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「婦人科疾患のロボット手術」
1時間で子宮全摘、早い回復
淡海医療センター 院長特別補佐
卜部 諭 氏

淡海医療センター 院長特別補佐 卜部 諭 氏

 ロボット手術とは。

 腹部に1〜4センチ程度の穴を5カ所開けて、腹腔(ふくくう)鏡とメスや鉗子(かんし)と呼ばれる器具の付いた手術支援ロボットを体内に入れて手術します。医師は画像を見ながらロボットアームを動かすことで触覚もイメージでき、自分の手のように的確に扱うことができます。婦人科で多いのは子宮筋腫による子宮全摘手術ですが、子宮がんによる子宮全摘や子宮脱なども保険適用になっており、現在はほとんどの手術がロボットで行えます。大きな腫瘍でも細かく切って体外に出すため、2キロを超えるような筋腫も手術可能です。

 ロボット手術のメリットは。

 視野が3Dで立体的に見え距離やスケール感をつかみやすく、アームには自在に曲がる関節が付いているためなめらかな操作が可能で、切除も縫合も容易です。腸などが癒着してしまっていても、安全にはがすことができます。また、大きくおなかを切らないので手術時間を短縮でき、子宮全摘でも1時間ほどで完了します。患者さんにとっては出血量が50ミリリットル程度で済み、傷口の痛みも少なく鎮痛剤の量を減らすことができ、術後の癒着もしにくくなります。体に大きな負担がかからないので回復が早く、術後5日間程度で退院できます。開腹手術に比べておなかの傷も目立ちません。

 今後の展望は。

 ここ数年でロボット手術は急増しています。医師は確実に操作できるようシミュレーターで練習し、動きを十分に理解してから臨んでいます。さらに、継続的に手術のデータを取り、ロボットの特性に合わせた工夫をするなど、より良い手術のため努力しています。保険の適用範囲も徐々に広がり、ロボットを導入する病院も増えています。今後はどの分野でもロボット手術が主流になっていくでしょう。

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