賛同企業代表者 文化人 対談シリーズ
経済面コラム 未来を思い描く

思い描く、未来へ

drawing the future of tomorrow

- 2020元日 賛同企業代表者メッセージ -

髙坂節三

地域の中心は小学校

髙坂節三
公益財団法人日本漢字能力検定協会代表理事 会長兼理事長

1872(明治5)年福沢諭吉は京都の学校事情を調べるために京都を訪れた。「京都の学校は明治2年に基礎を築き、小学校と名乗るものが64カ所にある。これは西洋のいわゆるスクール・ディストリクトにあたる。この区ごとに一つの小学校を設けて、区内に住む7、8歳から13、4歳に至る子どもは、男女・貧富貴賤を問わず、誰しもがここでお教えを受けることが許されている」(『京都学校記』現代語訳)と記している。
この町組ごとに創られた日本で初めての学区制小学校(番組小学校と呼ばれた)は町組の会所と兼用のもので、年寄など町組の役員が詰める部屋や消防(火消し)の係の部屋、町役場の部屋が作られていた。いわば学校の中に市役所も消防署も併設された状況で、火の見やぐらを備えた高い建物はみんな小学校であったといわれている。
福沢諭吉は最後に「学校を設けて庶民を教育することは、私が長い間心に宿していた志であったが、このたび京都に来て初めてその実際を見ることができた」と、その喜びを記している。
少子化に伴って大半の小学校が統廃合され、おのおのの学区が広くなり過ぎて、町組のような自治組織(コミュニティー)が失われてはいないだろうか。

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