の皆さまに支えられ、本年、創立100周年を迎えます。東福寺近くへの統合計画の際、地域住民の皆さまの強いご要望によりこの地にとどまった歴史こそが、私たちの原点です。「地域と共に生きる」という使命は、今も変わらぬ私たちの誇りであり、救急・高度急性期医療・災害救護を通じて、京都の医療を支え続けてまいりました。赤十字の「人道・博愛」の精神の下、「歩み入る人にやすらぎを、帰りゆく人に幸せを」という理念を胸に、一人一人の患者さんに真摯に寄り添い、安心と希望をお届けすることが私たちの何よりの願いです。
現在、私たちは次なる100年を見据え、新たな挑戦を加速させています。2028年着工予定の新病院建設をはじめ、デジタル技術の活用による医療の高度化、持続可能な医療を支える人材育成や働き方改革など、未来への基盤づくりに注力しています。
100年の歩みへの感謝を胸に、先進的な医療と人のぬくもりが共存する「地域から最も信頼される病院」であり続けることを約束し、職員一同、心を一つに新たな歴史を築いてまいります。

協同で育む
京都生協ファンづくり
瀧本剛満
京都生活協同組合 専務理事
京都生活協同組合は、「頼もしき隣人たらん」という理念の下、組合員の皆さまと共に、食や暮らしの安全・安心を追求し続けてきました。地域に根差し、多世代とつながりながら、持続可能な社会の実現を目指して活動を進めています。
2026年度は、「京都生協ファンづくり〜せいきょうの利用を続ける、協同の価値に共感〜」をテーマに掲げ、地域経済や環境への配慮、そして暮らしに寄り添う商品開発や普及に取り組み、さらに、子育て世代や高齢者への支援を、より一層充実させていきます。
特に、「エシカル消費対応商品」の普及や、買い物が不便な地域を支援する「おかいもの便」を通じて、暮らしの課題解決に積極的に貢献していきたいと考えています。また、SDGs(持続可能な開発目標)の達成に向けて、地球環境に優しい取り組みを進め、次世代にその価値をしっかりとつないでいきます。京都生協は、地域に寄り添いながら、協同の力で「新たな希望」を生み出せる存在へと進化を目指します。京都の未来を明るく照らすため、これからも協同と助け合いの価値を分かち合いながら、一歩ずつ歩みを重ねてまいります。

形に頼らずとも、
型は伝承する
姜 竣
京都精華大学 学長
京都精華大が校章も校歌も正門も持たないのは、「1968」という世界規模の抵抗の時代に「自由自治」という理念の下で草の根運動のようにして開学したからです。世の大学は、校歌に大学名を連呼し、校内にモニュメントが立ち並びますが、本学は人間を型にはめるべからず、形にはこだわらないというこだわりがあります。その校風は今の学生にも継がれるらしく、昨年の新入生にアンケートで大学のイメージを聞いたところ、留学生、個性的、多様性、教員、尊重、グローバルと並んで、「自由」を挙げた者が圧倒的に多かったです。形に頼らずとも、型はしっかり伝承されているのです。
伝承という言葉は、柳田國男がフランス語のtradition populaireを民間伝承と訳したことに端を発します。それは、民たちの生活の歴史を「イイツタエ」から調べるため、la littérature oraleを口承文芸と訳したことと対になっています。過去志向に捉えやすい「伝統」とは違って、「伝承」の視点は継承しつつある動きにも力点が置かれます。京都は型にはまったようでその実、常に新しい方へ動く伝承の街です。それが世界中を魅了する秘訣であり、本学が目指す手本です。

領域横断教育と
先端研究で社会貢献
在間敬子
京都産業大学 学長
本学は学祖・荒木俊馬の掲げた「将来の社会を担って立つ人材の育成」を使命として、1965年に創設されました。文系・理系10学部19学科1学環、10研究科を擁し、約1万6千人が一つのキャンパスで学ぶ文理総合大学です。
2026年4月には文化学部を再編し、京都文化学科に加え、文化観光学科と文化構想学科を新設しました。人文学とデジタルを掛け合わせ、新たな価値を創出する教育を展開します。また、アントレプレナーシップ学環を開設しました。経営・法律・現代社会などの学びを横断しながら、起業家の思考と行動を実践的に修得します。これまで全学で進めてきた教育の成果を基盤に、さらに発展させていきます。さらに、生成AI(人工知能)やデータサイエンス教育を初年次から導入し、全学的に推進しています。企業との協働による実践的な学びも特徴の一つです。研究面では、私立大学最大規模の望遠鏡を備えた天文台に加え、関西の私立大学で初めてクライオ電子顕微鏡を導入するなど、先端研究環境を整えています。
これからも、分野の枠を超えた教育と先端研究を通じて、社会に貢献していきます。

