「食」の安定供給は
「卸売市場」から

内田　隆
京都青果合同株式会社 代表取締役社長

世の中の変化のスピードが劇的に速くなっている今、コロナ禍でさらにスピードが加速され、その変化にどう対応していくかが問われる 時代となりました。長年続いてきたシステムも、時代の変化を見極め、場合によれば大胆に改革すべきときもあるでしょう。しかし、その果たす役割を正しく理解しなければ、大きな過ちを犯す恐れがあります。「卸売市場」もその一つです。
どこかで地震や豪雨などの自然災害が起きても、日本中がコロナ禍に見舞われても、街中のスーパーなどの店頭には、いつも変わらず多くの生鮮青果物が並んでいます。この当たり前の光景が、ある日突然なくなれば、一体どうなるでしょう。買いたいのに買うものがない。が手に入らない。お正月もおせち料理どころではありません。人々が不安でパニックに陥るのは明らかです。
全国各地で生産された多種・大量の生鮮青果物を、消費者の皆さまに一日も欠かさず安定的に提供する、その重要な役割を担っているのがまさに「卸売市場」であり、これに代わるものは他にありません。京都市中央卸売市場が100年近く営々と活動し続けているのも、その使命感によります。卸売市場が生鮮食料品流通の基幹的インフラである事実を正しく理解し、日本の食文化が次世代へ連綿と引き継がれることを願ってやみません。