経済面コラム
【明日へ、京都をつなぐ】
Beautiful Japan. To the next generation
三つ葉のクローバーの心意気
粂田佳幸
彌榮自動車株式会社 取締役社長
「コロナ禍の京都の寂しい様子を報じるニュース映像で、三つ葉のマークが走る姿を目にして心がほっとした」という声援を頂きました。災害時でも安全を確保し最後まで運行する交通機関がタクシーです。都市の生命の血液ともいえるライフラインであることを実感しました。そして当社には、本来の京都の姿を取り戻すために、活力の源であるお客さまを全ての大路小路に送り届ける大切な役割があります。
京都市京セラ美術館で開催中の「モダン建築の京都」で創業者粂田幸次郎が近代京都を自動車事業で彩った実業家として紹介されています。三つ葉のクローバーには創業以来、幾多の困難を乗り越えた先人たちから受け継ぐ「安全」「快適」「信頼」の三つの心が込められています。
百年余りの時を経て、ハイヤー・タクシー、観光バス、路線バスからビル事業まで一貫してこの三つ葉のマークを掲げています。三つ葉のクローバーに込めた心を、京都で育まれた進取の気風と創意工夫の心意気でヤサカらしくどのような“カタチ”に具体化していくか。コロナ後の新しい時代を見据えた取り組みの軸足はここにあります。
新たな価値を求めて
松島正昭
株式会社マツシマホールディングス 代表取締役社長
車の移動という機能的な価値だけではなく、こだわりや自己表現など、目に見えない価値を大事にして、マツダとスズキをはじめ、輸入車ではメルセデス・ベンツ、smart、BMW、MINI(ミニ)、Audi、VW(フォルクスワーゲン)、マセラティ、ポルシェの計10ブランドを取り扱ってきました。最近では、全ての人に自分らしいすてきなカーライフを送っていただきたいと、取り扱うブランドから好きな車を福祉車両に改造するサービスを始めています。さらに、プレミアムな車で送迎や観光案内をするハイヤー事業を展開し、移動自体に価値を持たせられるようなサービスも提供しています。また、京都の歴史的な価値、文化的な価値を未来につなぐため、伝統工芸やアート、スポーツ、食などの文化に貢献できるよう努めてまいりました。
人にはそれぞれ物語があり夢があります。私たちの車やサービスは、どんなふうに関わることができるのか、どのような体験と感動という価値をお届けできるか、そこに私たちのチャレンジがあります。そのために私たちは、誰かの人生に向き合い、その人らしさに寄り添うことが不可欠だと考えています。
明日へ、京都をつなぐ
重田敦史
西日本電信電話株式会社 京都支店長
京都は、伝統を守り、自然とも調和しながら、時代に合わせて変化してきた街だと思います。変わらないこと・変えることをバランス良く行ってきた京都の特色は、変化の激しい今の世の中で、一層注目されているのではないでしょうか。
NTT西日本は、通信サービスのご提供のみならず、「ソーシャルICTパイオニア」として地域の抱えるさまざまな課題に対して、ICT(情報通信技術)を活用して解決していく、持続可能な地域活性化をめざしています。私たちが持つ技術やサポート力が京都の皆さまのお役に立てないか、また、一緒に将来を創っていくにはどんな価値を創造していけばよいのかを考え、「地域の皆さまのパートナー」として、ICTの活用による課題解決に取り組んでまいります。同時に、社会を支え、生活を守る重要なインフラを提供する事業者として、自然災害やサイバー攻撃といった脅威にも対応し、安心・安全で信頼性の高い通信サービスを提供していきます。
私たちも、変わらないこと・変えることの両方を大事にし、これからも人や街を「つなぐ」「まもる」という変わらぬ使命を果たし続け、「これまで」と「これから」をつなぎ、「あした」を創っていきたいと考えています。
「SUSTAINABLEな祈り」
仲田順英
総本山醍醐寺 執行・統括本部長
日本人は、人と人とのつながりをとても大切にします。つながりは、「縁(えにし)」という仏教の大切な教えの一つです。縁には、お互いが支え合う横のつながりと、世代を超えた縦のつながりがあり、日本の文化はこの縁に支えられてきました。
しかし、戦後の高度成長の中、「個」を主張するあまり、世代を超えた縦のつながりは忘れ去られつつありました。さらに、昨年来世界を混乱に陥れている新型コロナウイルスによって横のつながりも断絶されてしまい、新たな「孤独感」が生まれています。
最近、サスティナビリティー(持続可能性)という考え方が重要視されますが、この言葉は、「Sustain(支える)」という単語に由来します。日本人が持っている祈りの心は、人と人、人と自然、全ての命が世代を超えて支え合うというものです。これはまさにサスティナビリティーではないでしょうか。「持続可能な世代を超えた祈り」=「SUSTAINABLEな祈り」を日本から世界に向けて発信することが、多くの命の支えとなるのではないかと思います。
豊かな社会の実現に向けて
伊東知康
株式会社ワコール 代表取締役 社長執行役員
当社グループは、世界中のすべての人々が輝くことができる豊かな社会と、事業の成長をともに実現するため、ガバナンスや人権、環境などの課題に対する取り組みを強化しています。
今月4日に、深刻化する気候変動課題の解決と脱炭素社会の実現に向けた取り組みを進めるため、ワコールグループの「環境目標2030」を発表いたしました。
2030年までに①温室効果ガスの自社排出量を「ゼロ」に②製品破棄を「ゼロ」に③再生繊維やリサイクル糸など環境配慮型素材の使用比率を「50%」に―を目指します。
また、環境やサスティナビリティーに対する関心が高まる中、「良い商品を長く使いたい」「環境に配慮した商品を使用したい」という消費者の要望に応えるため、環境配慮型商品の発売も開始しました。
引き続き、「地球環境を守ることは企業の責務である」との認識に立ち、消費者に長く愛していただける“ものづくり”と、環境保全に配慮した事業活動を推進していきます。
キッチンカーで笑顔を運ぶ
河内 誠
株式会社ロマンライフ 代表取締役社長
「お客さまのご来店が難しいご時世なので、明るく元気な話題を発信できないだろうか」というテーマでの会議中に、1人の社員から「こちらから出向くことはできませんか」との提案がありました。その一つのアイデアが、お客さまの身近にケーキをお届けしたいという複数の発想と重なり、初のキッチンカーでの移動販売が誕生しました。
キッチンカーでの販売を通して、たくさんの喜びの声を頂戴し、お客さまの笑顔とともにスタッフがやりがいを実感していることが伝わってきました。そんな若い世代のやる気パワーの能力を伸ばし、仲間を育成し「人財」を創り出していくことが、京都の明るい未来の一助になればと願っております。
世の中が変化しても「お客さまに感動と喜びをお届けすることが私たちの喜びである」という創業からの理念は現在も変わりません。ロマンライフのSDGs(持続可能な開発目標)…それは社会や環境に配慮し、地域の皆さまに喜んでいただきたい、お役立ちしたいとの思いを胸に、元気が出るようなことを発信し続けることです。京都の街のどこかでマールブランシュキッチンカーは洋菓子とともに笑顔で皆さまをお待ちしております。
「生前」という言葉
入澤 崇
龍谷大学 学長
お葬式やお別れの会に参列した時、最後に喪主の方が「○○の生前にはお世話になりました」とご挨拶をされます。最近では新聞広告に「生前整理」といった表現が目に留まりました。人が亡くなる前のことを何故に「生前」と言うのでしょうか。亡くなられた方の「生きている間」のことを「生前」と言い表していて何ら疑問も持たれていませんが、よく考えると不思議です。「死前」「亡前」と言わず、何故に「生前」なのか。ここに日本人の忘れものを考えるヒントがありそうです。
「生前」の生とは「往生」と理解して初めて「生前」の意味がはっきりします。極楽浄土(真実の幸せをもたらす悟りの世界)に「往(ゆ)きて生まれ」そして仏に成る。この考えは現代人の価値観からすると合理性のないものと映ります。しかし、物理的な生命に対するまなざしとは次元の異なる、仏に願われた「いのち」の世界があることを知らされた人々はかつて「往生」という言葉を広めました。現代では困難を極める状態を示す言葉となり、「往生しまっせ〜」などと使われます。「往生」も「生前」も元は、深みのある広大な世界に基づく言葉であったのです。
挑戦をもっと自由に
仲谷善雄
学校法人立命館 総長
昨年、立命館は創始150年、学園創立120周年を迎えました。学祖・西園寺公望、創立者・中川小十郎の理念を引き継ぎ、建学の精神である「自由と清新」の下、この京都の地で歴史と伝統を重んじながら進取の気風に富んだ学びやの創造に努めてまいりました。
本学園は2030年に向けたビジョンワードとして「挑戦をもっと自由に ~Challenge your mind Change our Future」を策定しました。先を見通すことが困難な時代であるからこそ、私たちは果敢に「挑戦」していくのだと宣言しています。
建学の精神である「清新」は、すなわち「innovation」であり、革新はいつの時代においても挑戦しなければ起きません。立命館は一人一人の自由な挑戦を尊重し、そのマインドを醸成、支援していきます。その上で既存の価値観を超える主体的かつ創造力のある創発性人材を育成し、新たな価値創造と社会実装を実現する次世代研究大学を目指していきます。
未来に向けて、研究を通じて新しい知を探り、創り上げ、そして社会へ届け、後世に伝え、人類に貢献する。立命館はそのような存在であり続けます。
