賛同企業代表者 文化人 対談シリーズ
経済面コラム

経済面コラム
【明日へ、京都をつなぐ】

Beautiful Japan. To the next generation

橘 重十九

混沌とした現代こそ必要な菅公精神

橘 重十九
北野天満宮 宮司

NHKの大河ドラマ「青天を衝(つ)け」は、日本資本主義の父といわれ、新一万円札の肖像にもなる渋沢栄一翁を主人公に幕末から明治の激動の時代が描かれるということで、閉塞(へいそく)感漂う現代にも通じる思いで見ています。
明治維新は西欧諸国の例と異なり、少ない犠牲と破壊を経て徳川約260年の幕藩体制を倒した画期的なもの。その後の矢継ぎ早な改革により日本は近代国家の仲間入りを果たしました。原動力となった「和魂洋才」の精神は、千百年も昔の菅原道真公(菅公)の「和魂漢才」の精神が礎となったものです。
新型コロナウイルスが時を置かず世界中に広まったように今、地球は狭くなっています。インターネットの普及で海外からのさまざまな文化が即座に入ってきます。よい文化は取り込まなければなりませんが、日本人の魂を忘れてはならないのです。そこには日本人のDNAに刻まれている誇りや感性が詰まっているからです。まさしく菅公の思いなのです。「和魂漢才」の菅公精神は、 混沌(こんとん)とした現代にこそ必要です。それを再認識していただきたいと、繰り返し申し上げている次第です。

中野博美

「お祭り」による地域おこしの一例

中野博美
京都きづ川病院 理事長

当院の講演会活動の一環で、2019年8月に「城陽イチジクのお祭り」を開催しました。地域の魅力向上に資するならと以前から考えており、懇意にしているシェフの方々に相談し、城陽市と共催で「城陽イチジク」をフィーチャーした食のお祭りが実現しました。村田吉弘さん、三國清三さん、栗栖正博さん、脇屋友嗣さんのトークショーと各シェフの考えたイチジク料理を振る舞っていただきました。当日は西脇京都府知事にもお声掛けし奥田城陽市長とともにご挨拶をいただきました。関係者および一般市民の方々にも参加いただき、地元名産のイチジク料理を味わいました。
村田さんには「無花果(いちじく)西京煮」を、三國さんには「牛バラ肉のワイン煮込み、イチジクのロースト添え、黒胡椒(こしょう)味、ラベンダーの香り」を、栗栖さんには「無花果おかき粉揚げバジル味噌(みそ)かけ」を、そして脇屋さんには「イチジクの香り蒸しケーキ、イチジクと国産豚のパイ包み焼き」を作っていただき、各料理のレシピを参加者全員にリーフレットでお持ち帰りいただきました。城陽市の「イチジクフェスタ」にも加えていただき「お祭り」として充実しました。

栗和田榮一

多様性を基盤にイノベーション生む

栗和田榮一
SGホールディングス株式会社 代表取締役会長

当社グループは、1957(昭和32)年、ここ京都で一つの荷物を運ぶことから事業を始めました。お客さまのために何ができるかを常に考え、荷物に込められた「想い」も一緒に届ける「飛脚の精神(こころ)」を礎に、社会インフラとして捉えていただけるようになった物流事業に誇りを持って走り続けてまいりました。
昨年来の新型コロナウイルス感染症の影響から「巣ごもり」と呼ばれる生活スタイルが浸透し、EC(電子商取引)が伸展しました。私どもの主力事業である宅配便の需要も高まり、グループ一丸となり事業に取り組んでまいりました。ITの発展や生活様式の変化など変わりゆく社会に合わせて、物流も進歩していかねばなりません。デジタル技術を積極的に取り入れ効率化を図るとともに、地球環境に配慮した脱炭素の取り組みも欠かせません。多様な人材が個々の能力や感性を発揮するダイバーシティこそがイノベーションを生む基盤になります。
これからも、佐川急便の創業以来大切にしてきた「飛脚の精神」を原動力に、既存の枠を超えた新たな発想で、社会の変化に対応した新たな付加価値を提供してまいります。

川村美星

家族の幸せは産後ケアから

川村美星
医療法人仁愛会川村産婦人科 産後ケアリスト

川村産婦人科は先代が下鴨の地に開院して今年で69年目となります。
開院当初から比べると出産を取り巻く環境も随分と変わりました。例えば立ち会い出産の増加などいわゆる「イクメン」と呼ばれるパパたちが増えてきて喜ばしい一方、ママの「産後うつ」や自殺が増加しているという悲しいデータもあります。ひいてはそれが幼児虐待へもつながるといわれています。
産後のママはホルモンの急激な変化や寝不足で心身ともに疲れ果てています。核家族かつコロナ禍のいまは、相談相手がなくネットだけを頼りに過ごす時間が増え、どんどん悪いスパイラルに陥ってしまう。そんな母親の孤立を防ぐために、当院では産後ケアセンターを3年前に立ち上げママとベビーが心身ともに休める環境を提供しています。2019年に母子保健法が改正され、各自治体での産後ケア事業が厚労省より義務付けられました。でも、何より必要なものはパパの協力です。そのためにも男性の育休取得が望まれます。
開院当初は考えられなかったパパの立ち会い出産がいまは当たり前になったように、男性の育休取得が当然の社会になりますよう、切に願っております。

