賛同企業代表者 文化人 対談シリーズ
経済面コラム

日々の暮らしに「善」を追求し、自らの意志で生きる時代へ

- 2024元日 賛同企業代表者メッセージ -

小野隆啓

忘れ去られた言葉?
忘れ去られた文化?

小野隆啓
京都外国語大学・京都外国語短期大学 学長

自動運転の車、人のように言葉を使用している(ように見える)生成AI(人工知能)の時代、どれだけの人が「向こう三軒両隣」という言葉を聞いたことがあるのだろう?どれだけの人がこの言葉の意味を知っているのだろう?
子どもの頃、家の前の道掃除をする時、どこまで掃除したらいいのか分からずにいると、父は「向こう三軒両隣って言うんだよ」と言い、自分の家の両隣と道路の向かいの家の両隣の範囲を最低でも掃除するのだと教えてくれた。両隣の家と向かいの3軒の家がそれぞれ同じように道掃除をすると、家の前の道は全部で6回掃除されることになる。引っ越してきた時は向こう三軒両隣にあいさつをすればいい。マンションなら、両隣と上下階の部屋にあいさつに行けばいい。こうすることで新しい最小の生活圏(community)に溶け込むことができる。それにより、住んでいる人のことが分かり、近所トラブルを未然に防ぐことができ、災害の時はお互いを助け合うことができる。
この向こう三軒両隣の見方を、言葉による話し合いを、グローバル社会で実行すれば、中東、黒海周辺などの国際紛争も、そもそも生じなかっただろう。この忘れ去られた(?)言葉、忘れ去られた(?)文化である向こう三軒両隣を私たちが思い出せば、身近な生活に平穏が訪れ、国際社会において、教育でそれが根付けば、平和の光が見えてくるのではないだろうか。

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