さらにその先の変化を
見据えて

大倉治彦
月桂冠株式会社 代表取締役社長

新型コロナウイルスの感染拡大が、社会に大きな影響をもたらし、各方面で平年とは異なる不自由さや不便を強いられてきました。当然だった慣習も覆り、社会の変化や制度面での変更に困難を感じられた向きもあったことでしょう。
ひるがえって時代時代の困難、特に先の大戦の混乱期に目を向けると、また現代とは異なる大きな苦難が国全体を覆っていたといえます。そんな中で、私どもの先輩たちがいかに行動し打ち勝ったかを振り返ると、現代に通じる示唆を感じます。終戦直後の厳しかった時代、軍隊や外地から帰還した従業員を受け入れる一方で、酒造りに用いる米は統制下にあり、醸造も思うに任せませんでした。そんな中、日本酒の生産や販売が回復するまで、どのように会社を支えたか。ソース製造や製粉、製氷ほか、さまざまな事業を手掛け、ピンチはチャンスと捉え必死に取り組んだ歴史があります。
現代においても、本業の酒類事業のほか、グループに迎えた冷凍麺メーカーなどが順調に成長しています。既存事業の深化だけでなく、新たな成長機会の探索も同時に行う形です。コロナ禍においても、オンライン活用による柔軟な業務体制など、日常となった新たな状況の中で、さらにその先の変化を見据え、困難にも知恵を絞り前進していこうとしています。