日本人の忘れもの 知恵会議  ~未来を拓く京都の集い~

「慈育」の心で育てる 人と家族と地域と日本

田宮宏悦
舞妓の茶本舗 会長
田宮宏悦

「茶」という文字は葉を表す草と、茎を表す木との間に人という字を書きます。茶農家で育った私は、自然の産物である茶の葉も人が関わり、丹精こめて育ててこそ、おいしいお茶ができるのだと、この文字の意味が実感をもって分かります。
人を育てることもまた同様に、細やかな目くばり、心くばりが求められます。私はそれを慈愛の心をもって育てるという意味で「慈育」と呼び、同タイトルの機関誌「ジーク」を発行してたくさんの方々と人や家庭、地域のよりよき方向を探っています。つまり、舞妓の茶の機関誌「ジーク」は「読む寄り合い場所」。多くの方々とのコミュニケーションを図る心の広場です。
また、紙の上での交流だけでなく、自然と共にある日本人の暮らしや人へのもてなし、優しさ、柔らかな宗教心が育てた他者への慈愛の心など、お茶に象徴される美しい日本文化と日本茶のおいしさを世界の人々に知っていただき、楽しんでもらうため、毎年海外でプレゼンテーションと販売を行い、和文化とお茶のすばらしさを紹介。毎回、大きな反響を呼んでいます。
お茶を通じて自然を感じ、自然からも多くのことを教わってきた私は、自然と人が対話できると信じています。まして言葉を持つ人と人はもっと対話をして、人間関係を豊かなものにしていただきたいと思っています。

舞妓の茶本舗
京都府京田辺市普賢寺上大門2-1/Tel.0774-62-0256
http://www.maiko.ne.jp/

世界から和食・日本人の食文化の 価値を賞賛

佐竹力総
株式会社美濃吉 代表取締役社長
武田一平

昨年12月「和食;日本人の伝統的な食文化」がユネスコ無形文化遺産に登録されました。この背景には、これまで食は再現性が低いことから文化として、土壌に乗りにくかったのですが、2005年7月、食育基本法が制定、初めて法の中で国、地方公共団体による食文化の継承活動への支援の位置付けが示されました。また、2011年9月、農水省のアンケート調査によりますと、なんと98.4%の国民が「日本食文化を保護し、価値を高め、子供や孫の世代にも伝えることは重要だ」と回答するなど驚異的な支持がありました。
「経済は文化のしもべである」という言葉が私は好きです。人間が生きるために本当に必要な力を生み出すのは経済ではなく文化なのです。その文化の礎となるのが食文化なのです。世界の有識者の方々がよく、私たちに、日本料理店こそが日本食文化の凝縮空間であると励ましてくれます。四季のうつろいをかたちに表す「料理」、深い趣をたたえる「しつらい」、着物という民族衣装でのおもてなし「装い」、「振るまい」と。
私たち日本料理に携る者として、今度のユネスコ登録は、喜ぶというよりは、ユネスコの力により私たち日本人に日本の食文化の価値を見直す機会を与えていただいたという事実を謙虚に受けとめ、感謝の気持ちで、これからも食の伝道師として日本の食文化の価値を高めるべく精進する決意です。

株式会社 美濃吉
京都市東山区三条通白川橋東入ル3丁目夷町166/Tel.075-751-8881
http://www.minokichi.co.jp/

未来へのキーワードは「安全・快適・信頼」

粂田佳幸
彌榮自動車株式会社 取締役社長
粂田佳幸

大正初期の創業以来、一貫して「旅客運送事業を通じて地域社会に貢献する」ことをモットーに企業活動を展開してきました。
ヤサカが京都で育んできたタクシー・ハイヤー・観光バスと、他の鉄道や乗合バスなどの交通機関との違いは何でしょうか?
それは「多くの人々を効率的に輸送する交通機関」ではなく、お客さまの「希望に応える」交通機関であることです。社員一人一人が「お客さまのご希望の場所まで安全・快適にお送りすること」を一日一日積み重ねて、まもなく創業100年を迎えます。そんな私どもだからこそできることがあります。
未来に向けた取り組みを着々と進めています。いち早くお客さまのもとにタクシーを手配できるよう、デジタルGPSの技術を用いたコールセンターを整備し、スマートフォン端末にも対応する体制を先駆けて運用を開始しました。環境にやさしい次世代型車両を導入し、ユニバーサルデザイン(UD)車両の導入も検討を進めています。
「三つ葉のクローバー」は、京都で育まれた「おもてなしの心」を「安全」 「快適」 「信頼」の3つの言葉で表しています。安全運転に徹し、お客さまに快適にご乗車いただく、その毎日の積み重ねが「信頼」となる。これこそが時代を超えた「ヤサカの精神」であり、未来へのキーワードであると考えています。