京都から学び、
未来をひらく
佐藤 卓
京都芸術大学 学長
グラフィックデザイナーとして仕事を重ねる中で、私は日本各地の伝統技術や作品、地域に息づく文化に幾度も出会ってきました。そこには長い時間をかけて育まれた確かな力と、現代にも通じる新たな可能性があります。そうした価値に光を当て、人々に伝わる形へと編み直すことも、デザインの大切な役割だと感じています。
京都には、伝統を過去のものにとどめず、その背景にある美意識や思想、営みから未来に必要なことを学び、新たな価値へと結び直していく気風が息づいています。本学が京都市、京都新聞と共に取り組む市民講座「京都学」も、その実践の一つです。私自身も京都から学び、次代へどう生かしていけるかを考えていきたいと思います。
京都芸術大では、通学課程・通信教育課程を合わせて、18歳から90代までの2万3千人が、全国、さらには海外から集い、異なる経験や感性を持ち寄りながら学んでいます。世代や地域を越えて多様な価値観が出会うことが、本学ならではの豊かな創造の土壌です。文化と産業、地域と未来をつなぐ創造の力を育んでまいります。

だし文化と
未来への責任
志村紘之
京都鰹節株式会社 代表取締役社長
当社は健康経営を軸に、社員一人一人が安心して長く働ける環境づくりを進めています。
働きやすさを高めることは単なる福利厚生ではなく、生産性や創造性を高め、お客さまへの提案力の向上につながる重要な経営戦略です。人手不足や原価高騰に直面する飲食業界に対し、だしの価値を再定義し、省人化や付加価値向上につながる提案を行ってまいります。新規のお客さまにも味と品質をお確かめいただける機会を提供しています。
さらに、削り節や昆布などのだし素材の原料不足が進む中でも、高品質な商品を安定供給するとともに、メニュー提案や小回りの利く対応を徹底し、お客さまから信頼され続ける存在でありたいと考えています。
また未来世代への責任として、一人一人の社員が主体的に考え、会社の未来をともに創っていく組織づくりにも取り組んでいます。
京都の食文化の根幹である「だし」を守りながら進化させ、地域社会とともに持続的な発展を目指してまいります。今後ともご愛顧を賜りますよう、社員一同、心よりお願い申し上げます。

「動き、学び、世界と創る。」
北 寿郎
京都外国語大学 学長
京都外国語大は来年、創立80周年を迎えます。「言語で世界をつなぐ」という志とともに本学は産声を上げました。その志は変わりません。しかし、世界との向き合い方は変えなければなりません。
AI(人工知能)の急速な進化、地政学リスクの高まり、人口動態の変化――。昨日の「正解」が今日に通用しない時代、綿密な計画への過信は変化の足かせになります。私たちが大切にするのは「見て、判断し、動く」サイクルを組織として回し続ける姿勢と、「いま持っている強みを生かして踏み出す」という発想です。
国際交流の刷新もその延長にあります。「行って帰ってくる」留学を超え、現地の企業・団体と協働し課題解決に挑む「越境体験」へ。帰国後もネットワークを生かし、京都から世界へ発信し続ける往復運動を学びの基本に据えます。
地域・産業との連携も深化させます。学生が語学力を武器に地域課題の解決に参加し、伝統産業の海外展開を支え、産学の実践現場が教育を更新していく――「語学を学ぶ場」から「語学で動かす場」へ。80年の節目に向け、京都外国語大はもう一度、動き始めます。

「人生の器」が紡ぐ物語
篠田 潤
アーキテクチャーリンクライフ(ALL)株式会社 代表取締役
私たちはお客さまとの信頼関係を大切にしながら、本物の素材にこだわり、伝統的な美に現代的な感性を加え、職人の技を駆使して、本格的な注文住宅を設計し建築する会社です。完全に自由なスタイルで設計し、自社で現場の管理も行い、アフターメンテナンスまで責任をもって対応しています。
家づくりには一つとして同じものはなく、それぞれに物語があります。これまでたくさんのお施主さまや社員のみんな、職人さんたちと共に時間をかけて紡いできたその物語こそが誇りであり財産となっています。
Architecture(建築) Link(つなぐ) Life(人生・生活・命)という社名の通り、お客さまの人生や暮らしと住宅建築をつなぐのが私たちの使命だと考えています。自然を感じ、美を発見し、住むほどに愛着の増す「人生の器」といえる住宅をつくりたいと思っています。また、街並みの中で何十年も美しく、景観の一部として愛される建築を目指し、新しい素材や技術を柔軟に取り入れて、これからも住宅づくりを通じて豊かな物語を紡いでいきたいと思います。