「まず、想いに届く」
小谷高代
株式会社ユーシン精機 代表取締役社長
「まず、想(おも)いに届く」は、当社のスローガンです。まず、何をおいても大切なことは「相手の想いに届く」仕事をすることだという意味です。産業用ロボットを提供する当社は、工場の生産性向上や、安全な職場環境の実現といったお客さまの「想い」に届き、その期待を超えたいと願っています。「相手の想い」に届いて、喜んでいただけたら、私たち働く仲間にとってもやりがいとなり、次の仕事が楽しみになります。
「相手の想い」に届くためには、要望されることの本質を理解しなければなりませんが、これが簡単ではありません。人は手段を目的と取り違えてしまうことがありますし、何人もの人を介して伝達しているうちに、発信者の意図と異なった情報が届いてしまったりします。いつも、相手の要望の「本質」を理解する努力を重ねる会社でありたいと思っています。
また、現代においては、「相手の想いに届く」活動の対象は、「将来の人類にとっての生活環境」を含みます。当社はこれまで、省エネルギーで環境負荷の小さいロボットを開発してきました。その点において、今後も一層、粘り強く取り組みたいと思います。
「隣助」「傍助」「共助」
神居文彰
平等院 住職
女性シンガーAdoの「うっせぇわ」を聞いて、どこかデジャビュ(既視感)を覚えた。「うっせぇ、うっせぇ、うっせぇわ」のフレーズが、川内康範原作「愛の戦士レインボーマン」の敵役歌「死ね死ね団のテーマ」に、おおっとするほど似ているのである。「死ね死ね団のテーマ」は、今でこそユーチューブ視聴ですぐにアクセス可能であるが、1972(昭和47)年以来、放送禁止のまま。歌詞に「死ね」という単語が90回以上繰り返され、途中、日本人は「金で心を殺してしまえ」などが入る。本作は戦後の遺骨収集体験からの創作らしいが、主人公はインドで修行し、仏教でいう平等で穏やかな境地を目指す詞文で変身し、力を使い果たすと座禅をし回復を待つ。それは人間同士が自身の欲望のまま憎み合い傷付け合い認め合わない姿に絶望したからだという。「死ね死ね団」は全てを消し去ろうとした。「うっせぇわ」は承認欲求の裏返しともいえる。50年で人は少しだけ進化したのか、ねじれたのか。隣人を愛するキリスト教、傍らの人に寄り添う仏教。人は共に助け合い生き続ける。自分だけ逃げるのではなく側にいる人に声を掛けたい。声を聞きたい。
持続可能な国際文化観光都市へ
玉置敏浩
三井不動産株式会社 京都支店長
コロナ禍でインバウンドが消滅して1年半が経過し、京都の観光産業に未曽有の試練が続いていますが、いずれ人類はこの感染症を乗り越えるでしょう。しかし京都はただコロナ前の観光都市に戻るだけで良いのでしょうか。長い歴史の中で疫病や社会環境の激変を知恵と革新力で乗り越えてきた京都こそ、コロナ後の持続可能な観光の在り方を構築し、国内外に発信すべきではないでしょうか。
三井不動産では2020年度に京都市内で「HOTEL THE MITSUI KYOTO」をはじめ4つのホテルを新規開業しましたが、いずれも新たな京都観光の在り方、あるいは京都の社会課題解決への思いを込めたプロジェクトでした。その基本理念は、地域文化・芸術と国内外の宿泊者を結び付け、京都ならではの体験を通して伝統・文化を再活性化し、地域社会と観光産業がともに持続的に成長していくことを目指しています。
コロナ後の社会では京都ならではの体験価値を提供できるホテルが生き残り、それによって地域社会や伝統・文化も再活性化し、真の国際文化観光都市として持続的成長を実現できると信じてこれからも事業に取り組んでまいります。
「文明の食」から「文化の食」へ
佐竹力總
株式会社美濃吉 代表取締役社長
今、全企業に期待されているSDGs(持続可能な開発目標)。
食の分野では、従来のチェーンシステムで拡大一辺倒の「文明の食」ではなく、300種類にも及ぶ包丁を巧みに使い分け、発酵や「出汁(だし)」などの伝統の知恵を生かした「素材を使い切る食文化」「一汁三菜の知食」(ユネスコの無形文化遺産に登録)が世界のSDGsに役立つと期待されています。
美濃吉は代々、このような「四季折々の素材を使い切る食文化」「もったいないの精神」、それに自然の恵みに対する感謝の心・畏敬の念、「ごちそうさま」と手を合わせる伝統的な美しい本物の日本の食文化を300年にわたり提供し続けてきました。
300年続いた秘訣(ひけつ)は?
強いて言えば、代々佐竹家の当主がその時、その折の時代の流れに適応すべく、進取の精神、挑戦する勇気、柔軟な発想、そして優しさ(人を大切にすること)を大事にしてきたからでしょうか。
その美濃吉のDNAに加え、その時代に働いておられた先人(従業員)の皆さまの努力、精進、その結果としての「ご縁(運)」だと思います。
こころづかい
戸島耕二
株式会社増田医科器械 代表取締役社長
確かに「こころ」は誰にも見えない
けれど、「こころづかい」は見えるのだ
同じように胸の中の「思い」は見えない
けれど「思いやり」は誰にでも見える
詩人・宮澤章二の詩の一節である。「こころ」を「つかう」、「思い」を「やる」-つまり、心や思いは、具体的な行為に表してこそ、相手に伝わるものだということだろう。
弊社は医療機器の総合商社として今年で創業93年を迎える。今回、コロナ禍という前代未聞の苦難に直面した。取引先の医療機関が危機に陥った時、私たちにできることは何かを改めて深く問い直した。医療材料を安定供給するのが私たちの使命である。医療施設や医療従事者の方々は、単に商売上の取引先ではなく、安心・安全の医療を担う共同体、同志だと強く感じた。共に支え合うことの大切さに改めて気付かされたのである。
コロナ禍の収束はまだ先かもしれないが、医療従事者の皆さまと連携、協力し、「こころづかい」と「思いやり」を持って、この難局を乗り越えていきたいと決意している。
コロナ禍の先にある未来を見据えて
佐々木喜一
成基コミュニティグループ 代表 兼 CEO
新型コロナウイルスは教育の世界を大きく変えました。民間教育機関では、オンライン指導や映像学習が当たり前となり、現在はその質を追求する段階です。
私が8年半にわたり活動してきた政府直轄の諮問機関「教育再生実行会議」の第12次提言では、一人一人の多様な幸せと社会全体の幸せ「ウェルビーイング」の実現(けだし、古来日本精神として大事にしてきた「在り方」の追求と同義)を目指すことを掲げました。このことは「何のために勉強するのか」という本質が問われることを示しています。つまり「自分の人生にどういう未来を描くのか」「社会にどのような貢献をしようとするのか」を明確にしていくことが求められるのです。
子どもたちを待ち受けるのは「VUCA」(変動性、不確実性、複雑性、曖昧性の略称)といわれる正解がない世界です。そこで何より大切なのは、自らの「志」に基づく思考と行動です。 知識を多く持つことは個性ではありません。知識と体験から紡ぎ出される志こそが個性であり、その多様性を育むことが未来を創っていくのです。
私たちは一人一人に寄り添い、時代に対応した「人づくり」を行ってまいります。どうぞご期待ください。
還愚(げんぐ)の心
伊藤真宏
佛教大学 学長
佛教大学の建学の理念は仏教精神であり、釈尊と法然上人の教えが2本の支柱となっている。その法然上人の教えに「還愚」がある。約850年前、ここ京都から念仏信仰を発信された法然上人の根本精神ともいえる考え方で、「自分自身を正しく見つめ、愚かな自分に還るべきこと」を意味している。
昨今、SNSなどで他者への非難が繰り返される場面を目にするが、あまりの無軌道さに目を覆いたくなる。もちろん、犯した過ちに対する非難は受けなければならないし、批判を恐れて悪事を隠すことも許されるべきではない。しかし、謝罪している人に向かって執拗(しつよう)に罵詈雑言(ばりぞうごん)を浴びせる姿にも大きな問題を感じる。
私たち自身、絶対に過ちを犯さないと確約することはできない。年齢や地位に関わらず、私たちは人をねたみ、うらやみ、自分だけ良ければと思いがちである。しかし、本当の自分を正しく見つめ、自らの愚かさに気付く時、目指すべき姿や進むべき道はおのずとあらわになってくる。
佛教大学では、この「還愚」の教えに基づき、一人一人の、そして社会全体のあるべき姿を考え、そのための取り組みを、ここ京都から発信していくつもりである。
先端デジタル技術で独自の地域貢献
山口 渉
富士フイルムビジネスイノベーションジャパン株式会社 京都支社 支社長
弊社は今年4月、長年親しんでいただいた「富士ゼロックス」から「富士フイルムビジネスイノベーションジャパン」へ社名変更いたしました。コロナの影響で在宅勤務やDX(デジタルトランスフォーメーション)など、新しい働き方へ向けた社会全体の取り組みが進む中、最先端のデジタル技術でお客さまのビジネスにイノベーションをお届けするため、オフィス環境の改善の提案を積極的に進めております。
一方で私の生まれ故郷でもある京都は、長い歴史の中で独自の文化を育み、発展してきました。歴史的にも極めて貴重な文献や資料も多く、京都支社では10年以上前から府下の古文書や文化財の複製・復元事業を推進してまいりましたが、ここでもスキャンや特殊トナーを使った先端デジタル技術が不可欠です。昨年度は文化財の所有者さまへ利益を還元できる新しいビジネススキームが「グッドデザイン賞」を頂き、他府県からの問い合わせも増え活動地域を拡大しています。
先端デジタル技術を最大限活用し本来の企業活動に取り組むだけでなく、地域にしっかりと根付いた独自の活動で地元の京都に貢献できるよう一層努力してまいります。
「より良い社会」に貢献できるか?