彌榮自動車株式会社
京都市下京区中堂寺櫛笥町1番地/Tel.075-841-6261
http://www.yasaka.jp/

未来を切り拓く イノベーティブな人材の育成

長田豊臣
学校法人立命館 理事長
長田豊臣

「失われた20年」、「キャッチアップ型」の成長は終焉(しゅうえん)を迎え、この間あらゆる分野でイノベーションを起こせる人材が求められてきました。
私は、教育機関にはそのような人材を育成し、社会へ輩出する使命があると考えます。その上でいかにして柔軟な想像力と豊かな個性を有したイノベーティブな人材を育成、輩出できるかという点、そのためには一人一人の個性を生かし、理念に基づいた教育・研究活動に取り組むという点が重要であると考えます。
2006年、立命館学園は未来に向けて使命感を持って取り組むことを明記した「立命館憲章」を制定しました。その中には「アジア太平洋地域に位置する日本の学園として、歴史を誠実に見つめ、国際相互理解を通じた多文化共生の学園を確立する」という一節があります。ここには「多様な価値観、文化を尊重し、相互に学び合う中で成長していく教育を推進する」という思いが込められています。学園内各校のグローバル教育に貫流している考え方です。
従って、立命館が育成、輩出するイノベーティブなグローバル人材は、平和で可能性あふれるアジア、世界の未来を多文化協働で切り拓(ひら)くことができる人材であるといえます。ここに学園の使命と個性があると確信し、これからも学園創造に邁進(まいしん)していきたいと思います。

学校法人 立命館
京都市中京区西ノ京朱雀町1/Tel.075-813-8300
http://www.ritsumei.jp/

先人たちの知恵

塚本能交
株式会社ワコールホールディングス 代表取締役社長
塚本能交

いま時代は「アベノミクスだ」、2020年には「オリンピック景気だ」 などと、久しぶりに景気のいい話しばかりで、実に耳に心地が良いものです。私も企業人として、この流れに乗り遅れることなく、経営の舵(かじ)を切っていかなければなりません。
一方国内では、少子高齢化や伸び悩む所得など、マーケットは縮小の一途であり、そこに軸足を置く多くの会社が大変なご苦労をされています。しかも、変化の波は次々と速度を上げて襲って来るので、生き残るためには、素早い的確な判断と、それに耐え得る体力も必要です。
しかし、単に変化への適応のみならず、自社ならではの強みとか、「らしさ」というものも決して見失ってはならず、こういう時代だからこそ、地固めが必要ではないでしょうか。
京都人は古(いにしえ)の時代から、幾多の変化の波に巻き込まれながらも、決して京都らしさを見失うことなく、知恵を絞りながら今日まで生き抜き、世界から憧憬される格調の高い文化を築いてきました。それぞれの時代において、「残すもの」 「変えなければならないもの」 「新しく作るもの」を見極めながら、上手く変化に適応してきたといえます。
京都人である私も、改めてこの先人達の知恵に習い、立ち止まることなく変化に適応しながら、少しでも前へ進む決意も新たな今日この頃です。

株式会社 ワコールホールディングス
京都市南区吉祥院中島町29/Tel.075-682-5111
http://www.wacoal.jp/

感謝の気持ちで “生きる”を支える

安道光二
ワタキューセイモア株式会社 代表取締役社長
安道光二

医療・福祉の現場を総合的にサポートする多様なサービスを提供しているワタキューグループは、事業を通じて全ての人の健康で豊かな生活に寄与すること、お客さまの要望に誠意を持って応え、高品質で決め細やかなサービスの提供を絶え間なく続けることが使命であり、事業を永続的に発展させ社会に貢献していくことが、社会的責任であると考えています。変革の時代の中、アゲンストの風が厳しくなりつつありますが、「豊かな暮らしとともに“生きる”を支える」という10年ビジョンの実現にむかって邁進(まいしん)しています。
そのために最も重要と考えることは、社是である「心」を持った人材の育成です。原点となる「ワタキューグループ基本方針」を徹底していくためにも、独自の研修システムである「一心館」での研修をはじめ、人材育成に力を入れてまいります。
全ての社員が、感謝の気持ちを持って仕事に取り組み、世の中の役に立っていることを実感でき、誇りを持って「働いてよかった」と思える企業を目指したい。そのためにも今一度、「感謝の気持ちと謙虚な姿勢」 を忘れることなく、目標に向かうひとつのチームとして、お客さま、お取引会社さまとともに、日本における医療福祉のベストパートナーとなれるよう挑戦し続けたいと思っています。

ワタキューセイモア株式会社
京都市下京区烏丸通高辻下ル薬師前町707 烏丸シティ・コアビル/Tel.075-361-4130
http://www.watakyu.co.jp/