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「消化器がんの予防と検診」
大腸がん増加、内視鏡検査を
済生会滋賀県病院 副院長
保田 宏明 氏

済生会滋賀県病院 副院長 保田 宏明 氏

 消化器がんの現状は。

 近年は胃がんが減少し、大腸がんが増えています。胃がんの原因の多くはピロリ菌の感染ですが、最近は除菌が普及し、若い世代では未感染者の方が多くなっています。一方で大腸がんは増え、消化器がんの罹患数・死亡数とも1位で胃がんを抜きました。特に女性の死亡数は、大腸がんが全がんのトップです。大腸がんが増えている背景には、高齢化と、食生活の欧米化で高カロリー・低食物繊維の食事が腸に負担をかけていることがあると推測されます。

 大腸がんの検査方法は。

 大腸がん検診では、便を2日分取り、便潜血検査をします。大腸に出血がないか調べて、陽性となったら精密検査として内視鏡検査を行います。便潜血で陽性が出た人の約4%に大腸がんが見つかります。がんでなくても良性腺腫(ポリープ)ができていることがあり、放置するとがん化する恐れがあります。内視鏡検査は、下剤と腸管洗浄液を用いて大腸を空にし、肛門からスコープを入れて見ていきます。ポリープが見つかれば切除します。入院は必要なく、日帰り手術で行えます。

 早期発見、予防のポイントは。

 便潜血の検査は毎年受けてください。50代以上なら内視鏡検査も受けてみましょう。ポリープを取った人は、再発していないか確認するため、3年に一度は内視鏡検査を受けてください。まずはかかりつけ内科を持ち、自分の体質を知ってもらって定期検診を受診しましょう。精密検査の必要が生じれば、かかりつけ医から病院を紹介してもらってください。特に家族でがんになった人がいるなら、定期的な検査が大切です。日常生活では意識的に水分を摂り、繊維質の野菜をしっかり食べて便通を促します。たばこはあらゆるがんの原因につながるので禁煙も重要です。

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