柿本新也

独自性と新しい価値創造の世界

柿本新也
柿本商事株式会社 代表取締役社長

今回パンデミック(世界的大流行)を起こした新型コロナウイルスは、地球の気候変動によって北極や南極の氷が解け、そこに閉じ込められていたウイルスが猛威を振るったという説がある。ただ、それについては何の根拠もない。
産業革命以降、約200年大量生産と大量消費を拡大してきた時代は終わったのではないか。いま最速で目を向けなければならない最大の問題は地球温暖化の真実である。そして海洋プラスチックごみ、脱原子力発電、それに食品ロスの問題である。気候変動は、100年前よりわずか1℃上昇した気温が自然災害だけでなく、生態系の変化や農作物の収穫にまで影響を及ぼしている。パリ協定では2030年までに1.5℃まで気温上昇を抑え、50年には脱炭素社会の実現を目標にしているが、今現在まで既に世界では86%の化石燃料を使い二酸化炭素を地球上に放出している。喫緊のこの問題を、全世界の人たちが声を大にして叫べばジャーナリズムも動き、国や政府も大きくなった問題意識を放置するわけにはいかなくなる。残された時間は30年もない今、この問題に全世界の人たちが、独自性を持って新しい価値の創造へと向かうべき時代なのである。

三浦一郎

社会課題の解決を企業の使命に

三浦一郎
大阪ガス株式会社 執行役員 京滋地区総支配人

コロナ後の世界の不確実性が増す一方で、企業の進むべき道筋において明確になったものの一つが「持続可能な社会への貢献」です。千年の都・京都が、京都議定書誕生の地として重視してきた持続可能性の実現は、世界全体の地球環境意識の高まりを受け、今や産業界にとっても当たり前になりつつあります。
このパラダイムシフトを背景に、私たち企業にも「社会課題の解決なくして企業の存在意義なし」という価値観の転換が求められています。中でも「脱炭素」は、Daigasグループのエネルギービジネスモデルを一変させるかもしれませんが、同時に大きな成長のチャンスと捉え、今後の取り組みを加速してまいります。
地球規模の社会課題は、企業を含め社会経済システムを構成する全ての関係者が関与しなければ解決することができません。そのため、企業にはあらゆるステークホルダーとともに社会課題を解決し、その成果を分かち合う姿勢が不可欠です。私たちも、これまでお客さまや社会、地域の皆さまとともに歩んできた経験を最大限に生かして、来たる「ESG(環境・社会・企業統治)共創時代」をリードしてまいりたいと思います。

大垣守弘

夢をかなえる場所での挑戦

大垣守弘
株式会社大垣書店 代表取締役社長

京都には、悠久の歴史を背景にした文化を身近に感じられる環境があり、そしてこれを次代へつないでいくために知恵を絞り、実践していく土壌があります。
また、企業はそれぞれが持つノウハウを生かし、工夫・創造を重ねて、さまざまな形で地域の発展に貢献をしています。
弊社では、京都の堀川西陣地域において、書店という枠組みを超えた創造活動の場を備えた施設の建設を予定しています。
今秋開業予定の「堀川新文化ビルヂング」は、過去の文化を紡いで継承し、次の文化を創出するために挑戦することの大切さを発信していく「価値創造施設」を目指します。1階は書店とアート&クラフトショップ、カフェ&バー。2階にはギャラリーとイベントスペースを設けます。
皆さまの「夢」をかなえる場所として、未来へ挑戦するための可能性と選択肢が増えたことを実感していただける建物になることを願います。
新型コロナウイルスの感染が終息した後に必ず開ける新しい世界に思いをはせ、より多くの方々が豊かな時間を過ごせますよう、私たちは立ち止まらずに常に感性を磨きながら取り組んでまいります。

上原晋作

「暖」−ずっと変わらぬ思い

上原晋作
上原成商事株式会社 代表取締役社長

当社は、戦後の復興と歩調を合わせ、まだご家庭でまきをたいていた時代から、いち早くプロパンガスの供給を開始しました。その時の思いは、単にホームエネルギーを新しいものに換えようということではなく、新しい生活文化をご紹介したいというところにあったと聞いております。重いボンベとコンロを抱えて一軒一軒ご案内に回った時代から今日まで、多くのご家庭へプロパンガスを安心安全にお届けし、ご家庭の「暖」に寄与できたことは私たちの誇りとするところです。
「暖」−あたたまること、あたためること。そこにはおいしいお料理や温かいお風呂を通じて生み出される心の温もりやご家族の笑顔を連想されませんでしょうか?「ガスを売るんやない、文化を売るんや」−当時の思いをそのままに、お届けしたプロパンガスがご家庭の「暖」へ、そして幸せへとつながるのであればこれ以上の喜びはありません。
私たちは日常に溶け込み目立たぬ存在ではありますが、これからもずっと、ささやかながらも、どこかで、何かで、ご家庭の団らんや幸せを下支えする企業であり続けたいと思っております。

田中恆清

古(いにしえ)を稽(かんが)え、今に照らす

田中恆清
石清水八幡宮 宮司

新型コロナウイルス感染症の蔓延(まんえん)という未曽有の疫病災害はいまだ終息しておらず、医療従事者を始め多くの方々が現在も終息に向けて全力で対応に当たられています。
当宮においても一刻も早い疫病の鎮静を日々ご神前に祈願しておりますが、昨年はこのような社会情勢に鑑み、神社の諸行事も形を変えて斎行する運びとなり、伝統の継承という観点からも危機的状況下であると感じました。
古来日本の心を守り伝えてきた神社において最も大切なことは、どのような社会状況下であっても、みだりに新しい形を行わず、常に昔からの伝統を思い起こし、伝統にのっとった形で神事を斎行していくことであります。
そのために当宮では、新しい価値観に流され過ぎず古を学ぶ精神を守り、神社に伝わる古文書や古典をひもときつつ神社の進むべき道筋を明らかにし、日々の神明奉仕を行っております。
歴史ある京都の地より、伝統を重んじる稽古照今(けいこしょうこん)の精神をもって、この難局を乗り越えていきたいと思っております。