賛同企業代表者 文化人 対談シリーズ
経済面コラム

次世代へ、美しい日本を

Beautiful Japan. To the next generation

- 2021元日 賛同企業代表者メッセージ -

土井伸宏

活断層運動の
歴史に学ぶ

尾池和夫
京都芸術大学 学長

人類は歴史に学び、時には記録のない歴史を掘り起こして歴史に書き加え、そこから得る知識を生かして持続可能な未来図を描く。種が自ら保存する仕組みを持つのは新型コロナウイルスも同様であるが、歴史に学ぶという点では人類の方が勝っていると考える。
京都の歴史を語るとき私は7千万年前から始める。知の蓄積にある日本列島の歴史である。話を短くするときには100万年前から始める。本州が今の所にあり、伊豆半島が南から来て本州を北へ押し始めて活断層運動が始まり、それによって京都盆地が発達した。断層運動で山が隆起し、浸食で土砂が盆地に供給されて堆積層が発達した。2千年に一度のずれで山は2㍍高くなり、盆地の岩盤は1㍍ほど沈降した。近畿の山々はこの仕組みで千㍍近い高さになり、盆地の堆積層は500㍍近い厚さになった。
1300年前、京都盆地に町ができ始めた。秦氏が松尾大社や伏見稲荷大社を作った。やがて都が置かれ、世界に類を見ない城壁のない都が栄え、地下水から茶の湯をはじめとする文化が生まれた。このような仕組みがあるから、近畿では大都市の地下で大規模地震が起こる。家を丈夫にして、寝ている場所に物が落ちないようにしておくのが、活断層帯に住む知恵である。

京都芸術大学

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