大切な地球―自然と文化、
その代表の京都

福井正憲
株式会社福寿園 代表取締役会長

「コロナ時代」到来の一年であった。今後もこのような時代は続くし、デジタル社会、リモート社会が構築され、企業の資産価値の評価基準なども大きく変わると思う。産業革命以来の「大量生産、分業制」が良いもので強い、という常識が変わりつつある。
25年ほど前、バンコクに向かう機内で席が隣になったドイツ・ドルトムント大の宇宙工学の教授から「いずれオゾン層が破壊され、地球環境が変化し、人間はカプセル都市に住むことになる。カプセル内で茶を栽培し、製造することを考えておくように」と教えられた。
その直後、米国アリゾナの研究所「バイオスフィア2（B2）」を訪れた。8人の人間が2年間、大きなガラスで覆われたドームの中で自給自足する生活の実験をしていた。たった8人が生活するドームの地球環境を造るために、同じ規模のドームが別にもう一つあり驚いた。
これらの見聞で、地球上に人類が生存していることは大変なことで、その有り難さを知った。コロナ禍におけるロックダウン（都市封鎖）はカプセル都市への前兆ともいえる。 　自然とともに文化と歴史がある素晴らしい地球、そしてその中でも自然と文化と歴史が融合する京都こそ大切にすべきと思う。京都人は地球に対して何をすべきか考えて、政治、経済、生活を運営する必要があるのではないか。私は茶を通じて地球に何ができるかを考えたい。