賛同企業代表者 文化人 対談シリーズ
経済面コラム

日々の暮らしに「善」を追求し、自らの意志で生きる時代へ

- 2024元日 賛同企業代表者メッセージ -

伊藤真宏

法然上人のお正月

伊藤真宏
佛教大学 学長

法然上人のお正月は念仏から始まりました。元日から1週間は、念仏を唱え続ける「別時念仏」(日常で念仏するのとは別に、時と場所を定めて念仏を唱えること)の期間であり、ある年は3週間に及ぶ時もありました。念仏を唱えることは法然上人にとって希望に満ちた実践であり、正月のお祝いとして別時念仏をなさっていたと言えます。
法然上人が浄土宗を開宗して2024年で850年目を迎えます。当時、それまでにも念仏の教えはありましたが、心を整えて念仏を唱えるもので、従来の仏教の枠組みの中のものでありました。しかしそれだけでは、戒を守ろうとしても守れない、心を整えようとしても整わない人に救済の道はありません。何よりも、法然上人ご自身が、「一つの戒も守れない、まったく心が整わない」と吐露されています。戒が保てず、心乱れても救われる道がないものか、諦めずに20年求め続け、ついに阿弥陀仏が戒を保てず心乱れる人にこそ、救いの手を差し伸べていたことに気付かれました。それを多くの人に届けたいとの強い意志があったから、新たな宗として浄土宗を開宗されたのです。
浄土宗を設立母体とする佛教大学は、この法然上人の、課題に向き合う姿勢、求め続ける粘り強さ、人々に伝えるための行動力を、これからも学生に伝え続けてまいります。

佛教大学

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