園田修三
福田金属箔粉工業株式会社 代表取締役社長
弊社は金属の箔(はく)と粉を取り扱って創業から321年になります。社是を「われわれは常に創意工夫をこらして仕事の改善を図りわれわれの生活の向上とより良い社会の建設に努めよう」としていますが、弊社の歴史を振り返ると、いつの時代も「より良い製品」を生み出そうとしてきました。「より良い製品」とは、「より良い社会」の建設に貢献できる製品ともいうことができます。
その「より良い社会」の像は、時代に応じて変化しています。機能と価格の追求から、製品廃棄時の化学物質汚染を予防するための使用物質規制への適合、省エネ推進による製造上の環境負荷の低減、また、今後は製造における「カーボンニュートラル」の実現や、有限な金属資源の循環利用が求められると予想しています。
今や、これまでの延長線上でものづくりをしていては、より良い社会の建設に加わることができないどころか、より良い社会の建設を阻害する社会の厄介者となり、これからの歴史を紡いでいくことができないという強い危機感を持って、変化に取り組んでいかなければならないと認識しています。
京都の高貴な茶と茶道の王朝文化
福井正憲
株式会社福寿園 代表取締役会長
京都を明日につなぐために、最も大切なものは茶であり、茶道であると思っています。1杯の茶は人と人をつなぎ、昨日と今日、今日と明日をつなぐ役割を持っています。茶がなければ「無茶苦茶」になるのです。
京都には世界に冠たる銘茶・宇治茶があり、それを楽しむ茶道があります。1杯の茶を楽しむのに、「道」の領域まで昇華させてきたのは京都であり、京都人です。それは世界に例のない1200年続いた京都の王朝文化によって生まれ、生かされてきたのです。
茶と関連して華道、香道といった「道」の文化が花開き、この「道」によって京都文化が育まれてきたのです。今、コロナ時代で人と人との接触が断たれています。しかし、「道」まで昇華された京都文化はコロナ下でも、脈々と受け継がれ、心で結ばれた茶と茶道を中心とした「道」の京都文化は途切れることなく、明日へとつながる強く深いものです。
「雅(みやび)」の世界と「侘(わ)び寂(さ)び」の世界の「二兎を追う」ことが、京都人に課せられた使命であり、この二面性を深く理解し、実行し、伝えることができるのが京都であり、京都人だと信じています。
「地下百尺的精神の発揮」
辻 嘉明
株式会社きんでん 常務執行役員 京都支店長
「わが事業は産業や生活を支える縁の下の力持ち的な役割であると心得、黙々とその使命を遂行する」。これが「地下百尺的精神の発揮」であり、当社の創業精神の一つです。従業員はその精神で、災害復旧工事などの厳しい作業を使命感で全うし、社会的使命の遂行に今日まで努めてきました。創業77年を迎えた今も、電気、情報通信、空調衛生の総合設備工事を担い、技術技能の研鑽(けんさん)に励み、社会的役割を果たすべく歩んでいます。
社会や事業環境が常に変化する中、地域産業の進化発展には、時代を切り開く先駆的事業が不可欠であると同時に、産業や生活を黙々と支える縁の下の力持ち的役割もまた必要不可欠です。目立たずとも地道に社会を支える事業が存続する産業界の厚みと多様性が、地域経済の基盤を強固にし、新たな挑戦や変革に立ち向かう地域力の土台となります。
不透明な情勢下だからこそ、各企業の中にある、社会と生活を支える縁の下の力持ち的事業や役割を磨き上げ続けることが京都のポテンシャルを未来につなぎます。「脚下照顧」。当社はこれからも、ひたむきに使命を果たします。
変化への対応力が会社を強くする
河村嘉則
株式会社日立製作所 京都支店 支店長
新型コロナウイルスによって人々のライフスタイルは大きく変容しました。日立もこの危機を乗り越えるべく一丸となって対応していますが、こうした大きな変化は従来のルールや仕組みを見直し、今までできなかったことに取り組む機会にもなります。
例えば、「リモート」「非接触」、それから人間が介在することなく進めていける「自動化」がキーワードとして注目を集めています。これらは新型コロナウイルスがもたらす課題を解決するヒントを与えるものです。日立はこれまで事業を推進する中で課題を明確にし、解決策を作る手順を確立してきました。この手順を用いて、新型コロナウイルスによって不自由な生活を強いられてきた人々が、今までとは違う方法で、生き生きとした生活を取り戻すことに貢献していきたいと思います。
日立の「社会イノベーション事業」は、社員一人一人が変化していく社会課題を自分事として捉え、日々の仕事を通じて社会をよりよいものにすることです。日立はこれからも変化へ対応し続けることで、人々のQOL(生活の質)向上、顧客企業の価値向上を実現すべく力を注いでいきます。
目指すのは、「今」以上の「未来」
西原高三
野村證券株式会社 京都支店 支店長
野村グループは創業以来、経済・社会の発展に貢献することを心掛けてきました。コーポレート・スローガンを「目指すのは、“今”以上の“未来”。」としており、理念の実現に対する意思でもあります。
現在、われわれはさまざまな難題に直面しています。野村グループは「金融資本市場を通じて、真に豊かな社会の創造に貢献する」ことを社会的使命としており、ESG(環境・社会・企業統治)・SDGs(持続可能な開発目標)に関連する活動に積極的に取り組んでいます。ESGに関する市場の認識や投資の流れもこの1年で様変わりしており、金融機関として、持続可能な社会の創造に資する金融サービスの提供に寄与していきたいと考えています。
創業の精神に「企業家は、7割方の科学的確実性を握ったならば、それでもって、あとの3割の不確実を、突飛(とっぴ)し飛躍するだけの勇気がなければならぬ」という言葉があります。これからも経験したことがないような数々の変化が起きる可能性がありますが、京都の皆さまに貢献すべく勇気を持ってさまざまな挑戦を続け、「今」以上の「未来」を目指して、真に豊かな社会の創造に取り組んでまいります。
教育は未来を紡ぎだす
和田 環
学校法人ノートルダム女学院 理事長
1985年、京都ノートルダムのシスター4人がネパール中部山岳地帯、バンディプールで貧困児童のために幼稚園を開いた。標高千メートル、霊峰マチャプチャレを眺望する大自然の中、人々の生活は極度に貧しかった。「子どもたちによい教育を!」という村人の要望に応え、順次学年を加え、優れた教育実績が他地域の生徒をも惹(ひ)きつけ、今では800人を擁する12年生までの学校に発展し、村にも繁栄をもたらした。卒業生は世界各地で活躍し、後輩に希望を与えている。
一方、最下層カーストの家庭で貧困ゆえに放置されていた幼児のための保育園を始め、母親が賃仕事の合間に交代で給食を作り、幼児指導をもできるよう養成した。目覚ましい幼児の成長とカーストを超えた母親たちによるこのシステムの成果が伝わり、同じような保育園が村々につくられ、村共同体も変容してきている。
この間、京都ノートルダム小・中・高校では、募金、生徒間の文通交流、現地訪問、体育や図工教師派遣などの活動をしてきた。児童・生徒・保護者・教職員が、異文化や世界の貧しい地域の実態を知り、人の未来を紡いでいく教育の力を実感している。
今、伝えたいこと
瀬川大秀
総本山仁和寺第51世門跡 真言宗御室派
この度、仁和寺の南庭・北庭や宸殿(しんでん)などの建造物で構成される庭園が「仁和寺御所庭園」として、国の名勝庭園に指定されました。大変喜ばしいことであり、今日まで継承いただいた、歴代御門跡さまをはじめ、技術者の方々、関係者の皆さまに衷心より感謝申し上げます。
888(仁和4)年、59代宇多天皇は仁和寺を建立され、弘法大師を尊崇し、ご落飾し法皇となられ、人々の幸せを祈られました。それ以来、明治維新まで30代にわたり皇族が門跡を務められ、筆頭門跡寺院として1130有余年の間、法灯が連綿として継承されてまいりました。長い歴史を通じて宮廷文化と密教文化が融合し、荘厳な世界が水晶念珠のような明鏡の輝きをもって脈々と伝えられています。
この度の名勝「仁和寺御所庭園」指定は、未来への大きな懸け橋をいただいたと認識し、文化財を守り伝えることの大切さを自覚して、後世に伝えたいと願います。何卒、皆さまにご理解とご支援を賜りますよう、お願い申し上げます。
皆さまのご健康をお祈り申し上げ、一日も早いコロナウイルス終息を願っております。
継承と創造の担い手を目指して
新谷秀一
学校法人二本松学院 京都美術工芸大学 理事長
現代社会は国際化・多様化が進んでいます。そして私たちを取り巻くさまざまな状況は激しく変化しています。学生の皆さんが活躍する未来にはその状況はさらに進んでいることと思います。そのような社会に対応するためには、時代の変化を敏感に捉える感性と、柔軟な発想力、他の者を理解する想像力、そして確かな知識と技術力、それを証明する資格が必要になるでしょう。
それらの力を身に付けるために、本学では芸術、特に建築と美術工芸に関わる総合的な教育を通し、さまざまなクリエイティブ領域を融合して学べる独自の教育システムを確立しています。その一つに在学中に建築士合格を目指せるシステムがあります。本学の4年間は学生の皆さんの想像を超えるさまざまな刺激があります。そのような想定外の出会いをぜひ楽しんで受け入れてください。
伝統と先端が融合する国際都市「京都」の東山で刺激を受けて学び、自分自身の可能性を信じ、これまでに培われてきた良いものを継承し、これからの文化や社会を創造していく担い手へと成長していただきたいです。
次世代につなぐ、そのために
彦野大輔
日本たばこ産業株式会社 北関西支社 支社長
京都には、脈々と受け継がれてきた豊かな伝統や文化があります。現代の私たちが、それら継承されてきた財産の恩恵にあずかれるのも、常に現状を見つめ、次世代に目を向けることを繰り返してきた先人の積み重ねの結果にあるのではないかと思っています。
