高質な文化がけん引する
京都の成長

小畑英明
日新電機株式会社 代表取締役会長

新年明けましてお めでとうございます。 今年がコロナ禍を 克服する年となるこ とを祈念します。
京都は幾多の感 染症の災禍を乗り 越えながら高質な 文化を育み続けて きました。こうして生まれた文化がさまざまな人を京都に 引き付け、その人たちが新しい産業を生み出していくと いうのが京都ならではの高質な文化を核としたオープン な成長モデルだと思います。京都は閉鎖的なように見え て、実はよそ者に寛容でオープンな街なのです。オープ ンであるのは、よそ者が入ってきても自分たちのアイデン ティティーである文化が壊されることはないという自信と、 よそ者の力を生かした方が得だというしたたかさがもた らしたものでしょう。閉鎖的に見えるのは、よそ者にとっ てアイデンティティーのコアな部分に触れることがなかな か難しいからではないでしょうか。
私たち日新電機は、東京出の「よそ者」がつくった大 学発ベンチャーを始まりとします。以来111年、「ベンチ ャー魂」と、社名に込めた「日々に新たに」の精神、そし て「異なった文化や技術への寛容さと咀嚼力」の三つ を事業の精神として成長を続けてきました。それはまさ に京都の成長モデルを体現したよそ者の歴史です。 私たちも京都のしたたかさに飲み込まれた一人なので しょう。京都はこれからもこうして成長していくのだと思 います。