日本人の忘れもの 知恵会議  ~未来を拓く京都の集い~

「すてる」文化から
「ひろう」文化へ

佐々木鴻昭
本願寺執行長・本山伝灯奉告法要総本部長
佐々木鴻昭

戦前の文化は「ひろう」文化といわれ、ものを大切にする中に「感謝の心」「おかげさま」「もったいない」という生き方が育まれました。それに対して戦後の文化は「すてる」文化といわれ、「あたりまえ」という考え方が蔓延(まんえん)し、人間関係が希薄化した社会、生き方になってきたのではないでしょうか。
インドの言葉に「カタンニュー」という言葉があります。中国ではこの言葉を「知恩」と訳されました。「カタンニュー」とは「何がなされてきたかを知る」という意味です。「何がなされてきたかを知る」ということは、いま私が生きていることは多くのいのちのつながりの中に生かされてきたことを知るということではないでしょうか。そうした「知恩」の心によって「あたりまえ」でないことを知らされたとき、「もったいない」「おかげさま」の世界をいただけるのです。
本願寺では本年10月1日から翌年5月31日の10期80日間にわたり、「第25代専如門主伝灯奉告法要」を修行いたします。この法要は法灯を受け継いだ新しいご門主さまを中心に、阿弥陀如来様が「われにまかせよ、かならず救う」と誓われたお念仏のお心を、一人一人が聞き受け継ぎ伝え、そして自他共に心豊かに生きることのできる社会の実現を目指すものであります。
ぜひ皆さま方のご参詣を心よりお待ちしております。

浄土真宗本願寺派 本山 本願寺(西本願寺)
京都市下京区堀川通花屋町下ル/Tel.075-371-5181㈹
http://www.hongwanji.or.jp/

「日本人の忘れもの」

湯淺圭一
ジーク株式会社 取締役社長
湯淺圭一

日本は気候温暖で豊かな自然に恵まれ、先の大戦を除いては外敵の侵入にもさほど影響されることも無く、大きな争いはありませんでした。大陸から仏教を始め多くのものを取り入れ、独特の生活文化・芸術文化を育み、今日に至っています。
よく言われる、日本らしさ・日本の和という文化や芸術も江戸時代の鎖国という特異環境の中で育まれたものだと思います。
幕末から明治、大正に至っては、欧米から積極的に先進技術を取り入れ、近代化がなされました。それに伴い各界、各分野にキラ星の如く多くの偉人たちが輩出されました。なぜこれほど多くの偉人たちが出現したのか、不思議に思えてきます。人間誰しもハッと気が付き、何かに感動する直感力を持っています。こういった偉人たちはそこから第一歩を踏み出したのではないでしょうか。直感し、高い志を立て、努力を継続する、これはその人の人間力といえましょう。そういったことが大事で忘れてはいけないことだと思います。
今後の課題は、少子高齢化と国際関係から生じる責任や義務であり、良き伝統を守り続けることが非常に難しいように思います。

ジーク株式会社
京都市南区吉祥院新田弐ノ段町33/Tel.075-681-0511㈹
http://www.zycc.co.jp/

「京都の水」への
感謝の気持ち

村上雅之
サントリー酒類株式会社 京都支店 支店長
村上雅之

平素はサントリーグループ商品をご愛飲いただき、誠にありがとうございます。
「人と自然と響きあう」。これは弊社の企業理念であり、また、これをより分かりやすく表現したコーポレートメッセージが「水と生きる SUNTORY」です。
飲料の製造・販売を生業(なりわい)とする弊社にとって、「水」は切っても切れないものであり、水を守り育んでいくことは重要命題であります。
弊社では、全国18カ所で、水を育む森づくり「天然水の森」活動を展開しています。ご当地京都でも、京都ビール工場の水源涵養(かんよう)エリアにあたる「天然水の森 きょうと西山」にて、社員も参加しての枝打ちなど、森林保全活動に取り組んでいます。この京都の良質な水をお借りして、「ザ・プレミアム・モルツ」をはじめとする商品を生み出し、京都・滋賀のお客さまにおいしさと感動をお届けすることが自然への何よりの恩返しだと考えています。
今年は、「森の京都」のターゲットイヤー。前述の企業理念を基に、京都の素晴らしい自然環境に感謝し、品質の良い製品とサービスをお届けすることで、一人でも多くのお客さまが笑顔になりますよう、邁進(まいしん)してまいります。

サントリー酒類株式会社
京都支店=京都市下京区四条通烏丸東入ル長刀鉾町8 京都三井ビル8階
Tel.075-256-1133/http://www.suntory.co.jp/

ニュー・フロンティア(商機)を
拓く

田中秀典
サッポロホールディングス株式会社 代表取締役専務
田中秀典

今年、当社は創業140周年を迎えます。長期経営構想の区切りの年でもあり、次の10年に繋(つな)げる節目の年でもあります。
いわゆる、失われた20年のデフレ進行の間に、団塊世代の現役引退や少子高齢化の進行など、人口動態に変化が生じ、国内の飲酒需要もなだらかな減少傾向にあります。環境与件は決して順境とは言えませんが、活路が見いだせないわけではありません。ニュー・フロンティア(商機)が、全て拓(ひら)かれてしまったわけでもありません。われわれがいまだ気付いていないか、見えていない活路(ダークマーケット)が、見えている市場以上のサイズで残されている可能性もあります。
私たちは、自らのたどった経験のみに絡め取られ、知らず知らず自縄自縛の視野狭窄(きょうさく)に陥ります。米大陸のシリコンバレーに目を移せば、指数関数的な速度で、ITを軸としたビジネスの融合「インターネット・オブ・シングス(IoT)」が次々と誕生しています。それは、イノベーションの次元すらスルーし、既存ビジネスと直接対峙(たいじ)しない新たな土俵・ルールに従う新競技の登場ともいえます。対岸に瞠目(どうもく)している場合ではありません。私たちが進化の交換条件としてさびつかせたかもしれない原始本能、すなわち動物的勘(嗅覚、聴覚、視覚など)を再び呼び覚まし、見えざるフロンティアに踏み出す時です。
辺境ははるか遠くかもしれませんが、リスクに挑む者だけが果実を手にすることができるのです。