一方、ちまたでは持続可能な開発目標として、「SDGs」という文字を見ない日はありません。当社もSDGs先進都市である京都市をフィールドに、産学公の連携プロジェクトである「京都超SDGsコンソーシアム」で活動していますが、コロナ禍によって社会・企業・個人が持つ価値観などが大きく変容してきています。
そのような時代だからこそ、視点を変えて物事を考えること「Rethink(リシンク)」が大切であり、世の中に存在するさまざまなヒト・モノ・コトの価値を認め合い、お互いを尊重し、理解し合える社会の実現こそが次世代につながるキーになるのではないかと考えています。
今後ともJTは、コミュニケーションワードとして「ひとのときを想(おも)う」を掲げ、人と人とがつながり、現在と未来をつなぐことが重要であると考え、これからも京都の皆さまと共にある企業として努力してまいります。
コロナ後に目指すべき社会とは
小畑英明
日新電機株式会社 特別顧問
コロナ禍は、少子高齢化、デジタル化、環境対応、そして価値観の多様化を加速させます。デジタル化や環境対応は新しい市場と事業を生み出しますが、少子高齢化が成長の天井を押し下げるのでコロナ後も低成長が続くことになるでしょう。こうした社会で目指すべきは「長く続く」ことです。長く続くためには、環境変化に適応していくためのイノベーションを絶やさないことが不可欠です。イノベーションを繰り返し、長続きする社会は、低成長であっても停滞した社会ではなく、変化とチャンスにあふれた社会になるでしょう。変化とチャンスはさまざまな自己実現の場をもたらし、多様な価値観を持った一人一人の満足度を高めることにつながります。コロナ後に目指すべき社会は、こうした「低成長であっても長続きする満足度の高い社会」ではないでしょうか。このような社会を実現するために大事なことは、多様な価値観を認め合い、異なった価値観と交わることで新しいものを創り出す力を一人一人が持つことです。コロナがあぶり出したいわれなき偏見や差別、分断をいかに超克し、多様性を大事にする社会を実現できるかが試されていると思います。
非連続な成長への挑戦
鈴木順也
NISSHA株式会社 代表取締役社長
未来につなぐ、というテーマから直ちに想起するコンテクストは、人材能力の進化だろう。人間は変化する経済・社会環境に対して適応的に進化するという基本原理がある。人間は思考と知恵に満ちており、巧みに技術を操り、新しい価値をもたらす。変化が連続的なら対処しやすいが、最近の変化はダイナミックで非連続的、突発的である。例えばアナログからデジタルへの移行は、社会の価値観を変質させ、経済や国家間の覇権バランスに影響を与えた。パンデミック(世界的大流行)により社会は混迷し、突発的な危機への社会システムの脆弱(ぜいじゃく)性が露呈した。さて、人生100年時代と言われる。100年も生きると、多くの非連続に突き当たる。若い頃に習得した能力や元来の資質だけでは、これらに対処できないだろう。リカレントやリスキリング(学び直し)の高まりは、切実な問題意識の現れだ。では企業行動はどうか。異口同音にポートフォリオ経営が叫ばれる中、当社はあえて従来の延長線上にない非連続的な成長戦略に踏み出している。新領域では必要な能力は大きく変わる。成功の鍵は、的を絞ったリスキリングだ。全社を挙げてその意欲に燃えている。
明るい未来社会づくりに貢献
武田一平
ニチコン株式会社 代表取締役会長
当社は、「より良い地球環境の実現に努め、価値ある製品を創造し、明るい未来社会づくりに貢献する」ことを経営理念として掲げています。これを指針としてアルミ電解コンデンサー、フィルムコンデンサー、回路製品をコアに、エネルギー、環境、医療、自動車、5Gなどの分野で製品開発、市場投入を行っています。これらを追求し続けることが社会課題の解決、つまりサスティナビリティーを実現することに貢献できると考えています。
業界をけん引する「家庭用蓄電システム」、世界初の「V2Hシステム」「EV・PHV用急速充電器」や「EV・HV用フィルムコンデンサー」などを、革新的な技術開発により市場投入し、再生可能エネルギーの活用とEV(電気自動車)普及促進により温室効果ガスの排出削減に寄与しています。一方、気候変動に起因する昨今の自然災害による大規模停電時には、EVから給電する外部給電器「パワー・ムーバー」や設置工事不要の「ポータブル蓄電システム」が非常用電源として災害復旧支援に貢献しています。
今後も社会課題を解決し、明るい未来社会づくりに貢献しながら事業の発展、成長を図ってまいります。
激動の世界を生き抜く「タネ」を
瀧井傳一
タキイ種苗株式会社 代表取締役社長
当社は1835年に京都で産声をあげ、「タネから始まる無限の創造性を活(い)かし、世界の人々にとって新しい期待と感動にあふれる、健康的で豊かな生活の実現に寄与する」というミッションの下、農園芸界の発展に寄与すべく種苗業に取り組んでおります。
種は工場で生産できるものではなく、自然と向き合い地道な仕事を積み重ねることでしか生み出すことはできません。猛暑や豪雨といった世界的な異常気象や世界人口の増加に加えて、コロナ禍も相まって農業を取り巻く環境は大きく変化しています。国内のみならず世界の人々の要望に応えるべく夢のある優良品種を創造し、その種を安定的に供給し続けることが当社の社会的責任です。
豊かな食文化と潤いのある生活の実現のために、豊富な遺伝資源と確かな技術、そして農業への深い愛情をもって、常に時代の一歩先を見つめ種の持つ可能性に挑み続けます。歴史と伝統に縛られず、新しい発想や意見を大切にしてチャレンジできる風土を目指しています。先行きが不透明な時代だからこそ、人々の生活の基盤を担う企業としての役割と責任を全うするため、これからもタキイは種苗業に邁進(まいしん)してまいります。
コア技術で社会への貢献を果たす
岡田博和
TOWA株式会社 代表取締役社長
近年、企業に対する評価として、売上高や利益のみならず、活動の公正性や社会に対する貢献が注目されるようになってきています。とりわけSDGs(持続可能な開発目標)やESG(環境・社会・企業統治)、脱炭素に対する社会の関心は高く、当社も現在推進中の第3次中期経営計画におきまして、SDGsへの取り組みによる企業価値の向上を基本方針の一つに挙げております。
当社は、半導体樹脂封止装置のリーディングカンパニーとして、これまで数々の技術革新を生み出してまいりました。中でも、当社独自のコンプレッション方式は、高機能化の進む半導体デバイスの生産に欠かせない技術であるとともに、当方式を採用した装置は、樹脂使用効率100%(廃棄プラスチックゼロ)かつ、他の方式を採用した装置と比べ6割強の二酸化炭素(CO2)削減が可能です。また、現在建設中の宇治田原町の工場新棟に太陽光発電装置を設置し、必要な電力を再生可能エネルギーで賄うようにするなど、環境に配慮した経営をより一層進めております。企業は社会の公器であり、その存続には社会の持続が前提であることを改めて認識し、社業に邁進(まいしん)してまいります。
持続可能な地域社会の実現に向けて
白波瀬 誠
京都中央信用金庫 理事長
1951(昭和26)年6月15日に信用金庫法が制定され、今年で70周年を迎えました。信用金庫は「地域の皆さまとともにある」ことを基本理念とし、当金庫も目まぐるしく変化する時代の中で地域の皆さまとともに成長、発展してまいりました。
コロナ禍の今、地域とともに歩んできた信用金庫だからこそできる取り組みがあります。グローバルビジネス支援として、中国向けの「越境ECモール」による中国消費者へのダイレクトな商品販売機会の提供や、求職者と地元企業の出会いの場を提供する「京都ジョブ博」、「食」にかかわる地元企業の販売戦略や商品開発を応援する講習会「京のごちそうブランド創生プロジェクト」の開催など、さまざまな地域創生への取り組みを行っております。当金庫は、コロナ禍における環境の変化に対応すべく、お客さまのニーズにお応えし、地域経済の活性化に努めてまいります。
信用金庫業界の節目に際して、信用金庫の原点である「お客さまとの心が通う対話による信頼関係の構築」を大切にして、これからも果敢にチャレンジし続けることで持続可能な地域社会の実現に尽力してまいります。
足りることを知り知恵を磨く
土井健資
株式会社土井志ば漬本舗 代表取締役社長
「京名物志ば漬」を商いとして120年がたちました。明治から令和を歩む道のりでは、戦争や不況といったいくつもの困難を乗り越えてきました。先人は、厳しい時代の中、日々ものづくりを探求し品質の向上に努め、お客さまに「おいしい」とごひいきいただけるように努力してきました。また昭和に入ると、本店は峠のよろずやとしての役割も果たしていました。その先人の理念は、お客さまに喜んでいただきたい一心だったと記されています。
現在も先人の理念、「温故一新」を守り、古き良きものづくりを大切に、新しいアイデアを発案し、現在では、「志ば漬」や総菜などを炊き立てご飯と一緒に召し上がっていただけるビュッフェスタイルのお店などを展開しています。
いつの時代も日々お客さまを第一に考えた時代に合ったものづくりを柔軟な発想で提案し続けることが時代をつなぐ私の役割ではないかと考えています。「京名物志ば漬」の可能性はまだまだあるはず。令和の時代に進化する土井志ば漬本舗にご期待ください。
「京都発 最強の技術商社」を目指して
小倉 勇
株式会社たけびし 代表取締役社長
当社は1926(大正15)年の創業以来、京都・滋賀地区を主力地盤に、三菱電機製品を中心とした産業用電機・電子機器を取り扱う技術商社として、多くのお客さまに支えられながら今日の経営基盤を築いてまいりました。
現在当社は2022年度連結売上高1千億円の達成に向けて「製造現場の自動化ビジネス」「放射線がん治療装置を中心とした医療関連ビジネス」「基地局設計をはじめとした5G関連ビジネス」などの“NEWビジネス”の創造に注力しております。
