「日本文化の根底にある
心をもって未来を拓く」

和田 環
学校法人ノートルダム女学院 理事長

受け継がれてきた 日本の「こころ」を表 す芸術・文化・伝統 の根底には、人・も の・自然への深い 畏敬の念が感じら れます。
先人方は、ものの 本質に迫り、その深 みを、各分野で表現されたと思います。彼らは、その対 象の冒しがたい価値を尊び、味わい、その対象と心か ら向き合い、対話し、表現してこられたのではないでしょ うか。
私どもの学園ノートルダムでは、教育理念に「徳と 知」をモットーとして掲げております。「徳と知」を体現 するためのキーワードとして「尊ぶ」「対話する」「共感 する」「行動する」を行動指針としております。 　学校教育において、人と自分、物と自然の全てが、神 から望まれ愛されている大切な存在であり、敬い、大切 にする価値あるものとして、「尊ぶ」心を育てようとしてお ります。この「尊ぶ」姿勢は、日本文化の根底にある謙 虚で真摯な精神に通底していると思います。
前世紀以来、地球と人類家族の存続に対する脅威 への警告がなされてきました。世界全体がパンデミック （世界的大流行）に翻弄されている今、この状況の中で われわれが問われていることに、謙虚に、落ち着いて耳 を傾けたいものです。全身全霊をもって、人・もの・こと と向き合い、ともに協力して、将来世代を思い、限界状 況に近づきつつある地球の回復を願っての一歩を踏み 出す年にしたいと考えております。