賛同企業代表者 文化人 特集・未来へ受け継ぐ
経済面コラム

文化がつくる未来

- 2025元日 賛同企業代表者メッセージ -

鈴木順也

熱く語れば
伝わるとは限らない

鈴木順也
NISSHA株式会社 代表取締役社長

何かを伝えようとする時、聞き手の関心事や関心レベルを推し量って話すことが重要だ。あなたの思いを熱く語ってくださいと依頼を受けると、逆に熱く語らないよう配慮する。熱心に語るあまり、話の押し売りになるかもしれないからだ。
最近、米国企業を買収した。今回はノースカロライナ州の小規模な会社だ。ニッチな分野で優良な業績を上げている。買収直後には必ず、社員の皆さんにあいさつするためタウンホール(対話集会)を開くのが習慣だ。これまでの成功をたたえる。私が話すだけでなく、質問も受け付ける。同社では日本人に会うのが初めてという人が多いとの前情報。まず日本とは何かから始めた。誰もが知る大谷翔平、ポケモン、ゴジラ、すし、弾丸列車(新幹線)と進むうち、緊張した雰囲気が和んできた。日米の経済や同盟関係に触れると眼差しが真剣になった。本題となる当社の経営戦略、さらに同社への期待を告げると、うなずく人が増えた。歓迎の証しに、郷土料理プルドポーク(豚の丸焼きバーベキュー)を振る舞ってくれた。腕自慢の社員が一晩かけて焼き上げたという。
買収といえば、とかく迅速なPMI(買収後の統合プロセス)が必要だと主張する人がいるが、私たちの経験上、その速度は極力相手に合わせるのがよい。その方が協力は強固になり、結果的に事業のシナジー(相乗効果)は出やすい。

NISSHA株式会社

京都市中京区壬生花井町3
Tel.075-811-8111 
https://www.nissha.com