賛同企業代表者 文化人 対談シリーズ
経済面コラム

新たな暮らしの実践へ

Practice of new life

- 2022元日 賛同企業代表者メッセージ -

入澤 崇

この世と心を
通い合わせて

入澤 崇
龍谷大学 学長

「当たり前に生きるということはどういうことか。この世と心を通い合わせて生きてゆきたいということなのです」。ジョニー・デップが写真家ユージン・スミスを演じた映画「MINAMATA」を見終わったとき、思い浮かんだのが石牟礼道子さんのこの言葉でした。いま、地球環境の問題が大きくクローズアップされ、「脱炭素」「気候危機」といったビッグワードがそこかしこで飛び交っていますが、いま一度「水俣病」をはじめとする公害に目を向けるべきと考えます。それは「人間の営み」について自省するということです。自分ないしは自分の属する組織のやっていることが社会に負の現象をもたらしていやしないか。当たり前に生きるということができない人を生み出していやしないか。
1975年、ユージン・スミスの写真集『MINAMATA』が世界に大きな衝撃を与えました。「人間の営み」に熟慮を促したのです。しかし、時が過ぎゆくと人類史に残る大事件も遠景に退いてしまいます。「日本人の忘れもの」にしてしまっていいわけがありません。いま若い人たちの間で環境問題に高い関心が寄せられつつあります。これまでの社会のどこに問題があるのか、いま自分にできることは何なのか、を考える若者が増えつつあるのは大きな希望です。

龍谷大学

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