創業50周年を越えて
京都から世界へ
立木康之
株式会社京進 代表取締役社長
昨年、京進は創業50周年という節目を迎えました。創業以来、「教育・文化の向上、社会の進歩と善良化への貢献」という理念の下、京都から社会に価値を届け、現在は日本国内に加え、米国、ドイツ、オーストラリア、中国、ネパール、ミャンマーでも事業を展開しています。また、学習塾、保育、介護、日本語教育など幅広い領域に取り組み、運営する語学学校では世界40カ国から生徒を迎えています。
私たちは、教育を通じて人の成長を支えるだけでなく、多様な文化や価値観が出会い、互いに理解し合える社会をつくることも大切な使命だと考えています。子どもたちの学びはもちろん、日本で学ぶ若者の挑戦を支え、高齢者福祉の分野にも取り組みながら、人の一生に関わる事業を通じて、人の成長と歩みに寄り添ってきました。
これからの50年は、教育事業で培った経験を生かし、学びや成長を支える取り組みを通じて、福祉や文化の分野に加え、海外における社会貢献にも歩みを広げ、「ステキな大人が増える未来をつくる」企業として、京都から世界へ歩みを進めてまいります。

デジタルを超え、
創造力の翼を育む
大垣守弘
株式会社大垣書店 代表取締役会長
指先一つで答えが見つかるスマートフォンは、私たちの生活を劇的に変えました。しかし、便利な情報に即座に触れられる一方で、自ら考え、悩み、未知の世界を空想する「創造力の余白」が失われつつあることに、私たちは強い危機感を抱いています。
世界に目を向ければ、ウクライナで続く戦争や中東情勢の緊張など、不安定な国際情勢が日々報じられています。分断や対立が深まる時代だからこそ、他者の立場を想像し、異なる価値観に思いを巡らせる力が、これまで以上に求められているのです。
効率が優先される現代、読書や芸術鑑賞は決して最短ルートではありません。しかし、行間に流れる空気を感じ、絵画や音楽から人の感情を追体験する時間は、スマートフォンの画面からは得られない「心の深耕」をもたらします。未来を担う子どもたちへ、私たちは何を手渡すことができるのか。それは、正解のない問いに向き合い、自らの感性で物語を紡ぎ出す力です。書店とは、本を売る場所である以前に、人が想像力と出合う場所です。これからも、本や芸術との出合いを通して、創造力の翼を育む場を社会に届け続けてまいります。

AI時代における
人間の知力
橘 重十九
北野天満宮 宮司
情報化社会においてAI(人工知能)の発達は、私たちの生活を飛躍的に便利にさせています。テレビでも、AIによる自動音声でニュースが読み上げられるのですから驚くばかりです。このまま技術が進めばAIは人間の知能を上回るのだから「全判断はAI任せでいい」と言う人までおり「では人間とは何?」と、首をかしげざるを得ません。
先日、本紙で食文化の将来を考えるセミナーが京都で開かれたとのニュースに接しました。職人不足によってAI導入は広がっており、食を作る職人のあり方が変わることに心配があるのです。「AIは、職人とほぼ遜色ないものを作れるが、言葉で書かれていない職人の技能を人間のように学ぶことは難しい」とあり、AIと職人の協業が提起され「人間が自ら考え、意思決定することがさらに大切」とした結論に、わが意を得たような気がしました。
人間の心には、相手を気遣ったり勝ち負けだけではないさまざまな思いがこもっています。AIを活用しながらも、決断はやはり人間であり、その決断する心の基準となるものは、菅公(菅原道真公)の精神にも通じる物事の本質を踏み外さない「誠の心」であると思います。

