美はしきフランスパン

続木　創
株式会社進々堂 代表取締役社長

1924（大正13）年、日本人パン屋として初めてフランスに渡った進々堂創業者の続木斉は、帰国後自作の詩を京都新聞の連載広告として発表していました。「美はしきフランスパン」は、1930（昭和5）年に掲載された一編です。

種から真のフランスパン至って地味なフランスパン
包皮は普通のパンより堅く肌理少しく粗なるを喜ぶ
中味はクリーム色に出て香は深く味ひ高し
芸術の良心なしに此のパンを味ふ難し
緩徐の咀嚼の間舌のうち過ぐるは何ぞ
生命の幽かのふるへ是れ実にフランスパンなり

斉が、かの地で出合った本場のフランスパンにいかに感動したかが伝わってきます。
以来百有余年、進々堂のパン造りを支えてきたのがこのフランスパンへの思いです。特に近年は直営店での提供のみならず、一流料理人さんたちのお料理とともに世界最高のフランスパンを提供したいという願いの下、進々堂は精進を重ねてまいりました。今年の夏には待望の新工場を稼働させ、全国のホテル・レストランで進々堂の「美はしきフランスパン」が美味しいお料理の名脇役になれるよう、社員たちと力を合わせて全力を尽くしたい、そんな思いで新年を迎えています。