賛同企業代表者 文化人 対談シリーズ
経済面コラム

日々の暮らしに「善」を追求し、自らの意志で生きる時代へ

- 2024元日 賛同企業代表者メッセージ -

千 宗室

「おめでとう」に
込める思い

千 宗室
裏千家家元

明けましておめでとうございます。
とはいえ、何も元旦だけがおめでたいわけではありません。実際、茶の湯の世界では年始に限らず、月の初めに顔を合わせる者同士が「おめでとう」と言葉を交わす習慣があります。
毎月朔日の朝、宗家には全国各地から大勢のお弟子さんが稽古に来られます。私は先代や若宗匠と一緒にその方々と「お朔日おめでとうございます」とあいさつを交わします。夕方になると親戚が集まり、「おめでとう、今月もよろしく」と声を掛け合い、小さな杯で乾杯をし、お膳を共にします。
幼い頃からそのような環境で育ちながら、私は内心「何がおめでたいのだろう」とずっと不思議に思っていました。しかし大人になって、その「おめでとう」はお互いの無事息災を確認した証しとなるものだ、ということに気付きました。
ひと月は12カ月の中で目安となるひとくくりです。つまり、節にあたります。その節目を一つ越えるたびに互いの無事を確認し合うのが朔日のあいさつです。もちろん、いろいろな理由でいつも同じ顔ぶれがそろうとは限りません。それでもともかく再会に感謝し、喜び合う。その和みの気持ちが「おめでとう」に込められているわけです。
2024年甲辰年が皆さまにとって良き1年となりますことをお祈りいたします。

裏千家

京都市上京区小川通寺之内上ル
Tel.075-431-3111 
https://www.urasenke.or.jp