「京都の未来企業」
としての責任
山﨑雅司
三井不動産株式会社 京都支店 支店長
歴史と文化が息づく千年の都・京都においては「残しながら、蘇(よみがえ)らせながら、創っていく」という当社の街づくりコンセプトの体現こそが重要だと考えます。町家や歴史的景観に配慮した開発を徹底するとともに、地域事業者や大学との連携による新産業創出の支援、交流拠点の整備など、着実に進めていくことが肝要です。あわせて、観光都市・京都が直面するオーバーツーリズムの課題にも真摯(しんし)に向き合う必要があります。滞在の質を高める施設整備やエリアマネジメントの推進、地域との対話を通じ観光と市民生活のバランスを図り、持続可能なにぎわいを創出することが重要です。
これらの取り組みを、オフィスビル事業、レジデンス事業、ホテル事業、商業施設事業、物流事業、ライフサイエンス事業など、当社の全事業領域で可能な限り実践し、京都ならではの価値の高いプロジェクトを進めていきたいと考えています。多様な人々が学び、働き、住い、集い、挑戦できる場を創出し、伝統の継承と革新の両立を通じて将来世代に誇れる都市基盤を築くこと。それが「京都の未来企業」としての私たちの責任だと考えています。

交易通じ、
世界の人々と相互理解を
金子直樹
オーシャン貿易株式会社 代表取締役社長
世界は今、衝撃的な出来事で揺れ動いています。トランプ米大統領はベネズエラへの軍事攻撃に続き、イスラエルと共にイラン攻撃に踏み切りました。生鮮食品や花卉(かき)類の輸出入を主軸に据える貿易商社にとって、緊迫度を増す国際情勢は事業展開に大きく影響します。多難な時代ゆえ、為替相場の動向や各国政策の変化への柔軟な対応とリスクヘッジが欠かせません。
ただ昨今の円安基調は、海外からみると日本産の物品が買いやすく、優れた国産食材を世界各地に届ける好機です。日本食ニーズは高まっており、輸出事業はまだまだ伸びるとみています。東南アジア市場をさらに強化し、他地域での事業展開も急ぎます。単に輸出するだけでなく、奥深い和食文化の魅力を世界へ発信したいと考えています。
歴史観も宗教観も違い、文化や暮らしも異なる海外の人々と心を通わせ価値観を分かち合えることこそ、貿易ビジネスの真の醍醐味(だいごみ)です。世界中においしいもの、美しいものを届けることを使命に、交易を通じて相互理解を深めていくことが世界の平和と安定につながると確信しています。

お菓子屋さんは
お世話好き
七代 津田佐兵衞
株式会社井筒八ッ橋本舗 代表取締役会長
まだ子どもだった頃、私が住む嵯峨野地域は町内会活動が活発で、運動会や映画会、地蔵盆などが行われ、地域住民の交流も盛んでした。今でも、京都の多くの町内では、そんなお付き合いが続いています。各町内には、必ずと言っていいほどお菓子屋さんがあり、そのかいわいの方々の結婚、出産、葬儀、法事などに必要なお菓子を用意するお世話をされてきました。お菓子屋さんは住民の潤滑油としても機能し、さまざまなお世話をする役目もあったのです。これは、京都の文化、習慣が守られ、受け継がれてゆく根っこを支える大切な役割を持っていると言えるでしょう。
今、スーパー、コンビニの時代となり、町のお菓子屋さんの役割も変化しつつあります。それでも、お正月にはお餅をつき、お彼岸にはおはぎ、6月には「みな月」など季節に応じた対応を続けていらっしゃいます。そのような町のお菓子屋さんが、菓子業界のルーツとなり、名産菓子、名物菓子として育ってきたものが京都のお土産菓子ともなっています。
私はこれからもおいしくて、人を幸せにできるお菓子づくりに励んでまいります。

常若の心の
継承
田中恆清
石清水八幡宮 宮司
昨年は国家の重儀であります第63回神宮(伊勢神宮)式年遷宮の始まる奉祝の年でありました。遷宮の最初の祭祀(さいし)であります山口祭と木本(このもと)祭が5月2日に神宮にて斎行され、また翌月3日には長野県にて御杣始(みそまはじめ)祭が古式にのっとり、厳粛かつ盛大に斎行されました。
式年遷宮の歴史は古代にまでさかのぼり、平安時代の法令集「延喜式」にも「凡(およ)そ大神宮は二十年に一度、正殿・宝殿および外幣殿を造り替えよ」と記され、第1回式年遷宮が690年(持統天皇4年)に斎行されて以来、日本国の一大事業として今日に至るまで行われてきたのであります。
伝統ある神宮式年遷宮に内包されている神道の心こそが、常若(とこわか)と呼ばれる心であります。それは、全てのものを常に若く清らかな状態に保ち、物ごとを一カ所で止めず、心もよどませずに、永遠に循環させていく心の持ちようであります。
常若の心とは、まさに日本の四季折々の自然の循環の体現でもあり、神々の御心そのものでもあります。
自然に宿る神々と共に美しく生きる常若の心を後世へと伝えていくことが、誇りある「日本人の心」の継承でありましょう。

