「集う、語らう、出会う、
その場所で在る役割」

林　惠子
京都ブライトンホテル 総支配人

昨年6月、約2カ月間の休館から再開させていただきました際、ご近所の皆さまから「ブライトンが閉まってるとタクシーも通らへんし、静まり返って寂しかった」とお声をいただきました。32年前の開業時、住宅街の中で小学校に隣接するホテルは、いささかご迷惑な存在だったかもしれません。年月を経て、すっかりこの町に居場所を与えてもらえたと実感し、「ホテル」の役割について改めて考える機会をいただきました。
ホテルは、今一番懸念されている「人が集い、語らう場所」です。最近、京都の方々とお会いするたびに、集い語らうことがもたらした功績やその必要性を一様に熱く語ってくださいます。京都が京都であるため、安心して集い、語らえる場を提供することは、私たちホテルの重要な役割だと考えます。
京都観光の神髄は、世界に誇るあまたの遺産を、数百年の長きにわたって在り続けたその場所で、たたずまいや醸し出される空気とともに観賞できること。魂を込めて守り続けてこられた方々と語らえること。スマートフォン一つで事足りる世の中に、今こそ必要とされている全てが、この京都にあふれています。私たちは、集い、語らい、京都の遺産とのかけがえのない出会いを提供する「場」としての役割を全うできるよう、さらに精進してまいる覚悟でございます。