街づくりの知恵と作法

玉置敏浩
三井不動産株式会社 京都支店長

京都市内では、海外観光客の急増に伴いホテル建設ラッシュが続いていますが、長い歴史を持つ茶道や華道に「作法」があるように、京都の街づくりにも町衆が時代を超えて脈々と受け継いできた知恵と作法があります。
三井不動産グループでは、街づくりを単なる建物の建設ではなく、地域の歴史や文化に根ざしたコミュニティーづくりであると捉えて取り組んでいます。
格子、軒庇、犬矢来、行燈、暖簾、蔵、敷石、路地など、京都の建築と町並みの遺伝子を受け継ぎながら、日々変化する時代に求められる新しい都市機能を創造していく。そして、建物ができた後も、地域とともに良質なタウンマネジメントを行うことで、時を経るごとに魅力が増して地域の価値が高まる街づくりを行います。オフィスビルやホテルが立地している町内会や地域団体に加入し、建物の運営スタッフが祇園祭など地域の祭礼に参加することもその一環として考えています。
三井家の家祖である三井高利が1673（延宝元）年に呉服仕入店を開業したのは京都の地です。三井グループにとって縁の深い京都において、今後も街づくりの知恵と作法を受け継ぎながらグループ会社の英知を結集し、「国際文化観光都市」京都の発展とイノベーションの一翼を担いたいと考えています。