ムービングターゲットを
撃て！

鈴木順也
NISSHA株式会社 代表取締役社長

2020年は新型コロナウイルス感染症の対応に明け暮れました。私たちが生命の危機と生活の安全について今回ほど深刻に考えたのは、長らくなかったことでしょう。感染阻止のためにこれほどのスケールで行動変容が起きたことは適切ですが、同時に衝撃的です。私たちの生活は人々の物理的な往来により成立していることを、それが抑制されたことで再認識しました。グローバル経済社会であるがゆえに、感染が急拡大したこともショックでした。
この間、感染防止と経済維持のどちらを優先させるか、多くの議論がありました。一刻の猶予も許されない中、難しいかじ取りが続いています。メディアの論調もあり、両者を極端な対立軸のように捉える向きがあったことは残念です。好転と悪化を繰り返す状況で、組織や個人は柔軟に重心を移動しながら二つを両立することが必要と実感しました。
現代は矢継ぎ早に変化が連続する時代であり、視野は少し先までしかないといわれます。目的地までの地図は不確かで、天候や道路の状況に応じて巧みにルートを変更しなければなりません。幸いにも私たちには、最新の技術と長年にわたり培った知恵と創造力があります。厳しいコロナ禍を経て、21年が私たちにとって回復の年となりますように。