また、21年4月にベトナム駐在員事務所を開設したことに加え、6月には東南アジアを中心に8カ国14拠点を有する「Le Champ (South East Asia) Pte Ltd」(本社:シンガポール)を当社グループに迎えました。今後、同社とのクロスセールスなどによるシナジー効果の創出を図り、22年度には海外売上250億円(海外売上比率7%→25%)を目指してまいります。
私たちは、これからも「京都発 最強の技術商社」を目指し、時代とともに変わるお客さまの「お困りごと」に最適なソリューションを提供してまいります。
お届けしたい、「ならでは」の価値
林 惠子
京都ブライトンホテル 総支配人
禍(わざわい)の中にあった1年半、ひたすら見つめ直したのは、当ホテルならではの「絶対価値」です。「不易流行」「温故知新」、それらの言葉の持つ意味をもう一度深く考えながら、ホテルを存続させ、この地にあってこその役割を果たしていくために、私たちが創造し、提供すべきゆるぎない「絶対価値」とは。それを考えていく過程で、京都を担う多くの方々からの、ストンとふに落ちる言葉や行いに、学び、共感し、力強いご協力を得て、今こそお届けしたい各種企画の準備が整ってまいりました。
五感が研ぎ澄まされるような環境下での、プライベートで濃密な「京都時間」。黄綬褒章受章の統括総料理長の下、飽くなき探求心から生まれる「食」。生の「音楽」。今に生きる「伝統文化」。それらをさまざまな切り口で楽しみ、味わう。そしてお客さま同士が共感し合い、学び合える文化サロン。それぞれの企画をアトリウムロビーを発信拠点として私たちスタッフの手から、お客さまお一人お一人に手渡しでお届けしたい。明日7月11日、33歳を迎える当ホテル。京都の一翼を担えるホテルを目指して、新たな気持ちで「ならでは」の価値をお届けしてまいります。
サスティナビリティーについて考える
宮嵜久朗
株式会社大丸松坂屋百貨店 大丸京都店長 執行役員
新型コロナウイルス感染症により、店舗が立地する地域が平穏無事で未来に向け持続可能な環境であることがいかに大切か再認識させられました。当店のサスティナビリティーの取り組みは、環境保全活動と社会貢献活動を中心に進めています。
環境保全活動として、京都市「しまつのこころ条例」に倣い、「しまつのこころ」をテーマに、脱炭素化に資する「ECOFF(衣料品リサイクル)」をはじめ、「もっとマイバッグを楽しもう」「買い物上手は食べ切り上手」「商品選びに新しいモノサシを(環境に優しい商品のご紹介)」「文化(しまつのこころ)のバトンを次の世代へ」を進めています。社会貢献活動は、活動4年目を迎える「KKP(古都ごとく京都プロジェクト)」の次なるステージを目指し、これまで築いてきた地元ネットワークと日本ならびに世界の普遍的な価値を持つモノ・コトとの融合による新たな価値創造のお手伝いをすることで、生産者や次世代支援につなげてまいりたいと考えています。
当社経営理念である「先義後利」を忘れず、これからも良好な地域社会づくりのお役に立ちたいと考えています。
共に創り、共に育む
坂東 希
大和ハウス工業株式会社 京都支社 支社長
大和ハウスグループは、「人・街・暮らしの価値共創グループ」として、お客さまをはじめ、地域の皆さま、取引先、自治体、企業など地域社会と密接に関わることで、事業の持続的発展を目指しています。そして弊社もまた地域社会の一員であるという自覚の下、地域の皆さまとの「共創共生」を図っていくことが重要であると考えています。
取り組みの一つとして、事業を通じた社会貢献を推進することで、コミュニティーの発展を支援しています。これは「まちの価値を、 未来へ」というビジョンを踏まえ、地域社会と「共に創り、共に育む」というミッションを遂行するものです。この取り組みを通じて、「人のため」「地域のため」という二つの軸を設け、人に対しては、「安心」「健康」「快適」「つながり」、地域に対しては、「持続性」「環境性」「経済性」「地域性」という八つの価値を高める街づくりを目指しています。地域の皆さまと心をつなぎ、共に育むことで、「まち」の価値を未来へとつないでいく。そして、「まち」に生きる人の人生を豊かにすることこそが、私たちの使命であり、挑戦なのです。
積水ハウスのテクノロジーを世界へ
大原昭人
積水ハウス株式会社 京都支店長
積水ハウスの事業は10年前までは一戸建て住宅、賃貸住宅からなる「請負型ビジネス」を主としておりました。 国内事業はその後構造改革を経てリフォーム事業や不動産フィー事業からなる「ストック型ビジネス」、マンション事業や都市再開発事業からなる「開発型ビジネス」と幅広く事業を展開しています。
一方、10年前に開始した国際事業では開発型ビジネスに軸足を置いていましたが、今後は日本独自のビジネスモデルであり当社の強みである工業化住宅のノウハウをアメリカ、オーストラリア、イギリスで生かせるよう取り組んでいます。海外でも地球温暖化による気候変動に起因する自然災害などの社会課題が住宅市場において顕在化し、ハイレベルな住宅性能が求められています。このような市場変化を踏まえ、当社の国内で培った生産・施工のシステムとノウハウや環境技術を活用し「積水ハウステクノロジーを世界のデファクトスタンダード(事実上の標準)にする」ことに取り組んでいきます。
積水ハウスでは未来を見据え、「住」を基軸に社会課題に向き合い、積水ハウスならではの新たな価値を提供できるよう日々全力で向き合ってまいります。
世界に挑むソリューションクリエーター
廣江敏朗
株式会社SCREENホールディングス 取締役社長(CEO)
SCREENグループは、1943年に研究開発型企業として京都で誕生しました。現状に甘んじることなく、常に思考を巡らせ新しい事業や製品を創造し、果敢に挑む「思考展開」を創業の精神とし、独自の技術を多様化させながらビジネスを展開してきました。
企業理念「未来共有」「人間形成」「技術追究」には「未来を見つめ、技術革新により持続可能な社会の発展に貢献したい」という強い思いが込められています。持続可能な社会の発展に貢献するためには、常に時代や技術の変化を見つめ、未来を予測し、何をソリューションとして創造していくかを考え続けることが大切です。当社グループの企業価値「SCREEN Value」の向上は、社会的価値と経済的価値の両輪での成長が重要で、そのどちらが欠けても未来を支えるソリューションが創造できなくなってしまうのではないか?と危機感を持っています。
グループ社員全員が「ソリューションクリエーター」となることを意識し、邁進(まいしん)することのできる、事業成果や人事制度などの環境整備に加え、グループ社員に対して、動機付けを行っていくことこそが、持続可能な未来につながると考えています。
京都の未来へ、お客さまとともに
阿久津勝己
キリンビール株式会社 京滋支社 支社長
キリングループは、「酒類メーカーとしての責任」を前提に「健康」「地域社会・コミュニティ」「環境」という社会課題に取り組み、「こころ豊かな社会」を実現し、お客さまの幸せな未来に貢献することで、「世界のCSV(共有価値の創造)先進企業になる」ことを目指しています。
キリンビールは、グループ中核企業として、「お客さまそして地域社会のことを一番考える」そして「世のため人のために行動する」、その結果として「お客さまからのご支持をいただく」というCSVの考え方を、全社員が自分事として日々の仕事に落とし込み、高い志を持ち業務に取り組んでおります。
昨年来の想定外の出来事により、私たちの日常は短い期間で劇的に変わってしまいました。本年も残念ながら山鉾巡行は中止になりますが、疫病退散を祈り、未来へつなげる「祇園祭」の伝統の継承と発展のため、京都新聞主催の文化支援キャンペーン「時を超えて・祇園祭2021」を、キリンビール京滋支社は今年もご支援いたします。そして何よりも「ビール・お酒」を通じたお客さま同士のコミュニケーションの場が、早く京都に戻ってくることを心から願っております。
明日へ、京都をつなぐ
畑 正高
株式会社松栄堂 代表取締役
社内で、二つ、興味深いことが起こりました。一つは、新入社員歓迎動画集を作成しようという企画に、常務と私の男性デュエットを収録してくれました。いつも定番で歌ってきた曲です。ハモれるのです。別々に吹き込み、別々に映像も収録し、ネットではやりの「The First Take」風に編集してくれました。いま一つは、東京の大学にリアルの出講ができず、社内で私の講義を収録して動画の作成をしました。この機会にと思いっきり話をして1時間に編集してもらいました。しかし、私の話すことが今の学生たちに通じるとは思えないのです。校正の段階で、写真をふんだんに加え至る所に文字やルビを添え、整えました。なんと理解しやすくなったことか。
感染症への対応から起こった二つのことは、デジタル機器を使いこなす若い世代の行動力や感性によって、私のような世代が長年培ってきたコンテンツ力が整理された事例となりました。社内アーカイブに保存もできます。発信の工夫で、可能性が大きく広がります。
「明日へ、京都をつなぐ」という主題は、まさにこのことではないかと感じています。何かしら楽しくって仕方がありません。
静かな京都で思うこと
浅田龍一
株式会社ジェイアール西日本伊勢丹 代表取締役社長
コロナ禍で世の中は大きく変わり、「リモート」という手段が「人と人が対面して何かをする機会」をあらゆる場面で奪いました。利便性が高まる一方、生活リズムが変わり疲労感を感じる方も多いと伺います。そんな中、交流の場、出会う場、お互いが刺激し合う場として、衣・食・住・遊・休・知・美が全てそろう京都伊勢丹は、より一層リアル店舗としての価値を求められていると感じています。
