「お念佛からはじまる幸せ」

川中光敎
浄土宗 宗務総長

新春のお喜びを申し上げます。
人は誰もが、それぞれに「幸せ」を求めています。
しかし、私たちが「これが幸せ」と思うもの、感じることは、いつまでも続くとは限らない、移ろいゆく「幸せ」であるかもしれません。
人生はままならないものであり、自分の願い通りにならないという点において、「すべては苦しみである」と説くのが仏教の真理、その中で生きる私たちが本当に望むべきは、消えてしまうかもしれない「はかなさ」を超えた、「変わることのない幸せ」のはずです。
「南無阿弥陀仏」と唱えれば、すべての者が救われる。
この阿弥陀仏の教えに確信を得た法然上人は、東山吉水（現在の知恩院の付近）の地でお念仏の教えを説き広めました。
ままならない人生は阿弥陀仏にすべてお任せし、手を合わせお念仏を唱える。このことにより、私たちの幸せを祈り、優しく見守り続けてくれる阿弥陀仏、ご先祖さま、懐かしいあの方の温かなまなざしが私たちの元に届くのです。
本年は、法然上人が浄土宗を開かれて850年目の節目を迎えます。
私ども浄土宗は、どんなに時代が移り変わろうとも、色あせることのない法然上人の思いを多くの方々に伝え続けてまいります。