新しい消費行動へ

塚本能交
株式会社ワコールホールディングス 代表取締役会長

2年にわたるコロナ禍の影響により、私たちの仕事や生活様式は大きく変化しました。デジタルトランスフォーメーションが急激に浸透し、在宅勤務やウェブ会議が当たり前になり、会議の削減や事務処理の簡素化が進み、ビジネススピードが格段に速くなりました。普段の生活においても、買い物をはじめ、銀行や行政サービスも在宅のままオンラインで対応するようになりました。この流れは、コロナ禍以前に戻ることはないでしょう。
デジタル化の推進により、モノづくりにおいて、サプライチェーン（供給網）全体の商品の供給量や在庫量をコントロールして無駄を削減するとともに、生産工程の機械化・自動化によって生産性を向上させることが求められています。また一方で、昨今のサスティナビリティーの観点から、企業の姿勢が問われています。環境に対する取り組み、人権・ジェンダーへの意識など、モノづくりの過程において今まで見過ごされていた事案に対しての配慮が必要となってまいりました。
使い捨てする消費から品質の良いものを長く使う消費へ、環境配慮や健康意識の高まり、モノづくりの背景を意識した商品へのこだわりなど、消費者の価値観の変化は新たなビジネスチャンスを作り出します。私たちは、このような消費者の声に丁寧に対応し、付加価値を持った商品を提供することで、消費者や地域社会からより信頼していただける企業を目指してまいります。