未来へ受け継ぐ
〜次世代のメッセージ〜
inherit to the future
- 2019元日 賛同企業代表者メッセージ -
風が流れる場所へ
千 宗室
裏千家家元
「茶の湯」の世界には風流があるといわれます。茶室の庭である露地、茶室の造り、亭主・客双方の動線…風が流れたい方向にしっかり流れる、自然に対して十分配慮した場づくりを心掛けてきたということでしょう。
現代において、例えばマンションの一室やビルの谷間にある家では、昔と同じような自然との接し方はできないかもしれません。しかし、例えば夜空を見上げ、ビルの間に見える月を眺めてみる。月の姿が完全に見えなくともその存在を感じること、自然に身を委ねていろいろなことを楽しむ心のゆとりを持つことが大切です。
自然との付き合い方を知っている街は、よい形で景観や人々の暮らしぶりが継承されています。自然に対して敬意を払わず、とりあえず自分たちの都合によいようにするという街づくりをしてきたところは、すぐにまた手直しが必要になる。ビルを建てるにしても、その土地の自然とどう折り合いをつけるかを考えるのが街づくりであり、その土地に住まう人にしか分からない知恵をもって、100年後にこの街がどうあってほしいかということを考えていく。私たちはその土地や地域にかない、地域社会に役立つような茶の湯をこれからも伝え、美しい日本という場所を次世代へ受け渡していきたいと存じます。
裏千家
京都市上京区小川通寺之内上る
Tel.075-431-3111
http://www.urasenke.or.jp/