賛同企業代表者 文化人 対談シリーズ
経済面コラム 未来を思い描く

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〜次世代のメッセージ〜

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- 2019元日 賛同企業代表者メッセージ -

田中典彦

「転識得智」
邪気をはらって蘇る

田中典彦
佛教大学 学長

明けましておめでとうございます。節句や年中行事などには「縁起もの」といわれるものがつきものです。縁起ものとは、行事の際に特別に飾ったり、食べたりされるものです。したがって、それらにはいろいろな意味が付せられて伝えられています。お正月の行事では、よい縁をいただくために祝う品物として「しめなわ」や「門松」などが飾られ、「お節」や「雑煮」が食べられるのです。
その中の一つに「お屠蘇」があります。屠蘇散と言われ、中国の魏の代の名医華佗が処方した年始に飲む薬で、山椒、桔梗、蜜柑皮などを調合し酒に浸して飲むものです。日本では平安時代から用いられたとされています。一年の邪気を払い、蘇って齢を延ばすという。ところが名前に使われた字の意味が、屠(ほふる、しまいにする)、蘇(よみがえる)と理解されたためか、屠と蘇を一緒に飲むと「0」となるというので、いつしか屠酒と蘇酒として別々に売られるようになったそうです。
一年の終わりにすべての邪気を払うために屠酒を飲み、新しい年の始めに蘇酒を飲んで新たな自分を蘇らせるのです。しかし今は一緒に飲んでいます。これも縁起ものに込められた先人たちから教えられた知識なのです。佛教大学は、「転識得智(学んだ知識を生きる力へ転じる智慧を身に着ける)」を教育指針として共育大学を目指しています。

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