日本人の忘れもの 京都、こころここに

おきざりにしてしまったものがある。いま、日本が、世界が気づきはじめた。『こころ ここに』京都が育んだ文化という「ものさし」が時代に左右されない豊かさを示す。

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京都発「日本人の忘れもの」キャンペーンプロジェクト

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第23回12月4日掲載
人を信じる
心と心、ぐるりと中心をつなぐ
信頼が無ければ伝わらない…

なかむら・たまお

女優
中村 玉緒 さん

京都市生まれ。1953年に映画デビュー。テレビのバラエティー番組でも人気を集める。父は歌舞伎俳優の二代目中村鴈治郎、兄は人間国宝・四代目坂田藤十郎。夫は俳優の故勝新太郎さん。京都名誉観光大使も務める。

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 先ごろ京都で開かれた国民文化祭で、私は「京都こころの灯火」命名・出発式に出席させてもらいました。その席で山田啓二知事は心をととのえ、心をつないでいくことの大切さを力説して、府内のそれぞれの地域に根ざしている、ほんまもんの文化と日本人の心を広く伝えていきたいと話しておられた。

信じたら忘れる
そうすれば
ずっと信じられる

 その考え方に大賛成です。そして心をつなぐ基本にすえるものは「信じる」ことだと私は思っています。人を信じる。信頼がなければ心は伝わらないと思うからです。

 主人、勝新太郎は疑うことなくすぐ人を信じました。そしてすぐ裏切られた。それでも子どものように信じ続けた。その気持ちが素晴らしかった。だから私は別れなかった。

 私もすぐ人を信じる質です。ただ信じたら忘れるようにしています。というのは時間がたてば疑いの心が生じて憎しみに代わりかねないからです。そんな心になれば自分自身が醜くなってしまう。信じたら忘れる。そうすればずっと信じ続けることができる。

 国民文化祭の行事に出席する前日、12、13年間も疎遠になっていた人から私の携帯に電話がありました。普段は電源を切っているのに、その時はたまたま電源が入っていたのです。「やっと会えるようになりました…」。突然のことでびっくりしましたが、この人を信じていて本当によかったと思いました。その人は知人から玉緒は携帯を代えたと言われていたそうですが、そんなはずはないと信じて電話したそうです。信じる心が二人を再び結びつけたのです。

丹後も丹波も山城も、そして大震災被災地も

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 知事の話でさらに共感したのは、京のまちの文化だけでなく丹後や丹波といった地方の文化を重視している点です。天橋立や伊根、間人、亀岡の自然や風景はもちろん、文化も人の心も素晴らしいと思います。主人ともよくでかけ、その土地の自然や文化、人情にふれてきました。お墓は亀岡に建てようと話していたほどです。

 物事に中心があるとすれば、それを取り巻く周辺、ぐるりがあります。中心が中心だけで成り立っているのではありません。ぐるりがあってこその中心だと思います。ですから京のまちが元気になるには、丹後も丹波も山城も元気にならないとだめだということです。東日本大震災の被災地が元気にならないと東京もだめになるということです。そして中心とぐるりをつなぐものが人を信じる心だと思います。

ふるさと京都に恩返ししたい思いが強くなった

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 京都は生まれ育ったところなので、私を見かけた人は「玉緒ちゃん」と声をかけてくれます。それに私はどこへ行っても京都弁です。こればかりは直りまへん。離れて暮らしていてもふるさとはいつも私の中にあります。

 ふるさと京都に恩返しをしたい。この歳になってそんな思いが強まってきました。京都のみなさん、私を信じてください。文化や観光PRはもちろん、京都が少しでも元気になるようあらゆる機会を捉えて頑張るつもりです。京都が大好きだった主人もきっと喜んでくれると思います。

<日本の暦>

師走

 法師の「師」か、教師の「師」か。諸説ありますが、とにかくだれもが走りだしたいほど慌ただしい師走です。

 比叡おろし、愛宕おろしも吹くこの月初旬、お寺では大根焚きの行事があります。中風除け、長生きの御利益を願う人々でにぎわいます。京都市内では、三宝寺(右京区)、千本釈迦堂(上京区)、了徳寺(右京区)などが有名です。

 「大根焚 控への釜が湯気を噴き」(西村和子)。寒空の境内に、大鍋から白い湯気が立ち上る光景は、師走の風物詩の一つです。

<リレーメッセージ>

フルート奏者・指揮者・白石 孝子さん

■日本の誇り

 近年、実に多くの日本人が各分野共、世界の頂点で活躍をしている。

 特に音楽芸術の分野においては、世界各国でソリストとして、また指揮者として多くの人たちが大活躍を続けている。ヨーロッパの優秀なオーケストラには必ずといってよいほど日本人のメンバーが在籍している。

 先日、私はフランス・ニース市で開催された「マクサンス ラリュー国際フルートコンクール」を現地で聞いた。

 参加者はフランスはもとよりアメリカ・チェコ・スペイン・ベルギー・韓国・日本等19カ国より90名。課題曲も難しく、5段階にわたる厳正なる審査の結果、1位に選ばれたのは日本人の17歳の少女、新村理々愛さんであった。2位も同じく日本人の上野星矢さん(22)で、3位はロシア、4位はカナダの共に女性であった。

 全ての芸術は鑑賞者なしには成り立たない。このような素晴らしい演奏家たちが末永く活動できるのは常に多くの鑑賞者あってのこと。

 われわれは日本の芸術家たちを誇りに思いその活動をこぞって応援したいものである‼


 (次回のリレーメッセージは、寺田バレエ・アートスクール校長の高尾美智子さんです)

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