サッポロビール株式会社
近畿圏本部 近畿統括支社 京滋支社=京都市下京区四条通東洞院東入ル
Tel.075-231-7177/http://www.sapporobeer.jp/

創生で次代を拓く

田中誠二
学校法人大和学園 理事長
田中誠二

悠久の歴史に培われた豊かな文化。四季折々の美しい自然。花鳥風月を愛でる繊細な感性。このような風土や精神性に育まれて、京都人は伝統を守りつつ前衛を生み出す創生を繰り返してきました。世界中から多くの人が京都を訪れます。この街の魅力が学術、文化、藝術(げいじゅつ)に刺激を与え、新しい価値や産業を創造する力の源泉となっています。
人口減少社会の到来が、経済や社会の仕組みに大きな影響を与えることが懸念されています。活力ある日本社会を維持していくために「地方創生」が掲げられ、産業や文化の振興策が各地で繰り広げられています。人と自然の魅力を引き出す京都流のライフスタイルは、地域創生の鍵を握ると確信します。
現在、教育分野においても政府は、「日本創生のための教育改革」を謳(うた)い、質の高い職業人を養成する「実践的な職業教育を行う新たな高等教育機関」の制度化が進められており、職業教育の社会的役割はさらに重要となります。
「アカデミー・オブ・ホスピタリティ」を標榜(ひょうぼう)する大和学園では、「人に奉仕し、人をもてなし、人を幸せにする」ホスピタリティ教育を追求し、職業教育と生涯学習に取り組んでいます。人々が生き生きと躍動する地域社会や我(わ)が国の発展、そして世界の平和と繁栄に微力ながら貢献してまいります。

学校法人 大和学園
京都市中京区河原町三条上ル/Tel.075-241-0891
http://www.taiwa.ac.jp/

「志」 日本の教育が
目指すもの

佐々木喜一
成基コミュニティグループ 代表兼CEO
佐々木喜一

2013年より拝命し、委員として活動してまいりました安倍内閣直轄の諮問機関「教育再生実行会議」では、昨年5月に第7次提言において「これからの時代に求められる資質や能力」として11の力を提示いたしました。
その提示した11の力の中で、私が最も重要であり、全ての土台となると考えるのは「志」です。志は、自分の夢に社会性を持たせたものであり、「世のため、人のため」を第一義に置いたものです。例えば「医者になって、今は治らない病気を治し、多くの人を幸せにしたい」という思いは「志」と呼べるものです。自分の志を持つことが自ら学ぶ力を、また前向きに生きる意欲を引き出します。そのことが大きな自己肯定感を育み、困難なことがあっても諦めない心の強さを生み出すのです。
従来より弊社は「志教育」を推進してまいりましたが、このたび「一般社団法人 志教育プロジェクト」を創設いたしました。すでに多くの方にご賛同いただいており、2020年までに世界200カ国、日本1500市町村にその輪を広げることを目標とし、活動を展開してまいります。
これからの日本に、世界に、さまざまな形で貢献することができる「志」ある日本人を一人でも多く輩出することが、私どもの使命であるとの強い信念のもと、今年も力強く前進してまいります。どうぞご期待ください。

成基コミュニティグループ
京都市中京区烏丸通二条上ル蒔絵屋町265-2 SCGビル
Tel.075-256-8800/http://www.seiki.co.jp/

パンのおいしさで
京都の魅力アップに貢献

続木 創
株式会社進々堂 代表取締役社長
続木 創

謹んで新春のお慶びを申し上げます。
京都は一世帯当たりのパン消費額日本一の街です。それはなぜ? とよく聞かれますが、正直なところ私にも分かりません。でも一つはっきりしていることは、京都にはパン店がとても多いということです。
私どものような企業のお店から個人店さんまで、本当にたくさんのパン店がひしめいて、おいしさとアイデアを競い合っています。この切磋琢磨(せっさたくま)が京都のパン消費額を押し上げていることは間違いなさそうです。
同時に、京都にはパンのおいしさをきちんと分かってくださるお客さまが多い、これも実感です。どんなにおいしいパンを造っても、それを分かってくださるお客さまがおられなかったら、そこにパン店が増えるわけがありません。京都にパンを愛するお客さまがたくさんおられるおかげで、私たちも安売りに走らず、おいしさに磨きをかけることができるのです。
つまり、この相互作用こそが「京都のパン消費額日本一」の理由なのではないでしょうか。
また、京都を訪れる多くの観光客の皆さまにとって、京都で食べたパンが旅の思い出になり、「京都の人たちはこんなにおいしいパンを食べている!」と感心していただけるようでありたいものです。私たちのおいしさへの努力が、地元京都の魅力アップに貢献できるように、今年も精進してまいります。

株式会社 進々堂
京都市中京区竹屋町通寺町東入る藤木町33/Tel.075-221-0056
http://www.shinshindo.jp/