日本人の忘れもの 知恵会議  ~未来を拓く京都の集い~

世界中から必要とされ、
期待される企業へ

山田義仁
オムロン株式会社 代表取締役社長 CEO
山田義仁

新年あけましておめでとうございます。
私どもオムロンは、1933年に大阪で立石電機として創業後、1945年に京都・御室(おむろ)の地へ移転して以来、京都の地に支えられてまいりました。
創業期よりオムロンは産業のオートメーション化と共に歩み、日本をはじめ世界の製造業の発展に貢献してきました。さらに社会ニーズの多様化をいち早く感知し、社会インフラ、健康・医療、環境分野など、多方面に社会のニーズを先取りした製品・サービスを提供することで、社会的課題の解決に努めてまいりました。
1959年、オムロンの創業者・立石一真は、「企業は利潤の追求だけではなく、社会に貢献してこそ存在する意味がある」という企業の公器性に共鳴し、この考えに基づいた社憲「われわれの働きで われわれの生活を向上し よりよい社会をつくりましょう」を制定しました。この社憲は今もなお受け継がれ、変わることなく私たちの中で生き続けています。
オムロンは、受け継がれてきた企業理念を求心力の原点とするとともに発展の原動力とし、これから先も数々の世界的なイノベーションを生み出し、事業を通じて社会の発展と人々の生活の向上に貢献していきたいと思います。オムロンは、「世界中の人々からその存在を必要とされ、期待される企業」となることを目指してまいります。

オムロン株式会社
京都市下京区塩小路通堀川東入/Tel.075-344-7100
http://www.omron.co.jp/

変化する
事業環境への適応

小西雅之
大阪ガス株式会社 常務執行役員 京滋地区総支配人
小西雅之

今後のエネルギー業界は、非常に大きな環境変化を迎えることになります。今年4月から電力小売りの全面自由化が、また、2017年度にはガス小売りの全面自由化が実施され、これまで以上に厳しい事業環境に身を置くことになります。これから起きるさまざまな環境変化を事業拡大の大きなチャンスと捉え、スピード感を持って対応していく必要があります。また、事業環境の変化に応じて自らも柔軟に変化することにより、あらゆるステークホルダーに選ばれ続ける企業グループとなることを目指してまいります。
一方、社是である「サービス第一」や「社会のお役に立つ企業になる」という企業理念は、創業以来今日まで、大阪ガスグループのDNAとして脈々と受け継がれています。今後、社会環境がいかに変化しようともそのスピリッツを決して変えることはありません。
昨年当社は、創業110年を迎えました。お客さまと社会からの支えがあったからこそ、長きにわたり事業を継続することができたと感謝いたしております。京都・滋賀両地区においても、エネルギー事業者にとって最重要の責務である安定供給と保安の確保に向けた取り組みや、ガスコージェネレーションなど分散型発電システムの普及拡大を通じて、地域社会の発展に貢献してまいります。

大阪ガス株式会社
京都市下京区中堂寺粟田町93番地/Tel.075-315-8678
http://www.osakagas.co.jp

言葉の情け

千 宗室
裏千家家元
千 宗室

人間関係が希薄になり、世の中に自分がなじめない、場にそぐえない…そう感じる人が今は多いようです。それは会話が少ない、言葉が足りないためではないから。現代は要らない言葉ばかり多く、本当に必要な言葉が少なくなっています。茶の湯において濃茶点前の際、お茶が練り上がるまで私たちは原則として一言もしゃべりません。客が一啜(すす)りいただいた時に「お服加減は」という亭主からのあいさつがあった後、諸々の会話を通じて少しずつその場にそぐう言葉を探そうと主客共に努力を重ねます。そうした心の働きが、利休居士以来の歴史の流れの中で「一期一会」の精神を育んできました。還暦を迎える私ですが、自分なりの一期一会を探す努力を茶道を通じて己に課し続けてこられたのは本当にありがたいことと思っています。茶席において「お先に」「お点前頂戴します」「お道具の拝見を」などさまざまな問答の言葉がありますが、そこに込められた真心によって一会がより心に染み入るものになることもあれば、反対に型通りのやりとりでその場が色あせてしまう場合もあります。日々の暮らしにおけるあいさつでも、「おはよう」「ありがとう」「いただきます」…何気なく使っているその意味を確認しながら言葉を交わすことで人と人との絆が深まっていくのではないかと存じます。

