賛同企業代表者 文化人 特集・未来へ受け継ぐ
経済面コラム

文化がつくる未来

- 2025元日 賛同企業代表者メッセージ -

千 宗室

今日できること

千 宗室
裏千家家元

世の中に明るい兆しが見え、茶の湯の世界もコロナ禍前の活気を取り戻しつつあります。
茶の湯というのは遠くから眺めるだけの遺跡ではありません。例えるなら川の流れのようなものです。長い歴史の中で細くなったり、太くなったりを繰り返してきました。時代に合う工夫をしながら、500年近く身の丈に合ったことをしてきたわけです。時には思いも寄らぬ原因で川の水が減り、干上がってしまいそうになっても、次第に水が戻り、また流れる。茶の湯に限らず伝統文化や伝統芸能はそうして今日まで続いてきております。
「時代に合わせる」とは、「その日に合わせる」ということです。自由経済の現代に生きる私たちは、昨日に対して今日がどうとか、今日がこうだから明日はこうしなくてはいけないなどと考えがちです。しかしながら明日何が起きるか、未来がどうなるのか誰にも分かりません。ですから、ともかく今日という日にしっかりと向き合う。それが明日に生かされます。そうした積み重ねが文化を育み、次の世代へ手渡すことにつながっていくと私は思います。
まずは今日できることを考える。立ち止まってそう考える。そうするかしないかで明日の姿は良くもなり悪くもなります。そのような気持ちで今年も一日一日を過ごしてまいりたいと存じます。

裏千家

京都市上京区小川通寺之内上ル
Tel.075-431-3111 
https://www.urasenke.or.jp