賛同企業代表者 文化人 特集・未来へ受け継ぐ
経済面コラム

文化がつくる未来

- 2025元日 賛同企業代表者メッセージ -

毛利憲一

創立150年を迎える
新年に思うこと

毛利憲一
学校法人平安女学院 理事長

平安女学院は、1875年に大阪・川口居留地で開校した「エディの学校」が出発点である。2025年、学院創立150年を迎える。
本学院は、戦後、新制中学・高校と短大を擁する学院として発展し、生徒・学生数3000人の規模となった。しかし生徒・学生の獲得競争激化の中、21世紀に入ると徐々に生徒・学生数を減らしていった。現在の少子化の下で小規模の学院を維持していくことは、大変な困難を伴うものとなった。
本学院は、キリスト教主義に基づく女子学院として、一人一人の生徒・学生を大切にする教育を心がけてきた。学校の規模拡大による運営の効率化は、教育機関にとっても経営の観点からすれば当然である。一方で、個々の生徒・学生の顔が見えるような教育環境というのは、そうした価値観と相反する面がある。
戦後社会に暮らしたわれわれは、学校が人であふれていた時代の記憶に基づいて、学校の在り方の基準を作っている。その基準では、規模拡大こそ正解なのである。しかし、人口減少社会の中での教育機関の適正規模は、いま一度再考されるべきであろう。学校が慢性的な競争の下に置かれ、「規模の経済」が死命を制する環境では、切り捨てられてしまう大切な教育的価値があると感じる。わが学院がたった3人の生徒から始まったことの歴史的な意味を、節目の年を迎え、もう一度考える時が来ているように思う。

学校法人 平安女学院

京都市上京区武衛陣町221
Tel.075-414-8155 
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