ＡＩの作り出す世界は

齋藤　茂
株式会社トーセ 代表取締役会長

昨年、藤井聡太七段が新人王戦で優勝しましたが、いずれはその藤井七段ですらＡＩ（人工知能）には勝てなくなるかもしれません。でも私が社員に言っているのは、「ＡＩは勝負に勝つことがあっても将棋のルール自体を作り出すことは出来ないよ」ということです。将棋などのゲームは人間が楽しむものであり、感情のないＡＩは楽しいと思う感覚がないので、将棋のようなゲームのルール自体を作り出すことはできないのです。識者によってはＡＩはまだネズミの知能レベルであると言う人もいます。
しかし本当にＡＩが広まった時には、生活の中でＡＩの存在を微塵も感じなくなるでしょう。マルチメディアもＩＴ革命も今となっては当たり前ですが、当たり前になれば誰も取り立てて言わなくなります。
一方、ドローンや自動運転にもＡＩが活用されるわけですが、早期の法整備が必要です。例えば、ドローンには空間に立体的な地図が必要で、空域の権利関係も複雑になるでしょう。自動運転もＡＩによって暴走しないような仕組みや事故への対応、さらに軍事応用においても法整備や倫理面での対応が急がれます。ＡＩによる兵器同士が戦っても意味をなさないですし、ＡＩ兵器が人間と戦うのも大きな問題です。
これからのＡＩが作り出す世界は、あくまでも人間による人間のための世界でなければ意味がないのです。