賛同企業代表者 文化人 対談シリーズ
経済面コラム

新たな暮らしの実践へ

Practice of new life

- 2022元日 賛同企業代表者メッセージ -

千 宗室

一期一会

千 宗室
裏千家家元

茶の湯では利休居士以来、歴史の流れの中で「一期一会」の精神が育まれてきました。これは、「一生に一度の出会いだと思い、覚悟を持ってその場に臨むように」と説明されることが多く、重たい言葉のように受け取られがちです。そんなふうにばかり考えてお茶席に臨んでいたら顔つきが険しくなってしまうかもしれません。あれこれ難しく考えるのではなく、もっと簡単に考えるにはどうしたらいいか、分かりやすい言葉で自分が納得できるような受け取り方を探してきました。そうしてやっと気が付きました。人生にリハーサルの日はない、毎日が本番だと思うことにしたのです。
仮に今日が特別な一日だとしたら、昨日は今日のためのリハーサルの日でしょうか。特別な今日という日が終わった次の日は何でもない一日でしょうか。スケジュール帳を見て、たくさん書き込まれた日と何も書かれていない日があったとして、それらに優劣はありません。朝、目が覚めて夜寝るまでを過ごすその一日は、どんな日であっても本番です。何でもない一日でも、それが欠けてしまえば今日という日はなかったわけです。
それ故、すべての日に感謝をする。そして明日という本番、あさってという本番を生きていく。そのような気持ちで、これから先も続く本番の毎日に臨んでまいりたいと存じます。

裏千家

京都市上京区小川通寺之内上る
Tel.075-431-3111 
http://www.urasenke.or.jp/