日本人の忘れもの 知恵会議  ~未来を拓く京都の集い~

歴史と伝統を踏まえて

福永法弘
株式会社京都ホテル 代表取締役社長
福永法弘

京都ホテルオークラの河原町通側には、維新三傑の一人、桂小五郎の像が立っています。それは、江戸時代ここに長州藩の京屋敷があったことにちなむものです。禁門の変に続く「どんどん焼け」で京屋敷は焼失し、敷地は維新後、明治政府の所有となっていましたが、二条橋西詰めで開業していた旅館「京都常盤」が、伊藤博文のあっせんによりここに移り、京都ホテル(当初は常盤ホテル)として営業を始めたのです。そして今年、創業128年目を迎えました。
開業のころより当ホテルは、外国のお客さまに多くご利用いただいてまいりました。それは何より、千年に及ぶ首都としての歴史、さまざまな歴史的建造物、四季折々の美しい自然、そしてそこに息づく人々のゆかしい暮らしぶりが、海外の人々の心を引きつけてやまないからでしょう。
政府の的確な施策や、中国ほかアジア諸国の経済的発展、格安航空会社(LCC)の台頭などによって、訪日外国人の数は年間2000万人達成が目前という状況です。京都を訪れる外国人の数も過去最多となり、今後も増え続けていくものと期待されます。
京都ホテルオークラ、からすま京都ホテル、粟田山荘では、内外のお客さまにさらなる満足を味わっていただくべく、おもてなしの心の徹底、社員の語学スキルの向上など、より一層の精進に努めたいと思っております。

株式会社 京都ホテル
京都市中京区河原町通二条南入一之船入町537-4/Tel.075-211-5111
http://www.kyotohotel.co.jp/

創業450年
-繁栄の創造・午前5時-

大河内徹心
株式会社京都西川 代表取締役社長
大河内徹心

京都西川は、1566年に近江国で創業した西川甚五郎商店京店をルーツとしており、本年、西川創業450年の記念の年を迎えました。これもひとえに、多くの方々にご愛顧いただきました賜物(たまもの)と衷心より感謝申し上げます。今後も末永く弊社製品をご愛用いただけますようにお願い申し上げます。
さて弊社の歴史を顧みますと、創業期の室町時代から江戸時代の主要販売品は蚊帳(かや)・畳表であり、また京都の地元産業の京弓も取り扱いました。そして明治時代の変革期に取り組んだのが蒲團(ふとん)など「新しい生活(くらし)の文化」の提案です。大正時代からは蚊帳の輸出にも取り組みます。これらの事業は繊維の町・京都で商売させていただいたからこそ取り組んだ事業といえます。蚊帳は、時代に合わせて幾度もの改良・革新に取り組み、現在でも販売し続けています。
京都西川のスローガン「繁栄の創造・午前5時」は、伝統をしっかりと重んじながら、常に独創性と革新的な精神でモノづくりと販売に取り組む京都の風土・土壌から学んだ言葉です。
「眠り」は明日への活力であり、未来を創造してくれます。私たちは、これからも「繁栄の創造・午前5時」の精神を持ちながら、皆さまの健やかな眠りをサポートする「眠りの文化」を発信してまいります。

株式会社 京都西川
京都市下京区河原町通松原上る幸竹町385
http://www.kyoto-nishikawa.co.jp

観光立国推進の
一助として

奥村浩二
株式会社京都東急ホテル 総支配人
奥村浩二

戦後、わが国の国際観光の振興は、外貨獲得に重点を置いた外国人旅行者の誘致から始まりました。東急グループの創始者である五島慶太も戦後間もない時から、「日本は狭い国土に過剰人口を抱えている。国際的にも経済の自立を図るためには、国策として国際観光事業に力を入れ、外貨獲得に役立てなければならない」という経営理念を持ち、その国際観光事業の柱として国際級ホテルの経営を考えました。
そして、東京オリンピック開催前年の1963年、日本に初めての外資系ホテル「東京ヒルトンホテル」をオープンさせました。この年の訪日外国人数は30万人となり、この頃から、順調に増加していきました。そして現在、2020年に再び東京オリンピックが開催されることや、政府による観光立国推進強化により、2030年時の訪日外国人数の目標は、1963年時の100倍となる3000万人となっています。
これらの目標を達成する上で、京都の観光事業に携わる者の役割や責任は大きなものがあると感じています。そのために、戦後の国際観光振興の一役を担った経験やノウハウを生かして、訪日外国人が安心して快適に滞在・観光することができるホテルライフを提供し、外国人の訪日を促進するとともに、満足度を高め、少しでも京都のリピーターを増やすことができればと思っています。

株式会社 京都東急ホテル
京都市下京区堀川通五条下ル柿本町580/Tel.075-341-2411
http://www.kyoto-h.tokyuhotels.co.jp/