国内外からの来街者が大幅に減少し、幾度となく休業を余儀なくされる厳しい状況ですが、他方、お客さまと再会できた喜びを味わい、静かになった京都で改めて気付いた価値も多くあります。歳時記の大切さ、四季折々の行事や旬の食材を楽しむ喜びなど、地域特有の素晴らしいモノやコトを未来につなぐべく、私たちは京都に店を構えるグローカルストアとして、地域の皆さまのご支援を賜りながら発信・提案し続けていく使命があると考えます。
まずは地域のお客さまに、そしてコロナ終息後は国内外からのお客さまに、今まで以上に感動いただけるよう、私たちは力を合わせて努めてまいります。どうぞご期待ください。
「お客様志向」で信頼を築く
古田基行
サントリー酒類株式会社 京都支社 支社長
新型コロナ禍という未曽有の出来事は、社会の在り方やお客さまの行動様式を大きく変化させましたが、同時に企業がお客さまと信頼関係を築き、より良い未来をともに作り上げていくという「変わらない・変えてはならないこと」を再確認する機会となりました。
サントリーグループは創業時から一貫して「お客様志向」を大切にしています。日々刻々と変わるお客さまの行動に思いを致し、お客さまが何を求めているのかを考え抜くこと。そしてお客さまに満足していただくことだけでなく、お客さま自身も気付いていないニーズを探し出し、それに応えていくこと。この積み重ねが、商品だけでなく企業への信頼につながると考えています。
企業理念にある「Growing for Good」=「成長し続け、今よりももっと誠実で信頼される企業になること」を目指し、最終消費者だけではなく、お取引先さまや協力会社の皆さま、地域社会など「私たちと関わる全ての方々」を大切なお客さまと捉え、一人一人が常に「お客様志向」で「考動」しながら信頼を築いていけるよう、これからも期待を超える新しい価値、心に響く商品・サービスを提供してまいります。
真ん中に笑顔がある会社
土手克己
株式会社三笑堂 代表取締役会長
このたびの新型コロナウイルス感染症対策に最前線でご尽力いただいております医療従事者の皆さま、また関係機関の皆さまに深く感謝申し上げます。
三笑堂は、2021年に創業92周年を迎え、「医療を通じて社会に貢献する」をテーマに、京都本社を中心として、関西一円に支店・営業所を設け、各々の地区で地域密着型の事業を展開している総合医療商社です。
昨年以降、世界中で猛威を振るっている新型コロナウイルスにより、ますます医療の重要性が高まっています。SDGs(持続可能な開発目標)にもある「すべての人に健康と福祉を」というゴールに到達するための社会的インフラとして重要な役割を果たすべく、日々スピードと誠意を持って邁進(まいしん)しております。
SDGsの取り組みに注力しつつ、女性活躍推進、働きがいのある職場を構築するべく、社内で「かえるプロジェクト」を立ち上げ、改善・改革を進めています。
「真ん中に笑顔がある会社」のテーマの下、地域の皆さまに笑顔が溢れるよう、必要とされる企業であり続けるための取り組みを継続してまいります。
本当に伝えたいことを見える形に
木下宗昭
佐川印刷株式会社 代表取締役会長CEO
弊社は今年、創業51年目を迎えました。最初はたった一人の社員である私、そして妻(現・副会長)と自転車1台でスタートした会社でした。京都で商いを始め、そこで得たご縁から様々な機会をいただき、今や全国のお客さまとお取り引きをさせていただいております。これもお客さまや社員とその家族、多くの皆さまのおかげと感謝しております。
弊社は印刷業としてカタログや冊子など紙媒体を主に製造しておりますが、その本質は「情報をお伝えする」ことです。例えば、お客さまの商品情報を正しく、わかりやすく、そして魅力的に消費者に「伝える」こと。こうした「本当に伝えたいこと」をお客さまのお話を伺いながら、目に見える形として付加価値に変えていくことがわれわれの使命です。
またその過程において、全工程を一貫して生産する工場や水性フレキソ印刷をはじめとする環境負荷の少ない手法をご提供することで、健全な企業成長と持続可能な社会を両立し、京都の未来にもつながるような事業を展開していきます。これからも「望まれることの、一歩先へ」を合言葉に、どんどん新しいことに挑戦してまいります。
裂古破今~いにしえをさき いまをやぶる~
松井 雄
株式会社公益社 代表取締役社長
折に触れ知人の先生より「裂古破今(れっこはこん)」という語を頂きました。「裂古破今」は、これまでの当たり前であった常識やさまざまなとらわれから一旦切り離し、その事象や物事だけを見つめ本質を見極めること。何を変え、何を変えないか、常識にとらわれず判断することが肝要と教えを受けました。
私たちが携わる葬儀は、その時代、時勢により方式は移り変わり今日に至っております。埋葬地までの野辺送りで葬列を組んで歩いた時代、樒(しきみ)やお花が並びたくさんの縁者に見送られた様子、最近では家族と親しい方だけで送ってあげたいと。これからもその方式は移り変わるでしょう。時代にあわせた変遷の中においても不変のことがあります。それは、子であり配偶者であり、遺(のこ)された方が、故人の願いや故人が大切にして生きてこられたことをいかに受け止め、継いで、どのように活(い)かして生きていくのか、ということです。
私たちは、葬儀の本質を常に追求し続け、故人とご縁のある方々にしっかりと寄り添い、その尊い願いの数々が余すことなく確実に引き継がれるよう、自身の職責の重大さを自覚し努めてまいります。
失敗は成功のもと
大倉治彦
月桂冠株式会社 代表取締役社長
当社は、江戸時代の初期、1637年に創業し、今日に至るまで380年を超える歳月を乗り越えてきました。長く続いてきた秘訣(ひけつ)として、「古いしきたりを守ってきたから」などと想像されるかもしれませんが、その歴史を振り返れば、常に、時代時代の新しいことに挑戦し、創造を生み続けてきたことがわかります。
しかし、その創造は一足飛びに生まれたものではなく、失敗を糧にしながら成就してきたものでした。月桂冠大倉記念館に、1921年の「注意帳」と呼んでいる古いノートを所蔵しています。日常の気付きや失敗を記録したもので、その扉のページには、失敗を繰り返さないよう注意すべきことや、将来改善を要することなどを率直に記入するようにとの注記があります。この「注意帳」を活用し、コツコツと小さな試みから始め、実行により生じた失敗からのフィードバックを教訓に、再びチャレンジを繰り返しながら、大きく成功させていく姿勢を、古くから貫いてきたのでした。まさに「失敗は成功のもと」という、古くからの箴言(しんげん)を地で行く実践により新たな創造を生む、それは一冊のノートから始めることができるのです。
宝ヶ池で心ほどける時間を
滝沢政志
ザ・プリンス 京都宝ヶ池 総支配人
平素よりザ・プリンス 京都宝ヶ池をご愛顧いただき、誠にありがとうございます。当ホテルは本年10月に35周年を迎えます。1986年の開業以来、皆さまから賜ったご愛顧によるものと深謝申し上げます。
昨年、「こころ和(なご)める、ここだけの栖(すみか)~四季が彩る京都洛北・宝ヶ池~」をコンセプトに、より地域の皆さまに親しみを持っていただけるよう、ホテル名に13年ぶりとなる「宝ヶ池」を復活させ、合わせてマリオット・インターナショナルのオートグラフコレクションに加盟いたしました。これからも一層、地域の皆さまと連携させていただき、地域の魅力を国内外に発信してまいります。
昨年来の新型コロナウイルス感染症の収束が見えない中ではありますが、お客さまに「心ほどける時間」を過ごしていただけるよう、安心してご利用いただける環境を整えてお待ちしております。今後も「アフターコロナ」を見据えつつ、「でかける人を、ほほえむ人へ」をスローガンとする西武グループの一員として、またサービスのプロフェッショナルとして、時代を先取りする新しいサービスを提案し、常にお客さまの生活に新しい感動を提供してまいります。
聖徳太子1400年忌に和の心を思う
北尾和彦
京都薬品工業株式会社 代表取締役社長
当社の前身は京都製薬合資会社で1901(明治34)年創業、西陣の黒染めの媒染剤やせっけんを業(なりわい)としていました。戦後の46(昭和21)年に医薬品製造を目的として当社が創立され現在に至っています。当社の社是は「和親協力 誠実報恩」です。「和」は聖徳太子の十七条憲法の第1条「和を以(もっ)て貴(とうと)しとなし」からいただいたものです。
今年は聖徳太子が亡くなって1400年忌で、太子ゆかりの寺院での法要や展示会が行われています。京都にも太子ゆかりの広隆寺、六角堂や八坂の塔などが存在します。現在のコロナ禍において人と人とのつながりがおろそかになっている今こそ、太子の「和」の精神が一段と輝く時だと思います。
しかし和するということは簡単なようで難しいもので、太子は第2条で和するには「篤(あつ)く三宝を敬え」とおっしゃっています。お釈迦(しゃか)様の縁起の教え、すなわち、世の中は自分だけで存在せず、他者との関わりでつながり、自分だけよければという考えを捨て、謙虚と敬いの心を持つことが大切だと教えています。当社では、和は付和雷同ではなく、各々が個性を持ちながら、他の個性を生かす調和を大切に「和」を経営の中心にしています。
お酒の飲み方に多様性を
安元裕之
アサヒビール株式会社 理事 京滋統括支社長
アサヒビールは、グループ理念「Asahi Group Philosophy」の実現のために設定したマテリアリティー(重要課題)の一つである「責任ある飲酒」を推進するために、「スマートドリンキング(飲み方の多様性)」を提唱しています。
「スマートドリンキング」とは、お酒を飲む人も飲まない人も、さまざまな人々の状況や場面における「飲み方」の選択肢を拡大し、多様性を受容できる社会を実現するために商品やサービスの開発、環境づくりを推進していくことです。
