賛同企業代表者 文化人 対談シリーズ
経済面コラム

新たな暮らしの実践へ

Practice of new life

- 2022元日 賛同企業代表者メッセージ -

小堀泰巖

建仁禪寺

小堀泰巖
大本山建仁寺 管長

歴史を振り返ると、京都は幾度となく疫病の苦難に見舞われてまいりました。疫病退散の祈りに始まった「祇園祭」は有名ですが、人々のつらさや苦しみを乗り越えようという思いは、悠久の歴史の中で「文化」となり、現代に受け継がれております。
建仁寺の開山・栄西禅師は、疫病で人々が苦しむ姿を見て発心し、人々を救わんと得度されました。当時は大きな船もない時代でしたが、禅師は危険を顧みずに2度も中国に渡られています。
栄西禅師は2度目の旅路で「禅こそが私が求めていたものだ!」と直感して天台山万年寺の虚庵禅師の下で修行をされます。そして修行の果てに「印可(免許皆伝)」を得て、日本に禅を伝えられました。この時、薬として「茶」も伝えられています。
栄西禅師の教えを受け継ぎ、建仁寺では今も雲水らが、日夜研鑽に励んでおります。禅寺の朝は早く、元旦は午前3時、朝一番に汲んだ清浄な新水を各処に供えてお勤めが始まります。雲水一同が世界平和・万民和楽の祈りを込めて600巻の経典を転読する声は、山内に響き渡ります。
元旦のお勤めが終わる頃、日の出とともに東山がぼんやりと白んでまいります。この光景は800年来変わらぬものでしょう。悠久の時の中で、粛々と行じていく。今も古来より連綿と変わらぬ、建仁寺の元旦であります。

大本山 建仁寺

京都市東山区大和大路通四条下ル小松町
Tel.075-561-6363 
https://www.kenninji.jp/