賛同企業代表者 文化人 対談シリーズ
経済面コラム

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Practice of new life

- 2022元日 賛同企業代表者メッセージ -

伊藤真宏

徹底した学び

伊藤真宏
佛教大学 学長

佛教大学の設立母体である浄土宗を開かれた法然上人は、ここ京都から、ただひたすら念仏することで救われるという教えを発信しました。その法然上人が弟子に対して強い指導力を発揮されたものに「七箇條起請文」があります。
これは、1204年、法然上人が禁止行為7カ条を制定し、賛同する弟子たち約200人が署名したものです。教えを十分理解せず、「戒(規律)」を破っても悪い行為をしても、念仏すれば許されると吹聴する輩が世を惑わす事態に対処されたものです。
その第5条に「ものの是非をわきまえず、経典の内容から外れ、師匠の教えを勝手に解釈して話し、むやみに論争を仕掛けて知恵ある人に笑われ、人々を惑わすことを禁止する」とあります。
法然上人は大蔵経と呼ばれる仏教聖典の集成を5回にわたり学ばれたといわれ、すべての宗派の書物にも目を通し、徹底的に仏教を学び尽くしました。その上でたどり着き、広められたのが念仏の教えです。この徹底した学びを背景として第5条があります。
価値観が多様化して善悪の判断が難しい混迷の現代においてこそ、私たちは法然上人の学びの姿勢に倣い、しっかり学び正しく理解し、勝手な解釈で人を惑わすことのない人材の養成を、すべての教育機関において取り組むべきと考えます。

佛教大学

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