日本人の忘れもの 知恵会議  ~未来を拓く京都の集い~

「忘」・書=森 清範 清水寺貫主 
写真=中田 昭

小西池 透

地域の新たな価値創造を
目指して

小西池 透
大阪ガス株式会社 理事 京滋地区総支配人
小西池 透

大阪ガスグループは、地域社会の発展に向けて、産業振興や人材育成、まちづくりへの提案など、さまざまな活動に取り組んでいます。
産業振興においては、私どもの関係会社である「京都リサーチパーク」において、京都府、京都市、大学および京都産業界との緊密な連携の下、ベンチャー企業の育成に力を注いでいます。現在、バイオやIT関連企業をはじめとする約420社が、新たなビジネス展開を目指しています。
人材育成面では、エネルギー事業者としての特性を生かして、小中学生を対象に、「環境教育」や「食育」など、次世代を担う若者育成の取り組みを推進しております。
まちづくりの提案では、社内組織の「エネルギー・文化研究所」が、“ルネッセ=再起動”という新たな概念を掲げた活動を行っています。都市や地域がもともと持っていた「佳き本質」を掘り起こし、過去と現在をつなぎ、さらに内と外の情報を組み合わせることで、都市・地域の「再起動」を目指します。
大阪ガスは本年、創業113周年を迎えます。弊社のこれまでの歴史は、地域の発展に支えられてきたことをいま一度肝に銘じ、今後とも私どもは、地域が新たな価値を創造し発展し続けることができるよう、日々事業活動に邁進してまいります。

大阪ガス株式会社
京都市下京区中堂寺粟田町93番地/Tel.075-315-8678
http://www.osakagas.co.jp
千 宗室

文化は社会の「潤い」

千 宗室
裏千家家元
千 宗室

「茶の湯」の世界にはさまざまな生活文化が含まれています。客人をもてなす茶の点前手続きや礼法のみならず、花を入れ、軸を掛け、香をたき、歌を詠むこと。灰を整え炭を熾し、湯相をコントロールすること。土地の工芸を茶道具に取り込み、禅の精神を学び、季節を感じ、和菓子や懐石料理も用意します。茶室建築や露地など造園の文化もその一環です。
「文化」とは人と人とが集まる社会において、その場に少しの「潤い」を与える存在です。違いを認め合い、お互いに悲しい思いをしないよう共に喜びを分かち合えるよう気を配ること、それが茶の湯の心であり、文化の役割だと考えています。
昨今、「文化遺産」という形で、これまで顧みられなかった職人さんの世界などに、光が当たり認められることを本当に嬉しく感じています。しかし「遺跡」という言葉と取り違えてはいけません。遺跡とは、もはやその場が息をしていないということを指しています。文化が遺跡となってしまわぬよう、私たちは「日本を知らない日本人」のための架け橋となり、次世代の方たちへバトンを受け渡せるよう努めてまいりたいと思います。

裏千家
京都市上京区小川通寺之内上る/Tel.075-431-3111
http://www.urasenke.or.jp/
大塚直樹

変わらぬ思い

大塚直樹
アサヒビール株式会社 京滋統括支社 支社長
大塚直樹

今年は、明治元(1868)年から数えてちょうど150年目に当たります。京都は、先人の素晴らしい取り組みにより、琵琶湖疏水の開通、蹴上発電所の電力を活用した日本初の市電が登場するなど、全国に先駆けて華々しい進化を遂げました。そんなことを思いながら、自社の社史を広げてみると、明治28(1895)年に岡崎で開催された第4回内国勧業博覧会の会場で、風になびく赤いアサヒマークの旗を見つけました。大文字山と平安神宮を背にアサヒビール販売所が設けられています。アサヒビールの美味しさを知っていただくには、まず飲んでいただくのが一番と、当時吹田から鉄道で1時間半かけて運んだ生ビールを提供しました。その精神は現在も全国の工場で毎日行われている工場見学での、出来たてのスーパードライの試飲に繋がっています。「スーパードライ」をはじめとしたアサヒブランドを国内外問わず多くの方々に届けたいという思いは変わりません。
「観光都市京都」の基礎は、この内国勧業博覧会の頃につくられたそうです。これから東京オリンピックに向けて京都にもさらなる人の波が押し寄せてくるのは必至です。東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会のゴールドパートナー(ビール&ワイン)である弊社も、その気運を醸成していけるよう、皆さまのご愛飲に感謝をしつつ、原点を常に忘れずに日々の活動に邁進していきます。

アサヒビール株式会社
京滋統括支社=京都市下京区水銀屋町612 四条烏丸ビル8階/Tel.075-212-6300
http://www.asahibeer.co.jp/
森田嘉一

