賛同企業代表者 文化人 対談シリーズ
経済面コラム 未来を思い描く

思い描く、未来へ

drawing the future of tomorrow

- 2020元日 賛同企業代表者メッセージ -

千 宗室

本当の
「おもてなし」とは

千 宗室
裏千家家元

近年、京都をはじめ各地の「インスタ映えする」神社仏閣などの写真がSN S上にあふれています。神社では鳥居をくぐる際に一礼をしない人や、キャリーバッグを引いたまま境内・山内に入る人が増えてきました。
特に海外からの観光客をインバウンドと呼ぶようになってから、私たち、迎える側の姿勢が甘くなったように感じます。「せっかく来てくださったのだし、お金を落としてくれるのだから大方のことには目をつぶろう」というのはかえって不親切ではないでしょうか。迎える側は来られた方が正しい知識を持って帰れるように、自分たちのその場所に対する思いを伝え、その国、その土地や場所におけるマナーを教えてさしあげる。多くの人たちが長い時間をかけて守ってきたのだということが伝われば、相手はそのことに対する敬意や畏怖の念を抱くはずです。
堅苦しいイメージを持たれることが多い茶の湯ですが、そこにあるのは「こうしなければいけない」という「ルール」ではなく、亭主と客が互いを敬い、その場を心地よく共有できるような気配りとしての「マナー」です。もてなす側ともてなされる側、双方がともに謙虚になることで成し得るのが「おもてなし」。本当のもてなしとはどのようなものか、私たちは茶の湯を通じてこれからも伝えていきたいと存じます。

裏千家

京都市上京区小川通寺之内上る
Tel.075-431-3111 
http://www.urasenke.or.jp/