未来との約束
- 2026元日 賛同企業代表者メッセージ -

温故知新
千 宗室
裏千家家元
講演原稿などの執筆にあたって調べものをするとき、私は今でも第4版の「広辞苑」を使っています。もう30年以上使い続けてまいりました。その間に何度か版が重ねられ、新しい言葉も加わったようですが、知らない言葉がまだたくさん載っている古い版のままで私には充分です。
ずっしりと重たい辞典を棚から引っ張り出して、小さな活字を目で追いながらページをめくるのは面倒な作業です。しかし、手間がかかるからこそ学ぼうという意欲が高まり、そうして得た答えは自分の中に長くとどまります。ネットで拾ったような、いわゆる簡単に出た答えは大抵すぐ忘れ去られます。
茶の湯の稽古においても、身に付けようという気持ちがなければ、いつまでたっても覚えられません。稽古を重ねていくと、今度は新しいものに目が行きがちです。あれもこれもどんどん学びたいという向上心は大切です。とはいえ、基本を何度も繰り返し学び、自分の中に根付かせていってこそ次の段階に進めます。
基本を繰り返し稽古することは、温故知新の「温故」にあたります。時間をかけてしっかり温めた幹があるからこそ、新しい枝葉を伸ばしていくことができると私は思います。
昨日がなければ、今日も明日も生まれません。新しい年を迎えるにあたり、温故知新の意味をもう一度よく考えていただければと存じます。
裏千家
京都市上京区小川通寺之内上ル
Tel.075-431-3111
https://www.urasenke.or.jp