長い歴史の中で培われた
「自信」と「誇り」を

森田嘉一
学校法人京都外国語大学 理事長・総長
森田嘉一

100年を超える大学に比べると決して長くはありませんが、わが学園は、戦後間もない時代の精神的虚脱状況の中、これからの日本の再建は外国語教育をおいてない、との創立者独自の発想と強い意志の下に、単に語学だけではない、幅広い教養を求めて歩んできました。学園創立70年の成果は、その時間的経過をはるかに超える内容となっています。
ところが、ここにきて思いに反し、絶え間なく変化し続ける時代にあって、「グローバル化の波に乗り遅れたら終わりだ」と日々煽り立てられ、若い人まで自信を失っているように見えます。日本には長い歴史の中で培われてきた知識と知恵があり、日本が世界に伝授できることはたくさんあることを多くの人たちに知ってほしいし、日本の高度経済成長を支えてきた人たちにも、「国の経済発展のために身を粉にして働いてきたことは決して間違っていなかったんだ」と改めて感じてほしいと思います。米国の大学教授は、江戸時代から続く日本企業の寿命の長さ、地域密着型の日本企業のあり方を評価し、「むやみにグローバル化しなくてもいいのでは。日本には世界にないものがある。世界に日本という国が存在してくれてよかった」と語っています。日本人としてこれほど誇らしいことはないと私は思っています。今こそ、「自信」と「誇り」を持つべきだと思います。

学校法人 京都外国語大学
京都市右京区西院笠目町6/Tel.075-322-6012
http://www.kufs.ac.jp/
中西浩一

凛とした厳しさ

中西浩一
株式会社オンリー 代表取締役会長兼社長
中西浩一

弊社は、京都でテーラーとして事業を開始させていただき、オンリーという社名の意味の通り、これまで「ほかにないもの」をお客さまにお届けすべく歩んでまいりました。
昨年、テーラーとしては念願の銀座へ出店させていただきましたが、実はそれを機に、一層京都の持つ魅力や特徴を見つめ直すこととなりました。
2020年のオリンピックを控えた東京という世界的メガシティーには、一見何でもあるように思え、あらゆるものが集まってきているようにも感じられますが、やはり京都にしかないと思えるものをいくつか再発見いたしました。その中でも強く印象づけられたことは、京都では、長い歴史に裏打ちされた「シンプルかつ独自性のある本物」で、「その価格が妥当と思われるもの」でないと評価されないという徹底した価値観、文化が存在することです。単なる流行り廃りや華美、虚飾に流された複雑なものはこの町では見向きもされないという、凛とした、ある種の厳しさが、さまざまな伝統を紡ぎ、進取の気性にあふれた新しい事業を生み続けてきたのではないでしょうか。
弊社は、創業してまだ40年余りの一介の“スーツ屋”にすぎません。この町が持つ文化、価値観を体現できるよう鋭意努力してまいりますので、本年もよろしくお願い申し上げます。

株式会社 オンリー
京都市下京区松原通烏丸西入ル玉津島町303/Tel.075-354-4129
http://www.only.co.jp/
山田義仁

社会的課題の解決に
挑戦する企業へ

山田義仁
オムロン株式会社 代表取締役社長 CEO
山田義仁

平素はオムロン製品をご愛顧いただき、ありがとうございます。オムロンは創業以来、ここ京都の地に支えられ、事業を展開してきました。企業は社会の公器であることを謳った社憲、「われわれの働きで われわれの生活を向上し よりよい社会をつくりましょう」の精神の下、世の先駆けとなってさまざまな社会的課題の解決に挑戦してきました。そして、産業、健康、モビリティ、社会インフラ、環境分野など、多方面において、よりよい社会の実現に貢献する製品とサービスを提供してまいりました。
現在、世の中の技術革新は、人工知能(AI)やあらゆる機器がインターネットにつながる「IoT」、ロボティクスに代表されるように、加速度的に進化しています。同時に、先進国における高齢化や労働力不足、新興国における生活水準の向上に伴う公害や健康問題など、社会的課題も大きくなってきています。
オムロンは、持続可能な社会の実現に向け、人と機械の融和を目指す「オムロンユニーク」な技術で、革新的なイノベーションを創造してまいります。そして、これらの社会的課題を解決し、社会の発展と人々の生活の向上に貢献していくことで、「世界中の人々からその存在を必要とされ、期待される企業」となることを目指してまいります。

オムロン株式会社
京都市下京区塩小路通堀川東入/Tel.075-344-7000
http://www.omron.co.jp/
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