忘れてはならない
日本の心とモノ作り

増山晃章
星和電機株式会社 代表取締役社長

東日本大震災の折、極限状態にもかかわらず、暴動も起こさず規律正しく行動する日本人を見て世界の多くの人々が感銘を受けました。その根底にあるのが「思いやり」と「おかげさま」の精神です。
われわれは物心ついた頃から親や祖父母から「ご飯こぼしたらバチあたるよ」「人に迷惑かけたらあかんよ」「お天道様に背を向けるようなことしたらあかんよ」と言われてきました。万物に感謝し、利己的ではなく利他的に生きなさいという教え。それが日本の治安の良さやおもてなし、料理などモノ作りに対する「こだわり」となり、外国人が憧れる武士道や茶道、華道といった文化にも繋がっています。
これらは本来、人として忘れてはならない最も重要な心です。日本の製品が世界で高い評価を受けているのも、そういう精神でモノ作りをするとおのずと品質の良いものができるからだと考えています。世界的に「自国第一主義、自分たちさえよければいい」といった風潮が高まっていますが、このような考え方が蔓延すると世の中は荒廃してしまいます。日本にもそういう人たちが増えてきているのを大変残念に思います。他人のために生きるという古来より受け継がれている日本の心、決して忘れてはならない美しい日本の精神文化、われわれはこの精神でモノ作りをしています。