賛同企業代表者 文化人 特集・未来へ受け継ぐ
経済面コラム

経済面コラム
【未来との約束2026】
~京都の未来企業・団体~

山﨑雅司

「京都の未来企業」
としての責任

山﨑雅司
三井不動産株式会社 京都支店 支店長

歴史と文化が息づく千年の都・京都においては「残しながら、蘇(よみがえ)らせながら、創っていく」という当社の街づくりコンセプトの体現こそが重要だと考えます。町家や歴史的景観に配慮した開発を徹底するとともに、地域事業者や大学との連携による新産業創出の支援、交流拠点の整備など、着実に進めていくことが肝要です。あわせて、観光都市・京都が直面するオーバーツーリズムの課題にも真摯(しんし)に向き合う必要があります。滞在の質を高める施設整備やエリアマネジメントの推進、地域との対話を通じ観光と市民生活のバランスを図り、持続可能なにぎわいを創出することが重要です。
これらの取り組みを、オフィスビル事業、レジデンス事業、ホテル事業、商業施設事業、物流事業、ライフサイエンス事業など、当社の全事業領域で可能な限り実践し、京都ならではの価値の高いプロジェクトを進めていきたいと考えています。多様な人々が学び、働き、住い、集い、挑戦できる場を創出し、伝統の継承と革新の両立を通じて将来世代に誇れる都市基盤を築くこと。それが「京都の未来企業」としての私たちの責任だと考えています。

金子直樹

交易通じ、
世界の人々と相互理解を

金子直樹
オーシャン貿易株式会社 代表取締役社長

世界は今、衝撃的な出来事で揺れ動いています。トランプ米大統領はベネズエラへの軍事攻撃に続き、イスラエルと共にイラン攻撃に踏み切りました。生鮮食品や花卉(かき)類の輸出入を主軸に据える貿易商社にとって、緊迫度を増す国際情勢は事業展開に大きく影響します。多難な時代ゆえ、為替相場の動向や各国政策の変化への柔軟な対応とリスクヘッジが欠かせません。
ただ昨今の円安基調は、海外からみると日本産の物品が買いやすく、優れた国産食材を世界各地に届ける好機です。日本食ニーズは高まっており、輸出事業はまだまだ伸びるとみています。東南アジア市場をさらに強化し、他地域での事業展開も急ぎます。単に輸出するだけでなく、奥深い和食文化の魅力を世界へ発信したいと考えています。
歴史観も宗教観も違い、文化や暮らしも異なる海外の人々と心を通わせ価値観を分かち合えることこそ、貿易ビジネスの真の醍醐味(だいごみ)です。世界中においしいもの、美しいものを届けることを使命に、交易を通じて相互理解を深めていくことが世界の平和と安定につながると確信しています。

七代 津田佐兵衞

お菓子屋さんは
お世話好き

七代 津田佐兵衞
株式会社井筒八ッ橋本舗 代表取締役会長

まだ子どもだった頃、私が住む嵯峨野地域は町内会活動が活発で、運動会や映画会、地蔵盆などが行われ、地域住民の交流も盛んでした。今でも、京都の多くの町内では、そんなお付き合いが続いています。各町内には、必ずと言っていいほどお菓子屋さんがあり、そのかいわいの方々の結婚、出産、葬儀、法事などに必要なお菓子を用意するお世話をされてきました。お菓子屋さんは住民の潤滑油としても機能し、さまざまなお世話をする役目もあったのです。これは、京都の文化、習慣が守られ、受け継がれてゆく根っこを支える大切な役割を持っていると言えるでしょう。
今、スーパー、コンビニの時代となり、町のお菓子屋さんの役割も変化しつつあります。それでも、お正月にはお餅をつき、お彼岸にはおはぎ、6月には「みな月」など季節に応じた対応を続けていらっしゃいます。そのような町のお菓子屋さんが、菓子業界のルーツとなり、名産菓子、名物菓子として育ってきたものが京都のお土産菓子ともなっています。
私はこれからもおいしくて、人を幸せにできるお菓子づくりに励んでまいります。

田中恆清

常若の心の
継承

田中恆清
石清水八幡宮 宮司

昨年は国家の重儀であります第63回神宮(伊勢神宮)式年遷宮の始まる奉祝の年でありました。遷宮の最初の祭祀(さいし)であります山口祭と木本(このもと)祭が5月2日に神宮にて斎行され、また翌月3日には長野県にて御杣始(みそまはじめ)祭が古式にのっとり、厳粛かつ盛大に斎行されました。
式年遷宮の歴史は古代にまでさかのぼり、平安時代の法令集「延喜式」にも「凡(およ)そ大神宮は二十年に一度、正殿・宝殿および外幣殿を造り替えよ」と記され、第1回式年遷宮が690年(持統天皇4年)に斎行されて以来、日本国の一大事業として今日に至るまで行われてきたのであります。
伝統ある神宮式年遷宮に内包されている神道の心こそが、常若(とこわか)と呼ばれる心であります。それは、全てのものを常に若く清らかな状態に保ち、物ごとを一カ所で止めず、心もよどませずに、永遠に循環させていく心の持ちようであります。
常若の心とは、まさに日本の四季折々の自然の循環の体現でもあり、神々の御心そのものでもあります。
自然に宿る神々と共に美しく生きる常若の心を後世へと伝えていくことが、誇りある「日本人の心」の継承でありましょう。