続木斉渡仏100周年

続木 創
株式会社進々堂 代表取締役社長

謹んで新年のお喜びを申し上げますとともに皆さまのご多幸をお祈り申し上げます。
2024年は私ども進々堂にとって特別な年です。創業者、続木斉が日本人のパン屋で初となるフランス遊学に旅立ったのが1924年、つまり今年は創業者の渡仏100周年ということになります。
新宿中村屋でパン作りを覚えた斉が、妻ハナの実家があった京都で進々堂を開業したのが1913（大正2）年。第一次世界大戦特需による好景気にも恵まれお店は繁盛。安定した収入を得た斉は店の経営をハナに任せ、24（大正13）年フランスに旅立ちます。
斉を突き動かしたのはフランスの文学と絵画への憧憬、そして「本物のパン」を知りたいという強い欲求でした。2カ月間に及ぶ船旅の後、たどり着いたパリで出会ったフランスパンのおいしさに感動した斉は、帰国後、ハナと二人三脚で京都の地でフランスパンを広めることに生涯をささげます。
パンを愛し、パンを深く知ること、奇をてらわず基本に忠実なパン作りを極めること、新しいおいしさ、楽しさを探求し続けること･･･創業者夫妻から受け継いだパン作りの精神を大切に守り、伝統と革新の街京都発祥のベーカリーとして、自分たちのパン作りをこれからもより磨き上げてまいりたい、そんな決意をもって新年を迎えております。