具体的には、ビール類、RTD(レディー・トゥー・ドリンク)、ノンアルコールの販売容量合計に占めるアルコール度数3.5%以下のアルコール商品およびノンアルコール商品の販売容量構成比を、2025年までに20%とすることを目指しています。また、本年3月以降、国内で販売する主なアルコール商品に含まれる純アルコール量をホームページに順次掲載しています。
さらに、ビール類、RTD、「“微アルコール”ビールテイスト飲料」に含まれる純アルコール量の缶体への表記を、本年7月以降順次開始することで、ご自身に適したアルコール商品を選択いただけるようにしていきます。
ポストコロナ時代に生き残りをかけて
奥村浩二
株式会社京都東急ホテル 専務取締役総支配人
新型コロナウイルス感染症に罹患(りかん)された方々とご家族の皆さまに対し心よりお見舞い申し上げますとともに、拡大防止や治療などに日々ご尽力されている関係機関、医療従事者の皆さまに深く感謝申し上げます。
私ども東急グループも長引くコロナ禍の悪影響を大きく受けている企業の一つで、グループの主な収益源である交通インフラ、都市開発、生活創造・リテール、中でも弊社東急ホテルズが属するホスピタリティー事業は大打撃を受けています。もちろん弊社だけが影響を受けているのではなく多くの同業他社さまも同様で、今は我慢の時であります。
今やるべきことは、新型コロナウイルスの感染対策にともなうライフスタイルや働き方などの大きな変容により、さまざまな企業や人々が学んだことを踏まえながら、ポストコロナでは持続的成長を目指し「サスティナブル経営」を実践できる準備をすることだと思っています。それはコロナ禍が当面継続する前提での企業の構造改革による体質改善だと考えます。早くワクチン接種が進むことを心から願っています。
「頼もしき隣人たらん」の精神で
畑 忠男
京都生活協同組合 理事長
京都生協は1964年、物価の高騰などで暮らしに不安が募る中、「お互いに頼もしき隣人となりましょう」との呼び掛けで誕生し、創立以来、助け合いの組織として、食の安全・安心の追求、誰もが安心して暮らせる地域社会の実現に向けて取り組んできました。今、日本でも世界でも、地球温暖化や平和の問題、貧困や格差などの課題が数多く存在しています。これらの課題解決に向けて、協同組合の役割発揮が期待されています。
昨年から新型コロナウイルス感染が拡大し、今も社会や経済、私たちの暮らしにまで大きな影響が及んでいます。京都生協が行う事業(宅配・店舗・福祉・葬祭・共済・電力)は日々の暮らしを支える生活インフラであると考えています。コロナ禍で「つながり」や「助け合い」の大切さが再認識される中、「頼もしき隣人たらん」という理念を大切にし、SDGs(持続可能な開発目標)の実現にも貢献していきます。そして何より地域の皆さまの食を中心とした日々の暮らしを応援できる、また、皆さまとともに希望をつくっていける頼もしい存在であり続けたいと思います。
食への感謝の言葉「いただきます」
内田 隆
京都青果合同株式会社 代表取締役社長
2013年に「和食;日本人の伝統的な食文化」がユネスコ無形文化遺産に指定され、17年に施行された文化芸術基本法では、日本の法律で初めて「食」が文化だと明記されました。日本の食の現状に危機感を抱かれた関係者の方々の熱意の賜物(たまもの)です。
自然の恵みに感謝し、もったいない精神で食べ物を大切に扱う文化を育んできたはずの日本において、まだ食べられるのに廃棄される食品ロスが、今や年間600万トンを超え、世界の食料援助量の1.5倍になるそうです。世界で約9億人が食料難に直面する中、多くの人が毎日当たり前のように食べることのできる日本で、食への感謝の気持ちが薄らいできているのではないかと憂慮されます。
弊社が03年から続けている農育・食育活動では、例えば小学生が自らピーマンの苗を植えて育てます。収穫後調理して食べますと、「ピーマンは嫌いだ」と言っていた子どもたちが、なぜか「おいしい」と言うのです。土の感触、生命の大切さ、収穫の喜びを体感するからでしょうか。「いただきます」という言葉の意味を知るためにも、引き続き京都市教育委員会や生産地のご協力を得ながら農育・食育に力を注いでまいります。
「心ゆたかなコミュニティ」の創造
榊田隆之
京都信用金庫 理事長
新型コロナウイルス感染症が1年以上にわたって、事業の継続、医療現場の逼迫(ひっぱく)、家族の健康、職場での働き方、地域イベントの開催など多方面に大きな影響を与え続けています。一日も早く多くの人にワクチンが行き渡り、収束に向かうことを願います。
現在の成熟社会において、従来の金融機関の役割である決済機能と仲介機能に加えて課題解決機能が求められていると考えます。世の中にはさまざまな社会課題があります。少子高齢化、地球温暖化、雇用環境の変化、格差の拡大など、これらの課題に対して「コミュニティ・バンク」京都信用金庫は、資金の提供にとどまらず数多くの知恵や場を提供し課題解決に当たってまいります。
京都信用金庫は、これからも地域やご事業・暮らしの課題に対して積極的に関わり、寄ってたかって課題を解決する。そんな「お節介」を焼く集団として温かい金融を実践してまいります。競争・排除から共創・包摂への時代の変化を捉え、「世のため、人のため」という先人の言葉を大切に、「心ゆたかなコミュニティ」の創造を目指してまいります。
多様な学生が集うキャンパスでの教育
黒坂 光
京都産業大学 学長
人けのないキャンパスの中、研究室の扉を閉め切り1人でパソコンに向かって語りかける。息づかいも感情の変化も読み取れないモニターの中の学生に、インターネットを介して情報は大量にかつ正確に届けられる。
新型コロナウイルス感染症は世界を席巻し、感染予防のため昨年度の大学のほとんどの授業はオンラインと化した。コロナにより一変した生活様式は元には戻らず、オンライン授業の普及も加速化するであろう。しかし、画面越しの授業は知識を伝達しても人間形成はできない。大学は専門知識の習得のみならず、人間的に成長する場でもある。京都産業大学は、一つのキャンパスに10学部、約1万5千人の学生が集う一拠点総合大学である。本学のキャンパスでは、国内、海外のさまざまな地域からの学生が授業や課外活動で活発に交流する。学生は、友人との楽しい語らいや議論を通じて社会性を身に付けていく。残念ながら、新型コロナウイルス感染症はいまだ収束していない。はじける若さと活力に満ち、笑顔あふれる学生が躍動するかつてのキャンパスを取り戻すことを夢見つつ、当面はコロナ対策に頭を悩ますのである。
芸術は未来社会の希望の灯
吉川左紀子
京都芸術大学 学長
京都東山三十六峰の一つである瓜生山の中腹。複雑な地形を生かした個性的な建物群からなる京都芸術大学のキャンパスの一角に、春秋座という劇場施設がある。学生たちの卒業公演から本格的な劇場公演まで、芸術教育と市民の暮らしが一体となったユニークな劇場である。3月中旬、コロナ感染の影響で開催が危ぶまれていた和太鼓教育センターの卒業公演が行われ、学生たちの熱演に胸が熱くなった。
「芸術」と一言で表現される学術分野は、美術工芸のほか、舞台芸術、映画、アニメーション、環境デザイン、文芸表現など多彩である。通学部、通信教育部からなる本学の学生層は、18歳から90代まで多世代にわたり、「生涯教育」の先端を歩んでいる。
2020年4月以後、劇場での公演のみならず、大学教育は突如、大きな変更を余儀なくされた。ITに疎い私は、本学の先生たちが「新しい芸術教育を試す絶好の機会」と、瞬く間にオンライン中心の教育システムを作り上げてしまったのには驚嘆した。現実を直視し、柔軟に対応する創造力。芸術は、未来社会の希望の灯(ともしび)となる学術分野であることを確信した1年だった。
新たな教育の在り方を追求
松田 武
京都外国語大学・京都外国語短期大学 学長
新型コロナウイルス感染症は人間社会の脆弱(ぜいじゃく)さを浮き彫りにし、政治や経済、医療はもちろんのこと、教育の在り方や価値など、さまざまな分野における常識や慣習を見つめ直す機会となりました。
本学では、昨年春学期の授業を遠隔形式で実施し、秋学期には対面と遠隔を組み合わせたハイブリッド型の授業を取り入れ、学生や学園関係者の心身の健康を守り、教育の質保証に最大限の努力を払いました。学生と教員、学生同士の直接的なコミュニケーションを教育の基盤とする本学にとって、創立以来最も大きな試練であり、海図なき航海ともいえる挑戦でした。この経験や知見を基に、本学の教育の三本柱「外国語教育」「教養教育」「Community Engagement(国内外のさまざまな地域コミュニティにおける社会貢献型の実践的教育)」のさらなる充実化を図ることが、課せられた重要な使命であると考えております。
刻一刻と変化する世界情勢において、外国語および世界各国の歴史や文化、国際社会に関わる教育研究を専門とする大学として、客観性と中立性を保ちながら、変容する社会を注視し、時代のニーズを確実に捉え、最善の在り方を追求してまいります。
混沌とした現代こそ必要な菅公精神
橘 重十九
北野天満宮 宮司
NHKの大河ドラマ「青天を衝(つ)け」は、日本資本主義の父といわれ、新一万円札の肖像にもなる渋沢栄一翁を主人公に幕末から明治の激動の時代が描かれるということで、閉塞(へいそく)感漂う現代にも通じる思いで見ています。
明治維新は西欧諸国の例と異なり、少ない犠牲と破壊を経て徳川約260年の幕藩体制を倒した画期的なもの。その後の矢継ぎ早な改革により日本は近代国家の仲間入りを果たしました。原動力となった「和魂洋才」の精神は、千百年も昔の菅原道真公(菅公)の「和魂漢才」の精神が礎となったものです。
