賛同企業代表者 文化人 特集・未来へ受け継ぐ
経済面コラム

文化がつくる未来

- 2025元日 賛同企業代表者メッセージ -

武田隆久

「誰かがやらねば」の
心意気

武田隆久
武田病院グループ 理事長

「誰かがやらなければならない」ことを誰が行うか。
少子高齢化が進行し、職種や地域に関わらず担い手不足の今、皆が直面している問題と思います。
記憶に新しいのは初期の新型コロナウイルス感染症への対応です。当時は亡くなる方が多く、治療薬もワクチンもありませんでした。全く未知の病気、患者さんを前にわれわれが感じたのは、「誰かがこれをやらないと」という自身の命を懸けた思いだったのです。
今、事態が落ち着いたのはよいのですが、緊迫感も薄れ、「誰かがやるだろう」との消極的な姿勢も目立つようになりました。こうした声が社会にまん延すると、誰もが何もやらない国になってしまうことでしょう。
世代によっては、「昔はどんなことでも進んでやったものだ」という声があるかもしれません。これも現代日本人が失ったものなのかと思いきや、武士の心得を論じた書物として高名な「葉隠」には「すこしも苦にせず、一段すすみてするがよし」と消極的な若者を諭す一文も記されています。結局、人は大きく変わらないということなのでしょう。もちろん、お役目が世襲される当時と、職業選択の自由がある現代とを直接比較はできません。それでもわれわれは、「誰かがやらねば」の心意気で向かうことができるよう、これからも組織をつくり、人を育てていきたいと考えています。

武田病院グループ

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