裏千家
京都市上京区小川通寺之内上る/Tel.075-431-3111
http://www.urasenke.or.jp/

地域との絆を大切にして

大塚直樹
アサヒビール株式会社 理事 京滋統括支社 支社長
大塚直樹

新年あけましておめでとうございます。
2016年、アサヒビールは創業127年、ニッカウヰスキーは創業82年を迎えます。本年は今まで以上に大きな飛躍の年にしたいと考えています。
アサヒビールの創業者、鳥井駒吉とニッカウヰスキーの創業者、竹鶴政孝は共に世界の最高水準の品質に挑戦してきました。最高の品質でお客さまの満足を追求していきたいという創業の精神は、今も社員一人一人の心に受け継がれています。
創業の精神でもう一つ大事にしていることがあります。それは、お客さまに対して心のこもった行動をとるということです。われわれはこの精神を発展させ、地域社会へ貢献することも大事なわが社の使命であると考えています。本年も、祇園祭への鉾町としての参画や、京都マラソンへの協賛、啓発キャンペーン「こころのわ」「日本人の忘れもの」への参画などを通して、地域社会への誠意ある貢献を続けていきたいと考えています。
「品質への挑戦」「心のこもった行動」という創業者の思いや起業の原点を常に忘れず、日々の活動に邁進(まいしん)していきます。そして、地域のお客さまにとって、なくてはならない会社を目指してまいります。

アサヒビール株式会社
京滋統括支社=京都市下京区水銀屋町612 四条烏丸ビル8階
Tel.075-212-6300/http://www.asahibeer.co.jp/

積極果敢に挑戦、
行動改革の1年に

土井伸宏
株式会社京都銀行 頭取
土井伸宏

日本企業は、品質の高さ、誠実な仕事で、国内はもちろん世界から信頼され、高い評価を得てきました。
ところが、最近そうした、誠実さ、勤勉さ、忍耐強さなどの日本人の美徳に支えられ世界に誇ってきたものに、少し陰りが見えるように思います。
中国をはじめ急激な成長を遂げる東アジア諸国などとの競争がますます激化していく中、今こそ世界に日本の底力を示すべき時であり、これまで私たちが誇ってきた日本の強みを再評価し、これをさらに発展させていかなければなりません。
2016年は、行動改革の年。「失敗を恐れず積極果敢に挑戦してほしい。スピード感をもってまず行動を!」と全行員に呼びかけています。
京都は、日本の美徳、古き良き伝統とともに、進取の精神を育んできた強みを持っています。
当行も、京都を地盤とする地方銀行として、そうした強みを最大限に生かし、誠実に、勤勉に、たゆまぬ努力を続けるとともに、新たな分野に積極的に挑戦して「地方創生」に大きな役割を果たし、地域とともに成長していきたいと思います。

株式会社 京都銀行
本店=京都市下京区烏丸通松原上ル薬師前町700/Tel.075-361-2211
http://www.kyotobank.co.jp/

言の葉の日々

柿本新也
柿本商事株式会社 代表取締役社長
柿本新也

教育について、蘊蓄(うんちく)を述べられるほど偉い人間ではないことは重々承知していますが、デジタル技術によるITの進化があまりに早い中、アナログ世界は一体どうなっているのだろうかとの思いで、2010年、800字で思いを綴(つづ)る「恋文大賞」を創設しました。
2012年頃から、小・中・高校、大学生の皆さんの作品の応募が急激に増加しました。その作文の数々はいじめや悩みなど、強い思いに満ちた真摯(しんし)で真剣な本音が綴られたメッセージです。このことから、もう「恋文」ではなく、「言の葉」だなと考え、2014年に言の葉協会を設立し「言の葉大賞」としました。結果は期待をはるかに超え、2015年の応募数は2013年の約3倍、2014年の約2倍と、うなぎ上りの増加となり、総数14171通となりました。どうやら学校の先生方は「言の葉」の響きが好きなようであります。そして、「言の葉」を通して子どもたちの本音と向き合う機会に巡り合われたのです。
時代が人を創(つく)るといいますが、いつの時代でも若者には内に秘めた力があります。問題はそのみなぎる力をどこに向けるか? 反骨精神と人に頼らない精神で挑戦し続け、たとえそれが最初の方向と違ったところに到達したとしても、それは学びの成果といえます。
人生は長いのです。「若者よ、一つ孤高を気取るぐらいの気骨ある精神で生き抜いてみてはどうだろうか…」と私は問い続けます。

柿本商事株式会社
京都市中京区寺町通二条上ル/Tel.075-662-0131
http://www.kyoto-kakimoto.jp/

「ひとり」への気遣い

中西浩一
株式会社オンリー 代表取締役会長兼社長
中西浩一

時代の移り変わりは面白いもので、現代においても、画一的な商売が流行(はや)る時期もあれば、他とは一味違う魅力が脚光を浴びるときもあります。
常の変化は些細(ささい)ながらでも、ほんの数年で大きく変わり、いつの間にか違う価値観が生まれていきます。
幾度となく繰り返されてきた価値観の変化が千年以上も続く京都ですが、不変のものが根底にあり、それはまさしく人の心だと感じています。
どんな商売であっても、「ひとり」への気遣いから始まるもの。
ゆるぎない伝統の下、専門的な価値を突き詰めていく一方で、一人の心を打ち、やがて共感が広がり、世界に通用することへとつながっていく。
気遣い無くして人と人とが心通わせることなどできないように、一人の心を打つには、まずはこちらが気を配り、気を遣う。
そういう気付きを、一人一人の社員に育んでいきたいと思います。

株式会社 オンリー
京都市下京区烏丸通松原西入ル玉津島町303/Tel.075-354-4129
http://www.only.co.jp/