「むすんで、うみだす。」
京都と共に新たな一歩を

柿野欽吾
学校法人京都産業大学 理事長
柿野欽吾

2015年は京都産業大学にとって創立50周年という大きな節目の年でした。
京都には、今も古都にふさわしい学芸・産業・生活が豊かに息づいています。本学は、その京都の由緒ある上賀茂の地に1965(昭和40)年、宇宙物理学者、荒木俊馬博士により理学部・経済学部の2学部で開学しました。以来、50年、現在8学部を擁する総合大学に発展しましたが、この京都の風土に育まれた50年といっても過言ではありません。この記念すべき年に文化学部に京都文化学科を設置、本年4月からは理学部に宇宙物理・気象学科を開設します。
京都は、平安遷都以来、1200年余りの歴史の中で、学問、芸術・芸能、技術・技能、祭り・行事といった有形・無形の文化が集積し、わが国の未来を拓(ひら)く可能性を大いに秘めています。
京都産業大学の「産業」を学祖・荒木俊馬は「むすびわざ」と読み解きましたが、本学は創立50周年を機にこれから「むすんで、うみだす。」をスローガンに、「学問」と「社会」「企業」「自然」をむすぶ、「京都」と「日本・世界の諸地域」をむすぶとともに、「むすぶ人」を「うみだす」ことを目指します。
2016年、京都産業大学は、京都の学芸・産業・生活をさらに育むために、力強く次の50年に向けた新たな歩みを始めます。

京都産業大学
京都市北区上賀茂本山/Tel.075-705-1411
http://www.kyoto-su.ac.jp/

進化し続ける「印刷」

木下宗昭
佐川印刷株式会社 代表取締役会長
木下宗昭

当社は今年創業46年目という、新たな一歩を踏み出しました。もともとは設備もなく、まさに裸一貫でのスタートでしたが、多くのお客さまに恵まれ、ここまで成長することができました。厚く御礼申し上げます。
印刷は15世紀にグーテンベルクが開発した活版印刷術から始まりました。ブドウの絞り機からヒントを得たといわれており、最初の印刷物は聖書でした。そうして開発・改良された印刷機によって多量の印刷物を生産できるようになったことで、広く一般市民にまで、情報、知識の伝達ができるようになりました。
日本においては、江戸時代には浮世絵に代表される木版画が出版されたり、かわら版(新聞)が発行されたりしており、印刷が単なる情報の伝達手段から、まさに文化として華開くほどに進化を遂げています。
当社もさらなる進化を目指して、これまでの紙媒体への印刷ノウハウを結集した新たな出発として軟包材(環境に優しいフィルム)の分野に進出いたしました。私たちも印刷を通じ、着実に進化していきたいと考えております。

佐川印刷株式会社
京都府向日市森本町戌亥5-3/Tel.075-933-8081
http://www.spcom.co.jp/

質素倹約

大倉治彦
月桂冠株式会社 代表取締役社長
大倉治彦

今でこそ日本全国、世界各地へも清酒を供給するほどに、会社の規模は大きくなりましたが、それは割合に最近のことです。1637(寛永14)年に創業以来、江戸期の250年間は、ずっと伏見の地酒として商ってきました。その中で代々伝えられてきたのは、「質素倹約」という考え方です。
1657年に83軒あった伏見の酒屋は、1785年には28軒にまで減りました。その原因は3点ほど考えられます。まず、酒造りには火を頻繁に使うので火事が絶えなかったことです。もう一つは、微生物学の知識がなかった時代であり、酒を腐らせてしまうことです。さらに飢饉(ききん)のため米を原料とする酒造りはたびたび制限されたことです。また、鳥羽伏見の戦い(1868年)が勃発(ぼっぱつ)し、戦災で多くの酒蔵や民家が焼けました。私どもの酒蔵は、火の手が迫る中、辛うじて罹災(りさい)を免れたことが現在の継続につながっています。
いつ何が起こるか分からない中で、酒造家は「質素倹約」に努め、業績が向上しても贅沢(ぜいたく)をしない、それが厳しい時代を生き抜く知恵として欠かせなかったのです。人事を尽くしても抗(あらが)えないことは生じます。しかし、「質素倹約」には、自分の意思で取り組むことができます。現代の社会にあっても心掛けておきたいものです。

月桂冠株式会社
京都市伏見区南浜町247/Tel.075-623-2001
http://www.gekkeikan.co.jp/

地域のお客さまに
楽しんでもらえる商品を

横山良範
キリンビールマーケティング株式会社 京滋支社 支社長
横山良範

平素はキリンビールグループ商品をご愛飲いただき誠にありがとうございます。
2015年は、一昨年にもまして京都・滋賀の皆さまに、キリン一番搾りをご支持いただけた年となりました。弊社滋賀工場謹製の「一番搾り滋賀づくり」や京都を代表する祇園祭の時期に発売させていただいた「一番搾り京都祇園デザイン品」など、地元の皆さまのご期待に応えることが少しずつ実感でき、大変うれしい一年でした。
さて、2016年では、キリンビールは各都道府県の皆さまの「風土・文化・誇り」をテーマにした、地域限定の特別な一番搾りを発売する予定です。昨年より、地元の各方面を代表する方々からご意見をいただき、「京都オリジナルの一番搾り」の準備を進めています。府県ごとに味に違いがあり、地元の料理に合う個性のある一番搾りを楽しんでいただければ幸いです。楽しみにお待ちください。
最後に、京都・滋賀のお客さまが長年培ってきた独自の文化を理解し、夢を共有することで造らせていただいた商品が、皆さまのうれしい時、つらい時に、皆さまの、おそばに寄り添うことができればと思います。
2016年が皆さまにとって素晴らしい年であることを祈念申し上げます。

キリンビールマーケティング株式会社
京滋支社=京都市下京区烏丸通七条下ル東塩小路町731
京都銀行京都駅前ビル8階/Tel.075-353-1861/http://www.kirin.co.jp/