新型コロナウイルスが時を置かず世界中に広まったように今、地球は狭くなっています。インターネットの普及で海外からのさまざまな文化が即座に入ってきます。よい文化は取り込まなければなりませんが、日本人の魂を忘れてはならないのです。そこには日本人のDNAに刻まれている誇りや感性が詰まっているからです。まさしく菅公の思いなのです。「和魂漢才」の菅公精神は、 混沌(こんとん)とした現代にこそ必要です。それを再認識していただきたいと、繰り返し申し上げている次第です。
「お祭り」による地域おこしの一例
中野博美
京都きづ川病院 理事長
当院の講演会活動の一環で、2019年8月に「城陽イチジクのお祭り」を開催しました。地域の魅力向上に資するならと以前から考えており、懇意にしているシェフの方々に相談し、城陽市と共催で「城陽イチジク」をフィーチャーした食のお祭りが実現しました。村田吉弘さん、三國清三さん、栗栖正博さん、脇屋友嗣さんのトークショーと各シェフの考えたイチジク料理を振る舞っていただきました。当日は西脇京都府知事にもお声掛けし奥田城陽市長とともにご挨拶をいただきました。関係者および一般市民の方々にも参加いただき、地元名産のイチジク料理を味わいました。
村田さんには「無花果(いちじく)西京煮」を、三國さんには「牛バラ肉のワイン煮込み、イチジクのロースト添え、黒胡椒(こしょう)味、ラベンダーの香り」を、栗栖さんには「無花果おかき粉揚げバジル味噌(みそ)かけ」を、そして脇屋さんには「イチジクの香り蒸しケーキ、イチジクと国産豚のパイ包み焼き」を作っていただき、各料理のレシピを参加者全員にリーフレットでお持ち帰りいただきました。城陽市の「イチジクフェスタ」にも加えていただき「お祭り」として充実しました。
多様性を基盤にイノベーション生む
栗和田榮一
SGホールディングス株式会社 代表取締役会長
当社グループは、1957(昭和32)年、ここ京都で一つの荷物を運ぶことから事業を始めました。お客さまのために何ができるかを常に考え、荷物に込められた「想い」も一緒に届ける「飛脚の精神(こころ)」を礎に、社会インフラとして捉えていただけるようになった物流事業に誇りを持って走り続けてまいりました。
昨年来の新型コロナウイルス感染症の影響から「巣ごもり」と呼ばれる生活スタイルが浸透し、EC(電子商取引)が伸展しました。私どもの主力事業である宅配便の需要も高まり、グループ一丸となり事業に取り組んでまいりました。ITの発展や生活様式の変化など変わりゆく社会に合わせて、物流も進歩していかねばなりません。デジタル技術を積極的に取り入れ効率化を図るとともに、地球環境に配慮した脱炭素の取り組みも欠かせません。多様な人材が個々の能力や感性を発揮するダイバーシティこそがイノベーションを生む基盤になります。
これからも、佐川急便の創業以来大切にしてきた「飛脚の精神」を原動力に、既存の枠を超えた新たな発想で、社会の変化に対応した新たな付加価値を提供してまいります。
家族の幸せは産後ケアから
川村美星
医療法人仁愛会川村産婦人科 産後ケアリスト
川村産婦人科は先代が下鴨の地に開院して今年で69年目となります。
開院当初から比べると出産を取り巻く環境も随分と変わりました。例えば立ち会い出産の増加などいわゆる「イクメン」と呼ばれるパパたちが増えてきて喜ばしい一方、ママの「産後うつ」や自殺が増加しているという悲しいデータもあります。ひいてはそれが幼児虐待へもつながるといわれています。
産後のママはホルモンの急激な変化や寝不足で心身ともに疲れ果てています。核家族かつコロナ禍のいまは、相談相手がなくネットだけを頼りに過ごす時間が増え、どんどん悪いスパイラルに陥ってしまう。そんな母親の孤立を防ぐために、当院では産後ケアセンターを3年前に立ち上げママとベビーが心身ともに休める環境を提供しています。2019年に母子保健法が改正され、各自治体での産後ケア事業が厚労省より義務付けられました。でも、何より必要なものはパパの協力です。そのためにも男性の育休取得が望まれます。
開院当初は考えられなかったパパの立ち会い出産がいまは当たり前になったように、男性の育休取得が当然の社会になりますよう、切に願っております。
独自性と新しい価値創造の世界
柿本新也
柿本商事株式会社 代表取締役社長
今回パンデミック(世界的大流行)を起こした新型コロナウイルスは、地球の気候変動によって北極や南極の氷が解け、そこに閉じ込められていたウイルスが猛威を振るったという説がある。ただ、それについては何の根拠もない。
産業革命以降、約200年大量生産と大量消費を拡大してきた時代は終わったのではないか。いま最速で目を向けなければならない最大の問題は地球温暖化の真実である。そして海洋プラスチックごみ、脱原子力発電、それに食品ロスの問題である。気候変動は、100年前よりわずか1℃上昇した気温が自然災害だけでなく、生態系の変化や農作物の収穫にまで影響を及ぼしている。パリ協定では2030年までに1.5℃まで気温上昇を抑え、50年には脱炭素社会の実現を目標にしているが、今現在まで既に世界では86%の化石燃料を使い二酸化炭素を地球上に放出している。喫緊のこの問題を、全世界の人たちが声を大にして叫べばジャーナリズムも動き、国や政府も大きくなった問題意識を放置するわけにはいかなくなる。残された時間は30年もない今、この問題に全世界の人たちが、独自性を持って新しい価値の創造へと向かうべき時代なのである。
社会課題の解決を企業の使命に
三浦一郎
大阪ガス株式会社 執行役員 京滋地区総支配人
コロナ後の世界の不確実性が増す一方で、企業の進むべき道筋において明確になったものの一つが「持続可能な社会への貢献」です。千年の都・京都が、京都議定書誕生の地として重視してきた持続可能性の実現は、世界全体の地球環境意識の高まりを受け、今や産業界にとっても当たり前になりつつあります。
このパラダイムシフトを背景に、私たち企業にも「社会課題の解決なくして企業の存在意義なし」という価値観の転換が求められています。中でも「脱炭素」は、Daigasグループのエネルギービジネスモデルを一変させるかもしれませんが、同時に大きな成長のチャンスと捉え、今後の取り組みを加速してまいります。
地球規模の社会課題は、企業を含め社会経済システムを構成する全ての関係者が関与しなければ解決することができません。そのため、企業にはあらゆるステークホルダーとともに社会課題を解決し、その成果を分かち合う姿勢が不可欠です。私たちも、これまでお客さまや社会、地域の皆さまとともに歩んできた経験を最大限に生かして、来たる「ESG(環境・社会・企業統治)共創時代」をリードしてまいりたいと思います。
夢をかなえる場所での挑戦
大垣守弘
株式会社大垣書店 代表取締役社長
京都には、悠久の歴史を背景にした文化を身近に感じられる環境があり、そしてこれを次代へつないでいくために知恵を絞り、実践していく土壌があります。
また、企業はそれぞれが持つノウハウを生かし、工夫・創造を重ねて、さまざまな形で地域の発展に貢献をしています。
弊社では、京都の堀川西陣地域において、書店という枠組みを超えた創造活動の場を備えた施設の建設を予定しています。
今秋開業予定の「堀川新文化ビルヂング」は、過去の文化を紡いで継承し、次の文化を創出するために挑戦することの大切さを発信していく「価値創造施設」を目指します。1階は書店とアート&クラフトショップ、カフェ&バー。2階にはギャラリーとイベントスペースを設けます。
皆さまの「夢」をかなえる場所として、未来へ挑戦するための可能性と選択肢が増えたことを実感していただける建物になることを願います。
新型コロナウイルスの感染が終息した後に必ず開ける新しい世界に思いをはせ、より多くの方々が豊かな時間を過ごせますよう、私たちは立ち止まらずに常に感性を磨きながら取り組んでまいります。
「暖」−ずっと変わらぬ思い
上原晋作
上原成商事株式会社 代表取締役社長
当社は、戦後の復興と歩調を合わせ、まだご家庭でまきをたいていた時代から、いち早くプロパンガスの供給を開始しました。その時の思いは、単にホームエネルギーを新しいものに換えようということではなく、新しい生活文化をご紹介したいというところにあったと聞いております。重いボンベとコンロを抱えて一軒一軒ご案内に回った時代から今日まで、多くのご家庭へプロパンガスを安心安全にお届けし、ご家庭の「暖」に寄与できたことは私たちの誇りとするところです。
「暖」−あたたまること、あたためること。そこにはおいしいお料理や温かいお風呂を通じて生み出される心の温もりやご家族の笑顔を連想されませんでしょうか?「ガスを売るんやない、文化を売るんや」−当時の思いをそのままに、お届けしたプロパンガスがご家庭の「暖」へ、そして幸せへとつながるのであればこれ以上の喜びはありません。
私たちは日常に溶け込み目立たぬ存在ではありますが、これからもずっと、ささやかながらも、どこかで、何かで、ご家庭の団らんや幸せを下支えする企業であり続けたいと思っております。
古(いにしえ)を稽(かんが)え、今に照らす
田中恆清
石清水八幡宮 宮司
新型コロナウイルス感染症の蔓延(まんえん)という未曽有の疫病災害はいまだ終息しておらず、医療従事者を始め多くの方々が現在も終息に向けて全力で対応に当たられています。
当宮においても一刻も早い疫病の鎮静を日々ご神前に祈願しておりますが、昨年はこのような社会情勢に鑑み、神社の諸行事も形を変えて斎行する運びとなり、伝統の継承という観点からも危機的状況下であると感じました。
古来日本の心を守り伝えてきた神社において最も大切なことは、どのような社会状況下であっても、みだりに新しい形を行わず、常に昔からの伝統を思い起こし、伝統にのっとった形で神事を斎行していくことであります。
そのために当宮では、新しい価値観に流され過ぎず古を学ぶ精神を守り、神社に伝わる古文書や古典をひもときつつ神社の進むべき道筋を明らかにし、日々の神明奉仕を行っております。
歴史ある京都の地より、伝統を重んじる稽古照今(けいこしょうこん)の精神をもって、この難局を乗り越えていきたいと思っております。