2019京都女性スポーツフェスティバル サン・クロレラ杯

30回記念 座談会

続ける。楽しむ。

水野加余子会長

 「2019京都女性スポーツフェスティバル サン・クロレラ杯」の総合開会式が6日、京都市北区の島津アリーナ京都で開かれる。同フェスは1990年(平成2)年に始まり、今年は節目の30回目を迎える。参加競技団体は当初の7から14に増え、スポーツを楽しむ女性の輪は着実に広がっている。主催の京都女性スポーツの会の水野加余子会長、京都府の西脇隆俊知事、協賛するサン・クロレラの中山太社長に、同フェスの意義や今後の展望、女性がさらに輝く社会に向けた課題などを語ってもらった。(進行は宮部真典運動部長)


「自発的にスポーツ」 「健康万博の出発点」 「高齢者から刺激も」
水野加余子
京都女性スポーツの会会長
西脇隆俊 京都府知事 中山太
サン・クロレラ社長
水野加余子 京都女性スポーツの会会長 西脇隆俊 京都府知事
みずの・かよこ
1949年、愛知県瀬戸市生まれ。テニス選手としてジュニア時代から活躍。武庫川女子大卒業後にプロとなり四大大会に出場、ダブルスで好成績を収めた。99年から京都女性スポーツの会会長。
にしわき・たかとし
1955年、京都市生まれ。洛星高から東京大法学部を卒業後、建設省(現国土交通省)へ入省。国交省国土交通審議官、復興庁事務次官などを歴任。2018年4月、京都府知事に当選。
なかやま・ふとし
1980年、京都市生まれ。関西外国語大卒業。自動車メーカー勤務を経て2008年、サン・クロレラ入社。英国支店長、米国法人代表取締役など主に海外に赴任。16年4月から代表取締役社長。

 ―京都女性スポーツの会、スポーツフェスティバルの経緯や成果を聞かせてください。

 水野 1988(昭和63)年の京都国体の際、競技運営で活躍した女性たちの力を結集してはどうかと、当時の荒巻禎一府知事から発案いただいたことがきっかけです。発足から10年ほどは、各競技団体の規模や価値観の違いが原因であつれきもあったと思いますが、30年間よく続いたと驚いています。

 西脇 京都女性スポーツの会は、競技性の高い種目から身近に楽しむ種目まで、スポーツに参加する女性の裾野を拡大し、スポーツ振興に長年貢献されてきました。2018年には、先駆的に活躍している京都の女性に贈る「京都府あけぼの賞」を受賞していただきました。

 中山 社会構造も変化し、女性は家庭、仕事などのバランスを上手に取りながらスポーツに参加してほしいです。その実現に京都女性スポーツの会は大きな推進力となっています。スポーツフェスティバルは女性が活躍できるスポーツシーンとして非常に重要です。

 ―女性のスポーツ活動についてはどのように考えますか。

 西脇 スポーツに参加しなかった理由として、府教育委員会の平成29年度調査では、仕事、育児、家事、介護を挙げる男性が22・6%だったのに対し、女性は31・5%で相変わらず女性の負担が多い現実を示しています。スポーツに限らず、男女共同参画の施策を意味ある形で進めるには、女性だけでなく、周囲の理解促進も大切です。

 水野 昔、世間一般では、スポーツは単なる遊びと捉えられていました。家庭内に介護が必要な人がいて、時に息抜きが必要と分かっていても、女性がラケットを持って外出すると後ろ指を指されるような雰囲気が社会全体にあったのです。今では、さまざまな女性が自発的にスポーツに参加しています。子育てを終え、親世代の介護が始まる合間に活発な行動を始める女性も多く、本当にたくましくなってきました。

 ―健康で豊かな長寿社会と生涯スポーツの在り方について意見を聞かせてください。

 中山 スポーツが盛り上がれば健康長寿社会の実現にも近づくのではないでしょうか。当社のお客さまでは、106歳でボウリングを楽しむ方がおられます。若い世代はそんな高齢者を見るだけでも刺激を受けます。

 水野 京都女性スポーツの会は老いも若きも本当に元気です。背筋がぴんと伸びたお年寄りに若い人は触発され、高齢者も負けじと頑張ります。ただ、勝敗にこだわれば出場者が若い人中心になるので、年齢別チームを考えるなど工夫が必要かもしれません。男性は一般的に女性や若い人に素直に教えを請うことが難しい傾向がありますから意識改革が必要ですね。

 西脇 男性は定年後、地域コミュニティーに参加したことのない方が目立ちます。運動やスポーツを週1回行う男性は52・9%、女性は59%というデータがあります。女性側から男性を積極的にスポーツ参加に誘い込むような、男女共同参画推進の動きがあってもいいと考えています。

 中山 現代は、病院に行く前にいかに健康を維持するかが重要視され、その意味でも、京都女性スポーツの会の活動は意義があります。当社は、健康は与えられるものではなく、自分自身で獲得するものと考えており、そのための支援活動を続けていきます。

 ―最後に、京都女性スポーツの会、スポーツフェスティバルへの期待をお願いします。

 西脇 40回、50回へと継続していくことを期待しています。今年のラグビーワールドカップから、東京2020オリンピック・パラリンピック、ワールドマスターズゲームズ2021関西と続き、2025年は大阪・関西万博です。健康も万博の主要テーマの一つですので、その出発点がスポーツフェスティバルになればいいですね。

 中山 今後のスポーツを考えるとき、アスリートのドーピングに対する意識やレギュレーション(規則、規制)への意識は変わっていかざるを得ません。そのような場面にも京都女性スポーツの会が関わっていけるような体制づくりに当社も貢献できればと考えます。

 水野 スポーツフェスティバルの準備は半年以上前から進めます。普段は14競技団体が一堂に集まって話をする機会がないので、きめ細かい調整も必要です。毎年、開会式が始まると緊張感は最高潮に達し、すさまじいまでにアスリートたちのエネルギーを感じます。今後も「続ける、つながる、伝わる」をキーワードに活動していきます。

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