三つ葉の車色に込めた
京都の心意気

粂田佳幸
彌榮自動車株式会社 取締役社長

人が移動の自制を求められるコロナ禍の厳しい現実の中、非接触決済端末の全車導入や光触媒による車両防菌、アプリ配車の本格稼動などの取り組みを進めてきました。
歴史をひもとくと、平安京の時代から疫病に悩まされ、近代京都の百年の計である琵琶湖疏水事業にも伝染病の大流行という背景があったことに気づきます。疫病退散を祈る御霊会を祇園祭へと進化させたように、洗練された進取の精神で創意工夫を重ね、京都の伝統文化と地域力を結集して新しい時代を切り開いてきた先人たちの気風に、京都らしい心意気を感じます。
当社は日本の伝統文化が暮らしに息づく京都で育まれてきました。全国各地のタクシーがメーカーの標準色で画一化されつつありますが、当社では1台ずつ自社工場で「ヤサカカラー」に塗装しています。京都の風情に似合う、京都らしいタクシーでありたいという思いを三つ葉のタクシーの車体の色に込めています。
シンボルマークの「三つ葉のクローバー」は、大正時代の創業以来、旅客運送事業の原点として私どもが大切にしている「安全」「快適」「信頼」の三つの心を意味しています。京都で育まれ受け継いできたこの三つの心が私どもの羅針盤です。京都らしい進取の気風と創意工夫の心意気で、全集中して鈴の音に祈りを込め、新しい時代の扉を開きたいと思います。