文化がつくる未来
- 2025元日 賛同企業代表者メッセージ -
模倣から
生み出される文化
小野隆啓
京都外国語大学・京都外国語短期大学 学長
地球上には約870万種の生物が存在します。その中で言葉、言語を有する生命体は唯一人間だけです。イヌやネコはコミュニケーションの方法を持っていますが、言葉とは異なるものだと言われています。人間は言葉を持てたから文明を作り出すことができました。そしてその文明は全て言葉からできています。政治、経済、音楽、文化、数学、社会など、全て言葉があるから作り出すことができました。他の生命体で文明が発展しなかったのは、言葉を持たない、持てなかったからです。ネアンデルタール人が作った道具は、その種類において、ホモサピエンスが作った道具の種類に大きく差をつけられました。分子生物学ではネアンデルタール人は言葉を持っていなかったか、持っていても非常に原始的な段階のものだったとされています。
文化は伝統を生み、伝統は小さな最初の創造物から発展し、高度なモノへとなっていきます。そこには「真の創造は完全なる模倣から」という言葉の通り、全ては存在するモノの完全なる模倣から出来上がるのです。そして、より正確な模倣ができるために、繊細な技術などが発展し、文化全体の発展につながるのです。道を見失ったら、何かの模倣を始めれば、新たなる創造へと導かれ、発展していきます。
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